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健康かながわ

VDT作業のための労働衛生上の指針

事業所の健康管理担当者を対象とした、平成13年度第7回健康管理懇談会が2月19日に桜木町のフォーラム横浜で開催された。

今回は、今年4月に予定されている「VDT作業のための労働衛生上の指針」改訂について、筑波大学講師・当協会産業保健医局の中石仁(医学博士)が解説とその留意点について講演を行い、106事業所から130人の出席者が熱心に受講し、討議を行った。
パソコン等ディスプレイ端末機操作を行うVDT(Visual Display  Terminals)作業者に対する労働衛生上のガイドラインが昭和60年12月に出されて16年、VDT機器の急速な普及と作業の多様化に伴い数々の問題点が指摘され、この度改訂される運びになった。

新ガイドラインの概要は、事業者が作業者の健康状態を正しく把握し、早い段階で健康状態に応じた適正な措置を講じることができるよう、作業者の健康管理を適正に行うことが重要であり、心身の負担軽減と作業が支障なく行えるように支援する措置について示されている。事業者はこのガイドラインを最低限度の目安として、労働衛生三管理(作業管理・作業環境管理・健康管理)と労働衛生教育を実施することが重要であるとしている。

昭和60年指針と新ガイドラインを比較すると、新ガイドラインは一日の作業時間と作業の種類(単純入力型・拘束型・対話型)に分類して、作業管理・作業環境管理・健康管理・労働衛生教育の進め方について規定している。作業管理と作業環境管理については内容に大きな変更はないが、健康診断については変更点があり、具体的に実施要綱が定められている。

特に、受診対象者については、従来「常時VDT作業に従事する者」とされていたが、新指針では「VDT作業に従事する者」と対象者の範囲が拡大され、検査のねらいを「VDT作業が支障なくできるかどうかの適性検査」と位置付けている。実施時期については、配置前健康診断と定期健康診断の実施は変更ないが、配置前健康診断の対象となる作業者は業務歴、既往歴、自覚症状有無について調査し眼科学検査(視力、屈折、眼位、調節機能)を実施、産業医が必要と認めた時に筋骨格系の検査を実施すれば良いことになった。従来実施していた握力検査はなくなった。

定期健康診断については1年以内に1回実施することとし、業務歴、既往歴、自覚症状の有無についての調査に基づき、産業医の判断により眼科学的検査と筋骨格系検査を実施し、一般健康診断と併せて実施しても差し支えないとされている。VDT作業者は、身体、心理、技能、経験等の違いにより個人差があるので、一定の基準を全てのVDT作業従事者に画一的に適用するのは適当ではなく、ある程度の弾力性が必要である。

当協会では、健康診断内容の充実を期して、事後の健康管理に役立つ情報の提供と現場重視のVDT作業者教育を受託できる体制整備を進めている。

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