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健康かながわ

職場の理解が得られる禁煙対策

image平成15年度の第1回健康管理懇談会が7月28日、当協会7階松村ガーデンホールで行われ、「喫煙問題」をテーマに58団体70人が参加した。亀田総合病院呼吸器内科の大国義弘医師が「職場の理解が得られる禁煙対策―禁煙のススメ―」を講演した。

喫煙による健康への影響に関する社会的関心が高まる中で、他人のたばこの煙による受動喫煙の被害防止を法律で定めた健康増進法が5月1日に施行された。そこで職場における労働者の健康確保や快適な職場環境の観点から、禁煙指導や受動喫煙防止の対策が必要になっている。

たばこと肺がん

日本では年間5万人以上の人が肺がんで亡くなっている。肺がんは判かった時点で10人中7人は手術ができず1年位で亡くなり、残り3人は手術をしても内2人は5年以内に亡くなり、最終的には1人(10%)が助かる割合である。
その肺がんの9割以上はたばこが原因という。たばこはがんばかりでなく心筋梗塞や脳梗塞をおこしやすく、肺炎や肺気腫もおこしやすく、重症患者の8~9割が喫煙者だという。

なぜたばこでがんができるのか。それはたばこの煙の中に3000種類の化学物質があるがそのうちの有害物質200種類の中で発がん物質は50種類もあるからである。その中でもタールは1日20本のたばこを吸う人で1年にコップ1杯の分量を取りこんだことになり、ニコチンも青酸カリより強力で、致死量は青酸カリの1/3の50mgである。

フランスでは全てのたばこ広告が禁止されており、カナダではたばこの包装に次の7項目の警告文を表示している。 ①喫煙は依存性を持つ。 ②あなたの喫煙は子どもに害 をもたらす。 ③喫煙はがんの原因となる。 ④喫煙は心臓発作や心臓病の原因である。 ⑤喫煙は死をもたらすことがある。 ⑥妊娠中の喫煙は胎児に有害である。 ⑦喫煙は周囲の非喫煙者に致命的な肺疾患をもたらす。

スウェーデンでは、16項目の警告文の印刷が義務づけられ、イギリスではたばこの害について啓蒙が進み、喫煙率が減少したため肺がん死亡者も減少した。またアメリカの州によっては基本的に個人の車と住宅を除いて全ての屋内での喫煙が違法となり、たばこの害や危険性がしっかり認識されている。

喫煙している人へ

たばこが恐いのは、たばこを吸い続けることでニコチン依存度が高まりたばこを止められなくなることである。ニコチンが体に入ると神経伝達物質の代りとなって働き出し、自分の神経は休むため簡単には元に戻れないという。
したがって禁煙をしようとしてもすぐには頭が正常に働かず、ぼうっとしたり、イライラするなどの離脱症状が出てくる。この期間に外からニコチンガムやニコチン貼付薬でニコチンを補えば、禁煙時の離脱症状を軽減でき、神経を徐々に元に戻すことになり無理なく禁煙を成功することができるという。

当協会でも禁煙外来を行っており、ニコチンパッチ剤によるニコチン代替え療法をおすすめしている。
たばこを吸いたいときの回避法には、氷を口に・深呼吸・酢昆布・ミントのお菓子・運動・ガム・飲み物・歯ブラシ飴などを使うほかに、「自分はたばこは嫌いだ」と声に出して言うなどの自己暗示も有効という。
大国医師は「たばこをやめようと思ったら徐々にやめるのではなく、すぱっとやめることが成功の秘訣です。禁煙の翌日からイライラやだるさなどが出てきたら、毒が体から抜けていく苦しみだと思ってください」と話された。  

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