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過重労働が及ぼす疲労の蓄積とストレス

image第3回健康管理懇談会が、9月17日、横浜市技能文化会館で開催された。この会は神奈川県予防医学協会が事業所の健康管理担当者を対象に最新の医療や健康管理に関する情報を提供するもので、年7回開催している。今回は河野慶三・富士ゼロックス㈱全社産業医(写真下)が「過重労働による健康障害を防止する措置」をテーマに「過重労働が及ぼす疲労の蓄積とストレス」を講演、75団体88人が参加した。

2001年12月、厚生労働省は「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」の通達で、脳・心臓疾患の労災認定基準を改正し、定時間を超える時間外労働を過重負荷として新たに考慮するものとした。この通達を受け02年2月、「過重労働による健康障害防止のための総合対策」の通達が出された。

その中で「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」として
①時間外労働の削減
②年次有給休暇の取得促進
③労働者の健康管理に係る措置、の3つをあげている。時間外労働については月45時間以下にすることを求めている。また健康管理については健康診断とその結果に基づく措置の徹底と産業医の助言指導の強化を求めている。中でも月100時間または2か月間ないしは6か月間の1か月平均が80時間を越える時間外労働をした人は、産業医による面接指導が必要で、さらに産業医が必要と判断した項目の健康診断を受診させ産業医の意見に基づく事後措置の徹底を指示している。

これらの通達が出された後、脳・心疾患をベースにした労災申請が急増し、02年には請求が819件で、317件が業務上と認定された。過去の認定数は、01年の143件、00年の85件、99年の81件である。
また精神障害等の労災認定は、02年には100件になった。その前年の01年が70件、さらに00年は36件でそれ以前は15年間でわずか11件しか認定されていなかった。

また経産省のデータによると、日本の男性正社員の20%以上が月80時間以上の残業をしているという。これは過重労働の通達からすれば、20%以上の人が脳卒中や心筋梗塞になる危険性の中で仕事をしているのだ、と河野医師は説明した。

労災防止のために

image過重労働をした人は産業医の面談指導を受けなければならないが、河野産業医は1人の面接時間を30分に設定し、まず健康状態のチェック、特にこの1~2ヶ月の「健康状態」を聞くことから始めると説明した。健康状態に問題のある人は必要な検査を行いその結果に基づく措置を行うが、健康状態に特別な問題がない人には、この状態がいつまで続くのかを聞いているという。健康状態が良く、意欲もあり、3ヶ月以内で高残業も終わりそうな場合は、健康状態に留意してそのまま仕事を進めさせることにしているという。しかし残業がいつまで続くかわからない人の場合には、産業医がその上司に会って今後の仕事の対応を話し合うことになるという。

河野産業医は「長時間労働による病気やメンタルヘルス不全など、以前は労災として認められなかった病気が、労災認定されるようになったことで、事業者はそうした労災を防止するための対策を積極的にしなければならなくなっています」と話した。

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