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働く女性の健康管理

image平成15年度第6回健康管理懇談会が1月28日、松村ガーデンホール(横浜市中区)で開催された。今回は北里大学医学部産婦人科の上坊敏子助教授が「働く女性の健康管理―婦人科医から見た女性の健康」の講演を行った。女性特有の健康問題を十分理解することは女性の労働環境を整える上で重要である。産業保健分野の担当者など51団体57人が参加した。

女性には①幼児期②小児期③思春期④性成熟期⑤更年期⑥老年期のライフサイクルがあるという。今回は働き盛りの性成熟期、更年期の健康問題、特に月経と更年期を中心に上坊敏子北里大学助教授は講演を行った。

性成熟期は、妊娠、出産、育児に忙しい時期で、月経に伴う月経痛、過多月経、月経前症候群や、子宮筋腫、子宮内膜症などに悩む年代である。子宮筋腫は4人に1人が持つ良性の腫瘍で、原因は不明だがエストロゲンという女性ホルモンが関係している。自覚症状もなく小さい場合は気にしなくてよいが、過多月経、過長月経、月経痛、不正出血、おりもの異常、腹部のしこり、腹痛、腰痛、頻尿、便秘などの症状がある場合は治療が必要である。

また子宮内膜症は最近増加傾向にあり、30~40代の女性の10~20%が罹患しているようだ。自覚症状が軽ければ治療は不要だが、月経痛、腰痛、性交痛、排便痛を起こしたり不妊症の原因の場合もあるので婦人科受診が必要である。  性成熟期に多い子宮筋腫と子宮内膜症は、どちらも良性の疾患で閉経すれば軽快するが、それまでは経過観察が必要である。

この年代に多い過多月経や月経痛は、症状に合った止血剤、経口避妊薬、漢方薬、鎮痛剤などでかなりの症状を抑えたり、緩和できる。また最近多くなっている月経前症候群(PMS)は、いろいろな身体症状に精神症状が加わる場合もあり、精神症状の強い人には心療内科などの受診も必要である 。

image更年期は閉経前後の10年を指すが個人差が大きい。この時期に起こる更年期障害はエストロゲンの減少が原因で、骨の代謝にも関係するため閉経すると骨が急激に弱くなる人もいる。更年期障害の症状はさまざまである(表)。まずはそれぞれ専門の科で診てもらい、病気が潜んでいないことを確認する必要がある。

更年期障害はいずれ必ずおさまるものだが、症状が辛い場合は我慢せず積極的に治療することも必要である。なかでもホルモン補充療法は良く効くばかりでなく、尿失禁の治療、骨粗しょう症予防、皮膚の若々しさを保つ、高脂血症予防などにも効果を発揮している。そのほか漢方薬の使用や運動、さらに日常生活で新しいことに挑戦するなどこの時期の上手な乗り越え方はさまざまである。

そして一番気をつけて欲しい婦人科の疾患は子宮頚がん、子宮体がん、卵巣がんである。これまで紹介した疾患や症状とちがい、初期は無症状であることも多い。子宮頚がんは性成熟期から閉経後まで広い年齢層に多くみられる。子宮体がん、卵巣がんは更年期から閉経後に多いがんである。特に早期の頚がんでは無症状の患者さんが多いので、無症状の早期に発見することが重要である。

上坊助教授は「子宮頚がん検診は30秒で終わる痛みのない検診です。自覚症状がなくてもぜひ受診してください。また性成熟期、更年期ともにさまざまな疾患を発症しやすい時期です。食事、休養、運動をこころがけ、自分のからだは自分で守る気持ちをもってください」と講演を行った。

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