法人向けサービス
健康かながわ

藤沢市の健康づくり活動  -国保ヘルスアップモデル事業-

第1回かながわ健康支援セミナーが7月27日に藤沢市保健医療センターで開催された。テーマは「健康づくり活動の評価-行動変容させる保健事業の評価」。講師に(財)藤沢市保健医療財団医療事業部長・小堀悦孝先生を迎えて、藤沢市が平成14年から3年間かけて取り組んでいる国保ヘルスアップモデル事業の概要とこのほど厚労省に提出した中間報告のデータを交え講演を行った。 県内で産業保健に携わる43人(40団体・事業所)が参加した。

ヘルスアップモデル事業とは生活習慣病を予防・改善するための「個別健康支援プログラム」を各市町村で開発・実施し、その有効性を検証するもの。全国では14年度に8市町、15年度に11市町村がモデル事業の指定を受けている。これらのモデル事業からのデータは厚労省の評価検討会(学識者、モデル市町村で構成)で①個別健康支援プログラムの効果(対照群と介入群との健康度指標の変化)②同プログラムのコスト③医療費への効果、を分析・評価したうえで、本事業で行われる「個別健康支援プログラム」が確立されていく。

藤沢市の取り組み

image(財)藤沢市保健医療財団は藤沢市と藤沢市医師会などにより平成5年に設立された。その基幹施設が藤沢市保健医療センター(写真)。ここでは各種健診、トレーニングジムを活用した健康づくり事業や地域医療機関と連携しMRIやマルチスライスCTなど高度医療機器の共同利用事業などを行っている。

国保ヘルスアップモデル事業では同センターが藤沢市の実施機関となっている。同センターでの個別健康支援プログラムは①健診時の個別相談(469人)②栄養相談(154人)③運動・栄養総合型(355人)の3コースで、その詳細な内容は表のとおり。従来からセンターで行われていた保健事業も組み合わせ、参加者の経済的事情や時間の制約に対応できるコース設定とした。 健康相談とは健診時の医学的データに基づいて、看護師または保健師が相談にあたるもの。どのコースも個別相談がベースになっており、コース2、3ではセンターで従来から行われている集団教室も組み合わせてプログラムが組まれている。コース3ではトレーニングジムを利用した週一回の定期的な健康づくりトレーニングと運動相談が加わってくる。

参加者は20歳代~80歳代の997人(男423、女574人)で、これらの方へ3年間プログラムを提供していく。 評価にあたって  プログラムの効果を検証するために必要なのが対照群(プログラムを行わないグループ)の設定である。藤沢市の国保加入者約20,000人に調査のお願いをして、各人に生活習慣調査票の記入や健診データの利用などに関する同意をとったうえで4,834人の対照群を抽出した。

また、各人の健康度をアセスメントしておくことも評価には必要になってくる。 検診データに基づく「検診評価度」と食生活、喫煙など6つの生活習慣をスコア化した「生活習慣度」の2つの軸でアセスメントし、参加者をⅠ~Ⅳの健康度に分類した。 これらの設定はプログラムの効果=「健康度」をみるために必要なもの。その他にプログラムのコストと医療費への効果を評価することがモデル事業では求められている。  これらのデータは7月に中間報告として厚労省に提出された。この報告書の作成は大学など第三者機関が担当し、客観的な評価指標の分析・集計に基づいて作成されている。

中間評価は?

image3つのコースのうち、最も効果が顕著だったのがコース2であった。 プログラムの前後で体重減少、高血圧群(23人)の血圧降下がみられ、対照群との比較では中性脂肪・体重の減少、総コレステロール上昇の抑制など有意な差がみられた。  逆にコース1ではプログラム後に総コレステロール・空腹時血糖の上昇がみられた。 このことから「年1回の健康相談は効果がない」という結論を導くのは早計である。  

小堀先生らは行動科学的なスケールで「健康に対する意識の変化」を別に調査。コース1には30歳代の若年層が多いため、健康に関して「無関心」だった参加者が、健康に関しての「関心」を持つように変化している、という。 コース1については指導法の工夫が必要である、との課題が新たに提示された。 コース3ではHDLコレステロールが増加し、高血圧群(62人)の血圧降下がみられ、運動療法による効果が現われた。  藤沢市での国保ヘルスアップモデル事業の最終報告は来年の1月、さらに興味深いデータが示されることが期待される。

中央診療所のご案内集団検診センターのご案内