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平成20年度からの特定健診・特定保健指導について

平成19年度第1回かながわ健康支援セミナーが7月31日、神奈川県民ホール(6階大会議室)で開催された。産業医科大学産業生態科学研究所産業保健管理学研究室の堀江正知教授が「平成20年度からの特定健診・特定保健指導について」をテーマに講演を行った。このセミナーは、神奈川県予防医学協会が事業所の健康管理担当者を対象に開催しているもので、184人が参加した。

定期健康診断の改正が行われることになった。改正の目的は、基本的には労働者の健康を維持促進するために行われるものである。しかし増大する医療費を抑制することも大きな目標となっている。そこで定期健康診断の改正と来年4月から開始予定の特定健診・特定保健指導について堀江講師が解説した。

医療制度改革

image日本では、世界に誇る制度である国民皆保険を1961年に達成し、今日まで堅持している。当初、被保険者の自己負担は定額であった。しかし、高齢化とともに医療費が徐々に高騰し、2006年には、現役並み所得のある老人も含め、自己負担は定率3割に増えた。このままでは国民皆保険を堅持することが困難となり、老人保健制度や退職者医療制度が廃止され、75歳以上を対象の後期高齢者医療制度が創設されるに至った。

また生活習慣病対策と介護予防の推進を進める健康フロンティア戦略が2004年に提案された。その目標は、糖尿病の発生率を20%減少させ、心疾患と脳卒中の発生率を25%減少させ、がんの5年生存率を20%上昇、要介護者を約1/7人から1/10人に減少させ、2014年までに国民の健康寿命を2年延伸することである。
さらに2005年には、全都道府県に保険者協議会が設置され、医療費の調査、分析、評価の実施、保険者による保健事業の共同実施、物的・人的資源の共同利用、保険者間の情報交換などを図ることになった。そして2006年、高齢者医療確保法が成立し、これに基づいて、2008年度から「特定健康診査及び特定保健指導」が実施されることとなった。

実施主体は保険者で、特定健康診査及び特定保健指導の両者の実施義務を負う。目的はメタボリックシンドロームの概念を活用したもので、心疾患、脳卒中、糖尿病のリスク低減を目指すものである。
対象は、40~74歳の被保険者と被扶養者であるが受診義務はない。また、全国統一方式で、特定健康診査の結果に基づく階層化によって特定保健指導のレベルを分けて行う。
特定健康診査の内容は、日本内科学会など8学会によるメタボリックシンドロームの診断基準とは若干異なっている。違う点は、BMIの利用、喫煙歴のリスクとしての追加、低めの耐糖能異常の判定基準という点である。

特定保健指導は、対象者が自らの健康状態を自覚し、生活習慣改善のための自主的な取組みを継続的に行うことができるようになることが目的である。
そのために、医師、保健師、管理栄養士、看護師(当初5年間可)が、面接・指導の実施後に行動計画を策定し、その実績を6ヵ月後に評価するものである。この間、複数の職種や機関が支援する場合は、実施者間で連絡会議を開催する必要もある。

事業場における取り組みは

事業者による健康診断との関係については、高齢者医療確保法は、保険者が事業者に対して、労働安全衛生法に基づく健康診断のうち特定健康診査に該当する項目について健康診断の写しを請求した場合、事業者はそれを提出しなければならない
と規程している。
したがって労働安全衛生法の一般定期健康診断と特定健康診査の検査項目が一致すれば、保険者は、事業者に結果を請求することで特定健康診査を実施済みにすることができる。

特定健康診査や特定保健指導の実施によって、高脂血症、高血圧、糖尿病など脳・心臓疾患につながる所見がある労働者数が減るのか。保険者による投資は、医療費抑制効果につながるのか。被扶養者に対してどのように実施するのか。事業者は、保険者にどこまで協力すべきか。そして、産業保健活動の中で特定健康診査や特定保健指導の優先順位をどうするか。来年の実施に向けて、多くの課題が見えてくると堀江講師は解説した。

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