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健康かながわ

過重労働(長時間残業)とメンタルヘルス

第6回かながわ健康支援セミナーが、1月16日産業貿易センタービル(横浜市中区)の8階大会議室で開催された。「過重労働(長時間残業)とメンタルヘルス」をテーマに富士ゼロックス株式会社全社産業医の河野慶三先生が講演を行った。このセミナーは神奈川県予防医学協会が事業所の健康管理担当者を対象に年7回の予定で開催しているもので、今回は68団体90人が参加した。

産業保健との関連

労働者のメンタルヘルスに関する事業者の法的責任の範囲がこの10年程の間に急激に拡大した。事業者はこの問題に対処せざるをえなくなっている。
これは労働契約下にある労働者の健康問題を経営上のリスクとして捉える必要があることを示している。
河野先生は参加者に「100時間以上の残業を3ヶ月以上続けた場合、その結果としてうつ状態などのメンタルヘルス不調に陥る人がどの程度いると思われますか」と尋ねた。
厚生労働省が過重労働(長時間労働)対策の一環として、メンタルヘルス対策をうちだしたこともあり、両者が直結しているように思われている。しかし過重労働のみでメンタルヘルス不調が生じている例が特別に多いわけではない。

過重労働に関連したメンタルヘルス不調

長時間労働については、残業100時間/月で線を引いている。しかし当然のことながらこの時間を超える残業をすればすぐに問題が発生するわけではない。
その残業の必要性や意義を理解している場合と、させられていると思って残業をしている場合とでは、その影響が大きく異なる。つまりどういう思いで残業をしているかということがこの場合重要なのである。
厚生労働省は、月100時間を越える残業をした人で、一定の要件を満たす者に対し産業医と面接することを義務づけた。

その産業医面接では、労働者の
①勤務の状況
②疲労の蓄積の状況
③心身の状況
について確認をすることになっている。
③の心身の状況では、長時間労働をどう受け止めているかを確認することが大切である。

この面接で、産業医は、本人に意欲があり、健康状態が悪くなければ、長時間労働の継続を認めてよいのかという問題に直面するが、この場合長時間労働を認めるには仕事の区切りやゴールが見えていることが必要である。
本人に仕事の区切りやゴールなどがわからない場合は、直属の上司と面談し、それを確認する。さらに人事部門との話し合いが必要なこともある。

しかし産業医面接の趣旨は、過重労働に免罪符を出すことではない。
厚生労働省は、2000年に出した「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を廃止し、新たに労働安全衛生法の規定にもとづく「労働者の心の健康保持増進のための指針」を2006年3月31日に出した。

職場ではメンタルヘルス不調者が続発し、その対応に追われているのが現状なので、労働者のメンタルヘルスに関わる問題に対処することが、事業者の法令上の義務として明示されたわけで意義は非常に大きい。

過重労働による健康障害防止のための総合対策

2006年3月17日付けで、「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」が通達された。
この通達が対策としてあげているポイントは、
①時間外・休日労働時間の削減
②年次有給休暇の取得促進
③労働時間等の設定の改善
④労働者の健康管理に係る措置の徹底の4点である。
長時間労働に関しては,1か月100時間、または2~6か月にわたる1か月あたり80時間を超える時間外労働は、有害業務と同等になったと考えることが必要であると河野先生は話す。

産業医面接

産業医選任義務のある50人以上の事業場では、医師による面接を産業医が担当することになる。通達では、時間外・休日労働時間が45時間/月を越えているおそれがある事業場に対して、産業医の選任・衛生委員会の設置など、労働衛生管理体制の整備状況と活動状況を確認し、必要な指導を行うとしている。表に示したように、産業医は広範囲の活動を行っているが、メンタルヘルスの問題へのさらに積極的な対応が求められているのである。

河野先生は、「職場の状況をみると、メンタルヘルス不調を発生させる恐れのある状況がいろいろと数多く認められます。さらに職場をとりまく情勢もどんどん変化しています。その変化をしっかり見据えたうえで、事業者がその義務を果せるように、産業保健スタッフがしっかり事業者を支援することが必要です」と講演された。

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