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健康かながわ

楽しく対象者をやる気にさせる保健指導

神奈川県予防医学協会では、産業保健活動の向上を図ることを目的に、事業場の産業保健に携わる衛生担当者、産業医、保健師、看護師などを対象に、健康支援セミナーを毎年開催している。今年度第1回かながわ健康支援セミナーが8月29日、横浜商工会議所で開催された。今回は、独立行政法人国立病院機構京都医療センターの坂根直樹予防医学研究室長をお迎えし、「楽しく対象者をやる気にさせる保健指導」をテーマに開催され、81団体102人が参加した。本号では坂根室長の講演内容を報告する。

最近、日本でも食生活の近代化や、運動不足から、肥満や糖尿病の人が急増しています。肥満になると、高脂血症、高血圧、耐糖能異常などの生活習慣病が重なって、発症しやすくなり、最終的には、心筋梗塞、脳卒中など血管の病気が起こりやすくなります。これらの恐ろしい病気は、体重を減らすことで多くの症状や状態を改善し予防することができます。
しかし減量といってもなかなか難しく、間違ったダイエット法で危険に陥ることもあります。自分の今の肥満や生活習慣病の状態を知ってもらい、減量を正しく指導することが必要です。

有効性が高い グループ支援

本年4月より特定健診・保健指導がスタートし、それに伴って新旧の情報が氾濫しています。しかし問題は、その知識、技術をどのように活かし活用していくかということです。
保健指導の方法には、グループ・個別・電話・メール・手紙などの支援方法があります。その中でもグループ支援の有効性が最も高いと言われています。

そこで同センターの保健指導のキーワード「新しい情報を基に、分かりやすく、低コストで、広くやること」の一部を紹介します。

例えば“太っている人”の保健指導の場合、「体重を減らしましょう」「食事に気をつけましょう」「腹八分目にしましょう」「栄養バランスに気をつけましょう」「もっと運動をしましょう」などの“提案型”の言葉は同センターの保健指導では使わないように心掛けています。提案型の言葉には、本人に抵抗するための“言い訳”の機会を与えてしまう場合が多いのです。また「どれができそうですか」などの言葉も使わないようにしています。

その結果「取り組んでみたい項目はどれですか」と、本人がいくつかの項目の中から選択できる聴き方をするようにしているのです。その選択項目には、「満足するまで食べる、残り物を食べる、野菜が少ない、ジュースや缶コーヒーの飲料・炭水化物の重ね食い、間食をする、酒の飲み過ぎ、運動不足、喫煙」などがあります。その中から、改善に取り組んでみたい項目を本人に選んでもらい、やる気のあるもので指導を進めているのです。

ワンポイントアドバイスが有効

キーワードの一つ“分かりやすい”の具体例として、ワンポイントアドバイスを行っています。
保健指導時に「あなたの気になる病気や、なりたくない病気はどれですか」と聴いてみるのです。すると、「糖尿病・脂肪肝・高血圧・変形性膝関節症・通風・脳梗塞・心臓病」などの病名が挙がります。そこでそれらの病気にならないようにワンポイントアドバイスが有効になるのです。

例えば、「運動会などで転ぶようになったら運動不足ですよ」、「バイキング料理の予約はしないほうがいいですね」。さらに「食事の時は野菜から食べ始めましょう」、「犬と散歩しましょう」、「動かなければ取れない位置に物を置きましょう」など、日常に少しの工夫で取り入れられるアドバイスを行っているのです。

健康寿命を延ばす

気になる病気やなりたくない病気がたくさんあるにも関わらず、症状がなければ大丈夫と考える人が多いのも確かです。しかし症状が出にくい病気もあれば、のどが渇くや疲れやすいなどの症状の中に、病気のシグナルが潜んでいる場合もあります。それを見過ごさないことが重要なのです。
保健指導は、ただ延命を願って指導しているのではなく、将来にわたり健康寿命を延ばすことを目指しているのです。そのためには、本人のやる気を引き出すような保健指導が大切になるのです。

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