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企業で取り組むメンタルヘルス・ケア~復職支援の効果的なツール~

産業保健活動の向上を目的に行われている「かながわ健康支援セミナー」の第3回目が、10月21日に神奈川県予防医学協会2階会議室で開催された。今回は「企業で取り組むメンタルヘルス・ケア~復職支援の効果的なツール~」をテーマに、中外製薬㈱人事部健康管理グループの難波克行統括産業医を講師にお迎えした。今回のセミナーには事業所の産業保健に携わる93団体112人が参加した。

メンタルヘルスの現状

メンタルヘルス不調の人が予想以上の速度で増加している。
学会で発表された疫学調査によるメンタル不調者は、就労人口の約3%と発表された。現場の担当者としては、メンタル不調者の割合は、100人中2~5人で、そのうち長期休暇を要する社員は1人くらいだというのが実感だ。またメンタルの患者は、身体疾患の患者より治療に時間がかかることも、職場では大きな問題となる。
また、メンタル不調者の割合は今後ますます増加すると予想されており、健康管理の問題にとどまらず、組織的かつ計画的な取り組みが必要である。

メンタルヘルスの不調による影響を最小限にするには、早期発見・早期対応・早期治療が重要である。
初期対応が遅れると、上司や周囲が困るばかりでなく人事なども困るため職場の被害も拡大してしまう。さらに本人の病状は悪化し、治るまでにかなり長期化することもある。
ところが、多くの企業では、メンタルヘルス不調者に対して、必ずしも適切に対応できているとは言えず、職場復帰に関してさまざまな問題が起きているケースが散見される。
多くの企業の担当者から話を聞き、その状 況を総合して考えると、メンタル事例の対応がうまくいかないいくつかの理由が見えてくる。

まず一番大きな理由は、事例のアセスメント(評価)ができていないことである。メンタル不調者の現在の回復状態はどのくらいか、出社に耐えられるのか否か、就業制限の要否はどうかなど、まずはしっかりと評価しなければ、対応のプランも立てられない。
アセスメントができないのはなぜだろうか。
多くの事例では、産業医がうまく機能していないという現状がある。もっと正確に言うなら「産業医にどういう仕事を依頼すればよいのかわからない」のである。
では、どうして産業医がうまく機能していないのか。それは、企業における健康管理の基本が徹底されていないことの現れでもある。

メンタル事例対応のコツ

image 難波医師は、メンタル事例対応を上手に行うコツについて、三つのポイントを挙げた。

1、健康管理の基本を確認すること。
①産業医と主治医の役割の違いを理解する。
②健康相談に関する役割分担を確認する(図1)。
③健康情報と人事情報をきちんと区別して管理する。

2、メンタル事例対応に関する業務を産業医に依頼する。
①休業中の社員と毎月面談する。これにより状態が分かり、皆も安心して治りも早くなる。
②面談の内容をカルテに記載してもらう。
③産業医の意見を書面にしてもらう。

3、メンタル不調者の回復の程度を評価したり、回復を支援したりするツールを有効に活用する。
①うつ状態のステージ分類シート(図2)
②生活記録表
③復職準備チェックシート

①の「うつ状態のステージ分類シート」を使うことによって、本人・上司・人事・医療職のそれぞれが同じ認識で話しができる。また、回復支援には生活記録表を利用することが有効であり、復職に際した資料にもなる。より具体的には、復職準備チェックシートの結果を参考に、復職判定をすることもできる。復職期の扱いは会社の制度によって異なる点には注意が必要である。

最後に難波医師は「紹介した・支援ツール・や・健康相談時の役割分担表・などを上手に使うことで、メンタル不調の人の復職をスムーズに進める手助けにしていただければと思います。そして何よりもメンタル不調の人には初期対応が重要であるということを忘れないでください」と強調し、講演を終了した。

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