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健康な職場づくり~WHOヘルスプロモーションの視点から~

平成21年度「かながわ健康支援セミナー」の第5回目が、昨年12月22日『健康な職場づくり~WHOヘルスプロモーションの視点から~』と題して、松村ガーデンホールで行われた。講師は、順天堂大学の島内憲夫教授。1986年にWHOが提唱したヘルスプロモーションの視点から、職場に適用できる健康的な職場づくりについての考え方を解説した。今回のセミナーには、39団体42人の産業保健に携わる方々が参加した。

ヘルスプロモーションとは

「ヘルスプロモーション」はWHO(世界保健機関)が1986年に提唱した新しい健康観。健康を毎日の生活の社会的、個人的な面での資源とする前向きな考え方である。
健康は、人に任せるのではなく、自分の力で手に入れようとすることが重要である。そのための支援として、専門職の人が情報提供や環境づくりを行うことが必要となる。

日本人の健康観

島内憲夫・順天堂大学教授は、〝健康とは何か〟という質問をしたところ、①幸福なこと、②心身共に健やかなこと、③仕事ができること、④生きがいの源、⑤健康を意識しないこと、⑥病気でないこと、⑦快食・快眠・快便、⑧身体が丈夫で元気で調子がよい、⑨心も身体も人間関係もうまくいっていること、⑩家庭が円満であること、⑪規則正しい生活ができること、⑫長生きできること、⑬人を愛することができる、⑭何事も前向きに生きられること、の項目に集約されたと話す。

この集計結果から、年齢が高い程、該当する項目が多く、健康観はその人の生き方を示しており、さらに②、⑨、⑧の項目が上位を占めていることも分かった。この結果から健康は、〝心身ともに元気で人間関係が良好なこと〟と考えている人が多いことが分かった。
そこで健康を目指すためには、まず健康なライフスタイルづくりが必要である。その方法の1つとしてブレスロー博士の7つの健康習慣、①毎日7~8時間の睡眠をとる、②朝食を欠かさない、③間食をしない、④適切な体重を保つ、⑤規則的に運動をする、⑥過度の飲酒をしない、⑦タバコは吸わない、が発表された。

しかしこの7つを実行するのは難しいので、〝できるところからする〟くらいでいいのではないかと島内教授は話し、この生活習慣に〝素晴らしい人間関係づくり〟をプラスすることが重要だと話す。
この〝人間関係づくり〟は、家族と友人を大切にするだけでなく、近所の人々との信頼や助け合い(=社会関係資本)などの人間関係づくりをプラスすることが、実はヘルスプロモーションの大切な概念だと説明した。

職場の健康づくり

職場のヘルスプロモーションの目的は、幸せで活力のある職場生活を営むことができるようにすることである。この目的を達成するには、労働者と職場の保健医療従事者(産業医・産業保健師・衛生管理者)、経営者、職場を取り巻く地域の人々の協力が必要不可欠である。
職場でヘルスプロモーション活動を進めて行くには、①職場の健康づくり企画・施策づくり、②労働者の健康を支援する職場環境づくり、③労働者の健康づくりを目的とした職場内の仲間づくり、④労働者一人ひとりの自主的な健康生活習慣づくり、⑤職場のヘルスサービスの方向転換、などが考えられる。

ところが職場では、メンタルヘルス不調の人がどの年代層にも多く見られ、職場のメンタルヘルスの対応策が重要な問題となっている。さまざまな人間関係調整法などによる取り組みも早急に必要となっているのが現状である。
島内教授は、「健康な人は、幸せを感じる心や、愛や夢を育てる能力を備えています。辛いことがある場合でも、心身の健康と大切な人が一人でもいれば乗り越えることができるのです」と講演した。

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