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健康かながわ

 産業保健活動の向上を図ることを目的に開催される、かながわ健康支援セミナー。平成23年度の第1回目が、6月10日(金)に、神奈川自動車整備振興会教育センター6階研修室で開催された。

  今回は、北里大学医学部の和田耕治先生を講師に迎え、東日本大震災の被災地での〝働く人の健康を守る〟ことをテーマに講演が行われた。57団体70人の方々に参加をいただいた。

 東日本大震災から3ヵ月あまり、未だ避難所で暮らす人は10万人をくだらない。しかしながら復旧・復興にむけた動きは活発になり、事業所から被災地への派遣なども行われているという。また、個人やNPOでボランティアに行かれる人も多い。今後、被災地で復旧復興に関わる人々は、危険な有害要因にさらされる可能性があり、産業保健の観点からの対応が必要とされる。和田講師は、大船渡や気仙沼など実際に被災地へ出かけ、現地の様子を踏まえながら公衆衛生の観点から被災地の支援活動を行っている。

  セミナーでは、医療従事者として被災者の健康を守るためにどうするべきかという説明に始まり、被災地で活動をする人の安全と健康についてのアドバイスがあった。また、被災地に行くにあたっては感染症予防のためのワクチン接種(麻疹、破傷風、インフルエンザなど)を勧め、「ボランティアが病気を持ち込む場合もあるので、行く前には万全の体調で臨み、もし行ってから不調になった場合は作業をせずに引き返すという判断も大切です。事業所など派遣する立場では、きちんと健康管理をして、行かせてもいいのかの判断をする必要があります」と述べられた。

  さらに現場作業で気をつける点として、がれき撤去時の粉じん(アスベスト)や真菌、がれきを燃やした際の化学物質、一酸化炭素などをあげた。
  「特に一酸化炭素は、停電時に使う発電機で発生することが多く、臭いや色が無いためわかりにくく、さらに死に至ることもあるので大変危険です。必ず発電機は屋外で使用し、屋外でも窓や換気口から5メートル以上離してください」と、和田講師は力説。
  また粉じん防止のためにはマスク着用が効果的だということで、防じんマスクメーカーの興研(株)から、正しいマスクの選び方などの説明もあった。

 そして、今後の被災地での活動の課題を述べると共に誤った情報やそれによる過度な不安がおこることに対して「健康に関するバランスのよいリスク認識を啓発することは、われわれ医療従事者の責務です」という言葉で結んだ。

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