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健康かながわ

産業保健活動の向上を図ることを目的として開催されている、かながわ健康支援セミナー。平成23年度の第5回目が12月9日情報文化センター新館6階の情文ホールで開催された。

  講師に富士ゼロックス株式会社人事本部人事部健康推進センター、ALL富士ゼロックス株式会社統括産業医の丹野優次先生を迎え、「職場のメンタルヘルス対策」をテーマに講演を行った。今回のセミナーには、県内の事業所などから103団体136人の産業保健に携わる方々が参加した。

職場のメンタルヘルス対策

  今度の臨時国会に提出された、労働安全衛生法改正案の柱のひとつに、メンタルヘルス対策の充実・強化があげられている。この改正案が成立すれば、メンタルヘルス対策として、医師・保健師によるメンタルチェックが義務づけられることになる。早ければ平成24年度秋から実施開始と予想されている。厚生労働省ではそのためのスキームとして、過重労働者の面談と同様のスキームを用いたモデル図を公開している。

  法改正に対応し、このスキームを実施するにあたっては、様々な問題点や課題があると考えている。メンタルチェックは誰がいつどこでやるのか。結果は誰がどのような仕組みで受け取るのか。記録の保管や報告は、誰がどのように行うのか。人間ドックの取り扱いはどうするのかなど、考えておかなければならないことは多いといえる。また、事業場内のスタッフで実施するのか、事業場外資源を利用するのか。メンタルチェックで面接実施をした労働者への事後フォローなども体制を整える必要がある。

  いずれにしても、一定の仕組み、体制づくりをしないと対応が難しいと思われる。何から手をつけてよいのかわからない場合は、「メンタルヘルス体制づくり推進のキーマンをつくること」を丹野先生は勧めている。例えば、各事業所で現在及び過去を含めて困っていることの棚卸や、セルフケア、ラインケアに関する教育、研修から始めてみる。教育や研修を受ける事により、問題が浮き彫りになる可能性がある。

  問題が生じたときにどこに相談するのか。社内か、社外か。社内であれば誰につなげるかなどを決めることが体制づくりの一歩といえる。体制づくりの際に、キーマンとなる人を孤立させないことも大事である。

  セミナーの後半は、富士ゼロックスのヘルスケア体制を例に挙げて説明。富士ゼロックスでは現在、原則として健康診断受診後3カ月以内を目安に、産業医あるいは保健師による全員面談を行っている。この面談は、90パーセント以上の社員に実施されているという。また、毎年面談を行うことで、健康推進室に対するハードルが低くなり、結果として相談等で、気兼ねなく来られる環境となっている。

  富士ゼロックスとしては、今の体制を維持することで、今回の法改正にも対応できるものと考えている。このように仕組みがあり、体制ができていれば法改正には対応可能である。「できることをできるところから始めて。苦あれば楽ありです」と丹野先生は語った。

 

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