法人向けサービス
前のページへ戻るHOME > 法人向けサービス > 健康情報(法人向け) > かながわ健康支援セミナー>ストレスチェック後の面接指導 手段分析の進め方
 
健康かながわ

6月21日、本年度第1回かながわ健康支援セミナー(主催・当協会)が横浜情報文化センター情文ホールで開催された。長年にわたってストレスチェックを自社のメンタルヘルス対策に導入・活用してきた三井化学株式会社本社健康管理室長統括産業医・土肥誠太郎先生から、医師面接と集団分析の効果的な進め方について解説いただいた。企業・団体の健康管理担当者ら164人(123団体)の参加があった。 
 「ストレスチェックの目的は1次予防です。高ストレス者を早期発見して、その人たちにアプローチする2次予防が目的ではありません」とストレスチェック制度の目的を土肥先生は再確認して、講演は始まった。
 多くの企業・団体で採用している職業性ストレス簡易調査(以下ストレス調査)を用いてストレスチェックを行うと、約10%の高ストレス者が出現する。それでは、いったいそのうちの何%の人が制度で定めている「医師による面接」を希望するのだろうか。ある※EAP機関による3万人を対象にした調査の結果、高ストレス者のうち1%が面接を希望する、というデータが得られた。1、000人の受検者から1人が医師面接となる計算だ。
 ストレスチェックは1000分の1の人のために膨大な手間ひまをかけて行うわけではない。「労働者一人ひとりのセルフケアにつなげていくこと、また職場環境の改善に活かすことがストレスチェックを活用するためのキーワードです」、と土肥先生はいう。

面接の仕組みづくり

 「医師による面接」のみで対応するのか、産業保健スタッフによる「一般相談」を併用するのか、を決めることはポイントの1つ。法に定められた「医師による面接」の場合、ストレスチェックの結果は本人の同意をとったうえで、事業者へ通知される。「一般相談」では、その必要はなく、従業員との面談をとおして過重労働や職場の環境要因が明らかに認められたら、本人にストレスチェック制度の「医師による面接」を勧奨する、といった柔軟な対応が可能。また「一般相談」では医師以外の保健師や心理職が活用できる、というメリットもある。
 「法律の最小限の範囲で医師面接だけを行うのか、高ストレス者への対応をひろく考え、一般相談を併用するのか、安全衛生委員会でしっかりと検討すべきでしょう」と土肥先生。

集団的分析結果の活用

  疾病対策として職場のメンタルヘルスを考えた場合、まず必要なのは復職支援といった3次予防、その次がメンタルヘルス不調者の早期発見と対応という2次予防。不調者をださないための1次予防には、教育や従業員のセルフケアの推進などさまざまなアプローチがあるが、ストレスチェックの集団的分析結果の活用もその1つである。
「自社のメンタルヘルス対策全体のバランスを考慮し、1次予防にどれだけの資源(マンパワーなど)を投入するのかを見極めることは大切」、と土肥先生はいう。
ストレス調査で集団的分析に用いるのは①仕事の量的負担感とコントロール(裁量)感、②上司の支援感と同僚の支援感、に関する質問(12問)の回答である。分析結果を用いて管理監督者と面談などを行う際は、まず分析の仕組みをしっかりと説明すること。あくまで、「職場の部下たちの主観的感覚の総和」であり、管理監督者の評価ではないことを伝えるのは重要。管理者の面談の時は「部下の気持ちになって考えてみましょう」と土肥先生は管理者に提案している。
また部署ごとの集団的分析を行う場合、各部署の得点の高低や差ばかりに注目しないで、「各部署が会社全体のどこに位置するのか」というデータ(図)を作り、個別の部署の結果と並行して示していくことが管理職に職場環境改善を促すために有効となる。
職場環境改善の進め方として、悪い部署を直そうという方法は難しい。それよりも結果の良かった部署に着目し「良い職場の良い行動をみんなでまねをしよう」、という企業風土を創る「Good Practiceの水平展開」を土肥先生は提案した。
15年間、試行錯誤しながら集団的分析結果の活用を継続してきた三井化学では、従業員一人ひとりが職場環境改善を認識し、「働きやすい職場をつくろう」という意識が生まれてきている。

※従業員支援プログラム(Employee Assistance Program)

中央診療所のご案内集団検診センターのご案内