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健康かながわ


 第4回かながわ健康支援セミナー(主催・当協会)が11月15日、横浜情報文化センターで開催された。今回は「予防医学の視点からの「健康を支える栄養学」~働く人の生活習慣改善とメンタルヘルス対策のための栄養理論~」をテーマに、NPO法人ヘルスプロモーションセンター理事長の佐藤和子医師が講演。県内の健康管理担当者ら65人(53団体)が参加した。。  

いかに食べるかを身につける

 すべての人に、生涯を健康に暮らしてほしいという願いから医学を志し、その後予防医学の道を選んだ。生涯を健康で暮らすためには、正しい食生活を学び実践すること。「『いかに食べるか』を身につけていないために、病気に悩む方がたくさんいる。幼児期から正しい食生活を身につけ実践してほしい」。
 佐藤和子先生のこの思いは、医師として病院に勤務していた頃にさかのぼる。重い病気の子どもたちが、小さな体で大きな外科的手術に立ち向かっていた。しかし、医療技術が優れていても、手術後に亡くなってしまう子どもたちを何人も見てきた。医者は病気を100%は治せない。治療の主体者は患者本人だ。であるならば、病気にならない方法を皆で共有することが唯一の道だ。栄養の質を見据えた食事が重要で、カロリーに足場を置いた栄養学では、体は良くならない。質が問題なのだ。佐藤先生はそう考えた。。

植物も人も同じ

  トマトの巨木を創られた野沢重雄先生の『水気耕栽培』の考え方は、植物の3大栄養素を基本とした液肥を用い、空気(酸素)を供給するもの。佐藤先生は同じ考え方に立ち、人体の構成成分や構成元素の割合、体液の組成などに着目し、栄養学を組み立てた。その重要な栄養素の順位は、表1のとおり。
 自分をベストな状態に仕立てるために、しっかりした知識を持つことが、予防医学のもっとも重要な点である。そこで、小学校に入る前から栄養について覚えてもらうために、食品の分類を、交通信号のように赤青黄で分類した教材を作った。
 赤群は魚や豆、肉など主にタンパク質の供給源となるもので「食べないと大変だよ!」というもの。青群は緑黄色野菜、海藻類など主にビタミンA・Cと食物繊維や鉄・カリウムなどの供給源で「噛んだときにしか栄養が出てこないよ」というもの。黄群は穀類、芋類など主に炭水化物・脂質などの供給源で、「エネルギーになるけれど、単体では意味がないよ」と視覚的にすぐわかるようになっている。赤と青が主役(命に直結する)で、黄は副次的なもの。これで子どもたちにもすぐに覚えてもらえる(表2)。
 食生活を分析・診断する『ミラー』という評価法も作った。生活に関する17項目のチェックと、食事内容を量(グラム)で書いてもらうもの。このミラーのデータを約2万人分集めた結果、病気を招いた人の特徴も明らかになった。

細胞は入れ替わる

。細胞(の内部の成分)は絶えず入れ替わっている。たとえば脳細胞の入れ替わる速度は1カ月で40%、遅いものでも1年。しかもこの脳細胞をすべて使っている人はおらず、通常は8%程度。かのアインシュタインでさえ14%といわれている。都会の便利な生活をしていると2~3%しか使わないといわれるため、少し不便で手のかかる作業をすることが認知症予防につながる。
 胃の粘膜は3日、血液は100日と、いずれの細胞も、きちんと生まれ変わっていくためには、正しい栄養と良質な睡眠が不可欠だ。

 食事のとり方の基本原則を表3で示した。食事は3食どれも大切だ。1食1食を、バランスよく、よく噛んでゆっくりいただく。唾液は発がん物質を無毒化できる。しっかり唾液を出すためには、睡眠が不可欠だ。
 健康は目的ではなく手段だ。人はきちんとした栄養で130歳まで生きられる能力を持つ。「人生130年。70歳80歳は折り返し地点と考えて、元気で生き生きと生活してほしい」。佐藤先生はそう締めくくった。

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