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前のページへ戻るHOME > 法人向けサービス > 健康情報(法人向け) > かながわ健康支援セミナー> 映像と音楽を活用しインパクトのある禁煙指導を実践しよう
 
健康かながわ  

企業や団体の保健・総務人事担当者を対象に行われているかながわ健康支援セミナー(事務局・当協会)が、7月27日、神奈川中小企業センタービル(横浜市中区)で行われた。今回はユニークな禁煙推進活動で注目を集める医師で住職の、東京巣鴨・とげぬき地蔵尊髙岩寺・来馬明規先生(写真)から、効果的な禁煙指導の方法と、昨今話題となっている「加熱式タバコ」について聞いた。当日は65社85人の参加があった。

受動喫煙と心筋梗塞

寺院住職の傍ら、循環器内科と禁煙指導が専門の来馬先生は、日本禁煙学会や日本医科大学、東京消防庁などで役員・救急救命法指導員をつとめている。禁煙推進やAED普及の講演・実習を、医療関係者、企業や団体の保健担当者から、小・中・大学、地元の団体まで幅広く行っている。映像や音楽を活用し、話の切り口を聴講者に合わせ、ユーモアに富んだ講演内容は脳裏に深く刻み込まれる。  この日もヨコハマに因み、講演冒頭はリーゼントで登場。「楽しく、わかりやすく、眠くならないタバコの話をします。ドクターだけに、毒舌でタバコという毒を抜きますヨ」と始まった。
 ヒット曲「ステイン・アライブ」を使った米国心臓協会の救急救命法普及キャンペーンの紹介が続く。「心臓マッサージはこの曲のスピードに合わせるといいです」「受動喫煙は心臓と大きな関わりがあります。タバコの煙にさらされると、血液がドロドロになって血栓ができ、急性心筋梗塞につながります。受動喫煙防止をしっかり行った地域は急性心筋梗塞の発症数が減少しています」とタバコ規制と循環器病予防の関係を示した。
 さらに「依存性」について話は進む。「依存性とは『わかっちゃいるけどやめられない』ということ。ご唱和ください!」と来馬先生。キーワードを会場の参加者が一斉に唱える。
 「タバコ会社がニコチンの依存性や毒性をいつわって伝え、人々を虜にし、狂わせ、そして利益を搾取しています。しかもタバコ製品の裏には原料の葉タバコを生産する途上国での深刻な小児労働、労働搾取、自然破壊もあるのです」と、ユーモアの中にもタバコに厳しく断をくだす。  休憩中も関連映像が続く。「アルコール依存症における見解をお聞かせください」「本日供覧された映像は利用できますか」「上役を卒煙に導くにはどうすればいいですか」など、参加者からあらかじめ寄せられた質問について、丁寧に答えていった。

広告に隠されたもの

後半は話題になっている「加熱式タバコ」に話が進んだ。
 「青い鳥、つまりありもしない『体によいタバコ』を求める喫煙者を巧みに誘惑し、誤解を意図的に生み出しています」と前置きし、加熱式タバコの構造と毒性を検証。「加熱式タバコ製品の説明書にも『本製品にリスクがないという訳ではありません。タバコ関連の健康リスクを回避する一番の方法は、紙巻きタバコも本製品も両方やめることです』と小さく表記されています。これは、タバコ会社も毒性を認めているということです。日本で最初に発売したのも、日本の甘いタバコ規制が狙われたからでしょう。目に見える煙はあまり出ませんが、ニコチンやアセトアルデヒドの蒸気が発生しています。有害物質の『見えない化』を狙っているだけです」と、加熱式タバコが低害という主張は「印象操作に過ぎない」とした。
 最後に、喫煙者に対する禁煙勧奨を動機づけ面接法の行動変容モデルで解説した。写真や動画を活用したわかりやすい情報の提供を何度も繰り返しながら、喫煙者の社会的背景や生活状況を探りつつ、無関心期から関心期への移行を図り、「タバコをやめようか…」という気持ち(チェンジトーク)が生じて来たところで、喫煙者の心に響くキラーフレーズ(殺し文句)を伝えて禁煙に向かわせる。喫煙者それぞれに合わせた実践が、来馬先生の考えるテーラーメイドの禁煙指導である。
 動機づけ面接法とインパクトのあるキラーメッセージ。論破ではなくチェンジトーク。「今日の内容をぜひ皆さんの毎日の禁煙指導に役立ててください」と講演を結んだ。

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