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健康かながわ

健康支援センター「ウェルポ」

トヨタ自動車株式会社・トヨタ自動車健康保険組合では、2008年4月より共同事業として愛知県豊田市に健康支援センター「ウェルポ」を開設し、健康診断・健康学習会を開催している。当協会でもこの事業のお手伝いをしている。今回、ウェルポの見学と合わせて学習会に参加させて頂き、健康支援への考え方や進め方についてウェルポ副所長の横地隆医師にお話を伺った。

ウェルポ開設の趣旨

トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ)とトヨタ自動車健康保険組合(以下トヨタ健保)は共同事業として、同社関連施設のフォレスタヒルズ内に健康支援センター「ウェルポ」を開設した。ウェルポとはウェルネス(健康づくり)とポジティブ(積極的)を組み合わせた造語で、健康づくりを一歩ずつ取り組んでいこうという思いが込められている。

ウェルポ開設の趣旨は「従業員の健康づくりは家族のサポートから」ということである。トヨタの従業員は男性が97%以上を占めており、従業員=男性といっても過言ではない。しかしその従業員の健康を支えるのは家族、特に配偶者の存在が大きい。そこで、家族を含めた健康づくりを推進するため、トヨタ健保との共同事業としてウェルポの開設に到った。

ウェルポの健康支援事業とその特徴

ウェルポではトヨタ健保加入企業38社の従業員・家族約22万人を対象とした健康事業を展開している。具体的には、36歳から4年に1回、最新の医療機器を用いた、各種疾患の早期発見を狙いとしたハイレベルな健康診断(節目健診)を行うとともに、各人の健康状態に合わせた指導や健診結果の説明を行う健康学習会を開催している。
また36歳からというのもウェルポならではの特徴。同社の健康診断結果は、40歳代以降の健常者率が大きく減少している。そこでその一歩手前から生活習慣の改善を図るため、節目健診開始年齢が36歳に設定されている。健康診断では、がんの早期発見、動脈硬化の予防、メタボリックシンドロームの予防に重点を置いている。
健康学習会では、グループ学習などを取り入れ、お互いの生活習慣を話し合ったり運動体験をすることで、生活習慣改善の推進を図っている。
またウェルポ開設の趣旨に基づき、従業員本人の健診に合わせて配偶者(被扶養者)が同時に受診できることも大きな特徴である。

ウェルポのもう一つの大きな特徴は職員一同、健康診断を「きちんとしたおもてなしで気持ち良く受診し、気持ち良くお帰り頂く」ということを大切にしている点である。
事業所の健診というと、時間内に多くの人の検査を行わなくてはならないため、検査を行う側も受診する側も流れ作業的になりがちである。しかしウェルポは家族と一緒に丸一日をかけて健康について考える場を提供することを目標としている。受診者にアンケート調査を行い、健診や学習会、スタッフの対応等について評価をしてもらっている。そしてその評価を取り入れ、より良い健康づくりのための環境提供に努めているということである。

ウェルポ訪問

今回、午後の健康学習会から見学・参加させて頂いた。
4階建て総床面積約11、000・の建物は非常にゆったりとしており、保養所のようなくつろいだ雰囲気である。2階の健診フロアの更衣室や待合ロビーも落ち着いた雰囲気で、健診に来たというよりも「招待された」気分になった。
3階の学習フロアに上がると、大きなウォーキングエリアと最大酸素摂取量測定用の自転車が数十台並んでいることに圧倒された。
早速、いくつかのグループに分かれて行われている学習会の教室に見学に入らせてもらう。学習会は10人程度の小グループで行われている。そこで使われる資料は、午前の健診中にタッチパネルで入力してもらった生活パターンや健康診断の結果をもとに作成された「個人処方せん」を用いている。

生活習慣の学習時間では、個人処方せんを用いてバランスの良い食事について考えたり、生活活動について考えたりする。例えば食事については、昼食で提供されるヘルシーランチについても触れ、その時、実際に食べたものでバランスのよい食事を振り返ることができるように工夫されていた。
目標設定の時間では、事例を用いて生活習慣について考えるグループワークを行っている。最後に、自分自身の処方せんを見ながらこれからの健康目標を立て、一緒に学習したメンバーに目標を宣言、メンバーは応援の意味を込めて拍手をするという形で締めくくられた。

運動実践の時間では、最大酸素摂取量の測定、ウォーキングコースを利用してウォーキングの体験を行った。ウォーキング体験では床に埋め込まれたライトが点灯するタイミングに合わせて歩くように工夫されており、適度な運動強度を体験できるようになっている。
その他、今回の訪問では時間の都合上見学できなかったが、禁煙・レディース・セルフケアの中から一つ選んで学習会に参加するコースも組み込まれている。また学習室、ウォーキングエリア以外に自己学習のための体験コーナーが設けられている。体力測定や血管や肌の状態の簡易測定、乗馬型フィットネスマシーンなど多項目の体験ができるようになっていた。

見学を終えた後にウェルポ副所長の横地隆医師に再度お話を伺うと、先ほどの学習会のスタッフは、放射線や検査の技師であるとのことであった。ウェルポでは保健師や管理栄養士といった普段から学習会などの業務に携わっているスタッフだけではなく、全てのスタッフが学習会や運動実践等を担当できることを基本としているそうである。ウェルポのスタッフには「職種にこだわらない」ことを徹底しているとおっしゃっていた。またそうすることで、どのスタッフも自ら進んで本来の自分の業務にとらわれない知識・技術を吸収し、よりよい業務につながっていると横地医師は話してくれた。

当協会での健康支援

当協会では、主に関東地域のトヨタ従業員・家族を対象とした、健診と学習会を担当している。ウェルポと同様、午前中に健診、午後に学習会と人間ドック・コーディネーターによる個別面談を行っている。参加者にはできるだけ快適に受診して頂き、午後の学習会では自分自身の健康について考える時間を提供できるよう工夫している。

当協会の学習会の特徴としては、事前に2日間の食事調査と2週間メモリー付歩数計を装着して頂き、参加者の実際の身体活動量やエネルギー摂取量を解析している点である。個別面談終了時に一言アンケートを実施しているが、「4年後の節目健診もまた協会で受けたい」と言ってもらえた言葉がスタッフの励みになっている。

(健康かながわ2008年12月号)
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