情報サービス
前のページへ戻るHOME > 情報サービス > 健康かながわ> 当協会の特定保健指導の状況
健康かながわ

当協会の特定保健指導の状況

平成20年度から健康保険組合、協会けんぽ、市町村国保、国保組合、共済組合などの医療保険者による、40歳以上の被保険者・被扶養者に対しての「特定健診・特定保健指導」が開始された。当協会でも平成20年の実施前からモデル事業を行いながらアウトソーシング機関として体制を整備し、保健指導サービスの質の保証を確保し、進めてきた。今回、本紙では、健康創造室相談課主任の進藤朋子保健師が、これまでの当協会の実施状況をまとめ、課題も含めて報告する。

  平成20年4月、医療保険者による「特定健康診査・特定保健指導」が開始された。神奈川県予防医学協会は、平成19年から体制整備をはじめ、モデル事業を実施し、平成20年4月に特定保健指導事業をスタートさせている。平成20年度実績と21年度実施状況をまとめた。

ニーズに応じられるプログラムと体制

平成20年4月、医療保険者による「特定健康診査・特定保健指導」が開始された。神奈川県予防医学協会は、平成19年から体制整備をはじめ、モデル事業を実施し、平成20年4月に特定保健指導事業をスタートさせている。平成20年度実績と21年度実施状況をまとめた。当協会の特定保健指導プログラム(図1)には、個別支援型とグループ支援型がある。特定保健指導実施方法は大きくわけると以下の4つ。
①人間ドックでの当日階層化による個別の情報提供と動機づけ支援の実施、積極的支援の参加勧奨
②健診後日の施設による動機づけ支援・積極的支援の実施
③健診後日の巡回による動機づけ支援・積極的支援の実施
④巡回健康診断時の全員面接による生活習慣病予防の指導実施機会を利用した動機づけ支援の実施、積極的支援の参加勧奨である。
複数のプログラムと実施方法により、保険者・事業場の特徴や要望に応じ、参加しやすく途中終了を防止するよう努めている。20年度は個別支援型プログラムからスタートさせ、21年度からはグループ支援型プログラムの提供も開始している。

20年度実績と21年度実施状況

20年度および21年度の特定保健指導実施数は表1の通り。21年度は現在実施中で、すべての対象者が終了まで至っていない。初回面接の実施時期により6カ月後の最終評価は年度をまたがることがある。このため20年度の支援すべてが終了したのは22年1月であった。
 初回面接を実施した積極的支援11 0人のうち脱落者13人(11・8%)、動機づけ支援411 人。そのうち最終評価まで完全に実施ができたのは、積極的支援97人、動機づけ支援340人。特定保健指導では、評価が義務付けられていることも特徴の一つである。
 
  計測値変化では、体重減少者の割合は、積極的支援で約70%が減少し、2kg以上の減少者は39%。動機づけ支援では約50%が減少し、2kg以上の減少者は22%であった。腹囲2㎝以上の減少者は積極的支援で53%、動機づけ支援で31%であり、数㎝・数㎏の減少で「ベルト穴がひとつ減った」「体重が減ることで階段が楽になった」などの体感変化を喜ぶ姿が見られている。

  生活習慣が改善したと感じた者は、積極的支援86・5%、動機づけ支援58%であった。しかし、生活習慣の改善は、個人の価値観に影響されること、評価に使用する計測値には、測定方法が異なる値が含まれていることを考慮していく必要がある。今後は、実施数の増加からプログラム別での集計・評価が可能となり、効果評価を含め、途中終了の防止や最終評価回収率の向上が課題である。さらに、毎年同じ対象者に同じ支援の繰り返しにならないために、経年的な支援プログラムの準備も進めている。

保健指導の品質管理

保健指導は対人サービスであり、提供されるプログラムや保健指導実践者のスキルが質に影響を及ぼすと考えられる。当協会は、内部教育体制、保健指導の質の標準化・管理に早くから取り組んできていた。昨年21年には、産業医科大学の「保健指導の品質管理に関する研究」の一環として、「保健指導サービス品質管理システム導入支援ガイド」のモデル事業に参加をした。

  保健指導マネジメントシステムの導入により、保健指導サービスの品質に関する基本方針(表2)が制定・明文化された。品質管理を行う体制整備を構築。内部監査を実施し、基本方針実現のために年間目標・年間計画を立案し、運用管理を進めている。保健指導サービスの品質管理を導入した結果、関係部署・スタッフの保健指導サービスに対しての共通認識が深まり、質が高く信頼できるサービスの提供を目指した活動が行われている。

  当協会は、特定健診・特定保健指導サービスの提供者として、実施からこの3年で内部体制や運用管理、評価などの基礎が整えられたと考える。今回の保険者が実施する特定保健指導制度の事業だけでなく、産業保健活動の健康づくり、健康診断結果の保健指導を連動させていくことが生活習慣病予防に大きくつながると考える。今後は、顧客ニーズに応えながら、その結果評価を行い、より充実したサービスの提供を目指したい。

  最後に、品質を向上させるとともに、客先の拡大も今後の大きな目標であるが、合わせて人材の確保も課題である。(進藤朋子)

(健康かながわ2010年8月号)

中央診療所のご案内集団検診センターのご案内