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尿中NAG  腎尿細管障害の指標

N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼという長い名前の酵素があります。通常はその頭文字を取ってNAGと呼ばれます。この酵素は糖の分解酵素の一種で、細胞中に取込んだ糖の一種を分解する働きをしています。 この酵素は人の臓器に広く分布していますが、かなり大きな酵素であるため、血清中の酵素が尿に出ることはほとんどありません。

尿中のNAGは腎の近位尿細管と呼ばれる部位の多く含まれていて、そこが傷害されることにより尿中に出てくると考えられています。 腎の尿細管は糸球体でいったん濾過された成分の中から必要なアミノ酸や、ブドウ糖、水分、塩分などを再び体内に取込む働きをしている組織です。NAGは尿細管上皮細胞の変成や破壊のような傷害が起こった場合に尿に高濃度に出現してきます。

しかし、腎障害がさらに高度になると、NAGの供給源である細胞が破壊、死滅するため、尿中NAGは基準値以下に低下します。この状態では、尿細管の再吸収機能が障害されているため、前回紹介した尿中ミクログロブリンは高値となります。この尿中NAGと尿中ミクログロブリンの値を比較することにより腎尿細管障害の程度を推定することが可能です。

関連する疾患

糖尿病で尿中NAGが上昇することもよく知られた事実です。糖尿病が進行するとNAGは高値となり、治療により糖尿病が改善するとNAGも低下します。 その他、急性肝炎、白血病、前立腺炎でも尿中NAGが上昇することが知られています。

基準範囲
6 U/gクレアチニン未満