法人向けサービス
前のページへ戻るHOME > 法人向けサービス > 健康情報(法人向け) > かながわ健康支援セミナー > 職場のメンタルヘルス~うつの予防と対応~
健康かながわ

職場のメンタルヘルス~うつの予防と対応~

image第6回かながわ健康支援セミナーが1月18日、松村ガーデンホール(神奈川県予防医学協会7階会議室)で開催された。

慶應義塾大学教授で「過重労働のメンタルヘルス対策の在り方に係る検討会」のメンバーでもある大野裕先生が、「職場のメンタルヘルス~外うつの予防と対応~」をテーマに講演した。事業所で労働衛生に携わる健康管理担当者88人(69団体)が参加した。

「こころの声」 に耳を傾ける

「うつ病は、誰もがかかる病気です。『こころの声』に耳を傾け、その症状にどういう意味があるのかを考えて、次のステップを考えてください」という語りかけで講演は始まった。

WHOの調査によると、精神障害の生涯有病率は4人に1人といわれている。
労働者を取り巻く状況は、企業間競争が激化し、能力主義・成果主義的な賃金処遇制度の導入が進んでいる。一般の健康診断での精神障害等の有所見率は増加傾向にあり、平成15年度に何らかの所見を有する者は47・3%。同年度の自殺による労災認定件数は100件を超える。

過重労働による健康障害や職場のストレスによる精神障害などが原因となって、自殺や自殺未遂につながったとして、企業が訴えられる事例が増加している。労働安全衛生法に定められた「安全配慮義務」に違反していると認められると、労災認定から賠償問題に発展して、事業者が責任を問われることが年々増えている。

そのような事態になることを避けるためにも、労働者が健康で安全に働くことのできる職場環境の整備は企業の社会的責任となっている。

積極的な相談を

うつ病は、まじめで几帳面、完璧主義の人がなりやすい傾向があるが、性格だけでなく環境との相性も誘因になる。職場不適応の場合は、異動によって治ることも多い。わがままととらえず、治療の一環と考え、それ以上悪化させない環境を用意したい。

しかし、こころの不調を感じても、3分の2の人たちは、相談行動を行っていない。
主な受診の遅れの理由は、「自力で対処したかった」「治療を受けていることを知られたくない」「どこに行けば良いかわからなかった」などである。

健康担当者は、「こころの病気なのだから、積極的に相談を」というアプローチ並びに啓発を行い、事業所内外の資源をうまく活用する必要がある。「治療を受けていることを知られたくない」という人には、「早く元気になって、成果を上げられるようにすることの方が大事なのでは」と話してみるのも効果がある。
うつ病は表面的には元気そうに見えたり、睡眠障害、疲労・倦怠感、食欲不振などの様々な身体症状となって現れることも多いため、気づかれにくい。

精神的な症状としては、憂うつな気分、興味・喜びの喪失、気力がわかない、思考力や集中力・記憶力の低下、自分を責める(無価値観、罪責感)、死について繰り返し考える、などがある。気持ちが落ちこむことは誰にでもあるが、2週間以上続いているかどうかがひとつの目安になる。「死にたい」と本人が言うときは、すぐに専門医に紹介するなどの対応を行うべきだ。

周囲の気づきの ポイント

周囲の気づきのポイントとしては、仕事のミスが増えた、能率が下がった、遅刻や休みが頻回になった、孤立、いらだち、口数の減少。原因不明の体調不良などがあげられる。こうした所見が増え、以前とは違うと思われる場合は要注意である。
周囲の人の対応いかんによって、症状の悪化や再発、さらには自殺という最悪の結果を招くこともあるため、職場内啓発は重要だ。

うつ病には、励ましは禁物である。「今度一緒に気分転換に行こう」といったような微妙な励ましであっても同様である。「こんなに気を遣ってくれ、励ましてくれているのに、応えられない自分はダメな人間だ」と、さらに、自分を責めることにつながる。本人の「つらい」という主観やペースを尊重しながら、必要以上に気を使い過ぎず、結論を急がず、薬などの適切な治療を上手に利用するように勧めたい。

研修会のお知らせ

3月に当協会主催による産業看護職を対象とした研修会を予定している。テーマは「過重労働対策への産業看護職の活動について~看護職が取り組むための実習」。内容は産業医からの講義、事例演習を予定。演習については事前に課題が提示される。問合わせは当協会相談課(TEL 045-641-8494)まで。

中央診療所のご案内集団検診センターのご案内