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前のページへ戻るHOME > 法人向けサービス > 健康情報(法人向け) > かながわ健康支援セミナー>ワーク・エンゲイジメント―組織を元気にする“攻め”のメンタルヘルス対策とは―
 
健康かながわ  

12月7日、神奈川中小企業センタービルで行われた本年度5回目の「かながわ健康支援セミナー」では、健康経営を働く人のやりがいまで掘り下げて考え、さらなる心身の健康と生産性の向上を図るワーク・エンゲイジメントについて、北里大学一般教育部人間科学教育センターの島津明人教授に聞いた。当日は企業や団体の健康管理担当者など64団体75人が参加。


前向きな気持ちを

生産人口の減少で労働力の低下が懸念される中、労働力確保の手段として、労働の質の向上とともに、健康経営の推進が重点化されている。経営戦略として労働者の健康支援に取り組む動きが加速している。また、働き方改革で新しい働き方を模索する動きも始まっている。
 これまで職場のメンタルヘルスは、働く人の弱い部分を下から支える、セーフティーネットの役割を担っていた。生産性の拡充のために働き方の変化が求められる中、精神的不調への対応やその予防などのメンタルヘルス活動にとどまらず、生産性の向上と、その背景にある社員の健康増進と幸福の創出のために、組織や個人の活性化を視野に入れた対策が期待されている。この広い意味での労働者の「こころの健康」を支援するのが、ワーク・エンゲイジメントである。従業員一人ひとりが元気に働けるか、組織を元気にできるか、メンタルヘルスの1次予防以前を考える積極的な取り組みだ。
 こうした流れは日本だけではなく、国連の持続可能な開発目標の17テーマにも「すべての人に健康と福祉を」「働きがいも経済成長も」と、健康や働きがいは生産性とともに、世界共通の目標に位置づけられている。世界保健機関(WHO)では「メンタルの疾患を越え、生産的で充実して働くことができる」とメンタルヘルスが定義づけられるなど、ワーク・エンゲイジメントは国際的も広がっている。

夢中型の努力

1970年代からワーク・エンゲイジメントは人事コンサルティングなどで使われていた。当初は曖昧であったが、働く人の燃え尽き症候群(バーンアウト)を研究していたオランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授が、「燃え尽きないことも幸せの一部だが、働くのなら、それだけではなく、いかにやりがいを持つか、充実して働けるか必要」とバーンアウトの対立概念としてとらえられるようになった。(図1)
 ワークエンゲイジメントは「仕事に誇りを感じる」「仕事に熱心に取り組む」「その仕事から活力を得る」の3つの要素で構成される。同じように「仕事を頑張る」でも、ワーカホリックと比較すると、仕事を楽しいと思うか、思わないか、そして、活力を得られるかという部分が異なる。
 ワーカホリックは仕事依存・仕事中毒で、仕事に対して自信を失い、疲れきっている。仕事から離れると、罪悪感からストレスを感じ、その軽減が仕事を行う第一の目的となる。ワーカホリックは「我慢型の努力」、ワーク・エンゲイジメントは「夢中型の努力」といわれる所以だ。

仕事の資源・個人の資源

従業員や組織が生産性を高め、健康で幸福感を感じるためには、これまでのメンタルヘルスが扱っていた健康障害プロセスに加え、さらに仕事にやりがいを感じ、前向きな姿勢を生むにはワーク・エンゲイジメントによる動機づけプロセスが必要である。(図2)
 仕事の資源と個人の資源を充実させることでワーク・エンゲイジメントを高めることが可能になる。仕事の資源とは仕事の強み、職場の強みともいわれ、仕事の裁量権、上司や同僚のサポート、上司と部下の信頼関係、仕事の中で自分が成長できる機会、やりがい、意義などがあげられる。
 個人の資源は自己効力感、
やればできるというコントロール感、自尊心、しなやかな心、これらが粘り強さを出し、結果として経験値を高める。そして、資源の充実は従業員のストレスを軽減し、生産性を上げる。
 従来のメンタルヘルス対策はストレスを下げるために、仕事のストレス因を減らすことを考えていたが、これからはストレスを下げながらも、重視するのは個人の資源、仕事の資源を増やして、ワーク・エンゲイジメントを充実させていくことがポイントになる。
 仕事の資源は職場教育や職場環境改善など、視点を変えると組織開発に近づき、個人の資源はセルフケアなど人材開発につながる。また、仕事の資源を高めるには、管理者や上司の役割が非常に大きく、組織の活性化には産業保健職だけではなく、経営陣をはじめ、労働組合、人事総務、従業員一人ひとりなど、さまざまな人々の協力が必要となる、まさに経営手法といえる。。

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