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健康かながわ    
3月1日に情報文化センター(横浜市中区)で行われた「かながわ健康支援セミナー」(主催=当協会)では、東京女子医科大学名誉教授で同大学ロイヤルメディカルセンター所長・大塚邦明先生を講師に迎えた。ヒトの体内時計の働きから、時間医学に基づいた健康維持法を産業保健にどのように生かせるのかという講演内容に、65団体83人の参加があった。


体内の全細胞に存在

1972年、哺乳動物に体内時計が発見され、まもなくヒトにもあることも発見された。その25年後、脳をはじめ40兆に及ぶヒトの全細胞に体内時計の働きを司る時計遺伝子があることがわかった。そして、これらの時計遺伝子の発見によって、生体リズムの崩れが、肥満、血圧上昇、中性脂肪の増加、糖尿病やがんの増加を引き起こし、骨粗鬆症による老化と寿命の短縮も明らかにされた。
 このことから健康を維持するには、体内時計を正しく働かせることが必要だと考えられる。そして自律神経、免疫の機能を高めるために、「よく眠る」「運動をする」「食を見直し、腸の働きを整える」「脳力トレーニングを心がける」の4つの生活習慣が鍵になる。。

睡眠が体内時計の乱れを治す

睡眠が脳にもたらす働きは少なくない(図1)。不眠になると体内時計を調節するホルモン、メラトニンが減少し、自律神経も乱れ、ホルモンバランスが崩れ、免疫力が落ちるので、血管が傷み、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病にかかりやすくなる。脳の老廃物を排出できなくなり、アルツハイマー症候群やパーキンソン病にもかかりやすく、記憶を司る海馬を萎縮させる。
 日本人の3人に1人は不眠症という。不眠の一番の原因は日常のストレス。さらに、不規則な起床時間、運動不足、抑うつ気分、胸焼け、夜間頻尿と続く。生活習慣病はさらに不眠を重くする。健康な生活を維持するためには、不眠症を治す生活治療(表1)が必要である。
 体内時計は毎日約1時間ずれるため、毎朝、朝6時から7時に起床し、朝の光を浴び、起床後1時間以内に朝食を摂って整える。6時間から7・5時間の健康な睡眠時間を確保するために、夜12時就寝を心がける。多忙で自宅で眠る時間がなくても、せめて1週間に1回は夜12時に就寝し、6時か7時に起床し、乱れたリズムを取り戻す生活が求められる。
 シフトワークや交代制勤務は、体内時計にそぐわない時間の食事や慢性的な睡眠障害など、不眠症へのリスクが大きい。生体リズムを戻すためには、夜勤明けの日の睡眠を深くすることがあげられる。現在は副作用の問題も少ない睡眠誘導剤も出ており、少量を処方する方法も有効である。

時間医学とこころ

時間医学はこころにも関わる。昔の思い出にこころがときめいたり、旅先の景色にこころをときめかせる。こころのときめきがないと体内時計はリセットできない。
 また、朝起きて身だしなみを整え、こころゆくまで化粧をすることでも時計遺伝子が活性化する。そして活動モードと休息モードの切り替えも大切。何もせずぼんやりしている時に前頭葉、頭頂葉、側頭葉が一緒になってネットワークを作り、脳が活性化する。急にアイデアがひらめいたり、今まで悩んでいた問題に解決策が見えたりする。社会とのつながりによる幸福感も欠かせない。
 「眠る、運動する、腸を整える、脳を活性化する。この4つのポイントに焦点をあて、健康管理に時間医学を活用して欲しい」と大塚先生は結んだ。

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