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健康かながわ

2022年度第4回 かながわ健康支援セミナー(主催・当協会)が3月16日(水)「テレワーク環境でもパフォーマンスを上げるマネジメント」~人を育て、チームを育てる心理的安全性~のテーマでオンラインにて開催された。講師にヒューマンハピネス代表取締役・千葉大学非常勤講師兼任、産業医・公認心理師の上谷実礼氏を迎え、テレワーク環境での人材育成やチームビルディングのポイントについて 産業保健に関わる産業医や保健師、管理栄養士など70人に講演を行った。
 長引くコロナ禍でテレワークが浸透し、社内でのコミュニケーションが減り部下の育成やマネージメントの難しさに悩む組織は少なくない。コミュニケーションや評価のしかたの本質が問われるテレワーク環境で、スタッフとチームの育成に必要な人との関わり方を上谷実礼先生がレクチャーする。

 健康長寿の指標は、心理的安全性を育むコミュニケーションを意識

 テレワーク環境で組織が取り組むべき最も大切な仕事は、「心理的安全性」の醸成と言っていい。今いる環境が否定や非難をされない安全・安心な場所であり、ネガティブなことも臆せず表現し本来の自分をさらけ出せると感じられる。そして、誰もが平等かつ自由に意見が言える心理状態を心理的安全性と言い、これが従業員のパフォーマンス向上の基盤要素になる。

心理的安全性が担保されると、生産性や収益性の向上、ミスの減少、離職率の低減といった変化が見られる。一方で、能力のない人を甘やかしてヌルい組織になる可能性が懸念されるが、心理的安全性を高めながら仕事の結果を求められる状況を作れば、学習能力が養われ高いパフォーマンスを発揮するチームに成長できる。
 心理的安全性を育むには、「コミュニケーション」への理解が重要になる。コミュニケーション手段は時代と共に変化し、コミュニケーション系メディアの平均利用時間を見ると、10代ではソーシャルメディアの利用が最も多く、世代が上がるとメール利用が上位を占め、世代によって慣用するメディアやツールが異なる。

ミスコミュニケーションを防ぐには、各ツールの特徴を理解し、場合によっては他の表現で補う必要が出てくる。一つ言えるのは、人と人をつなぐ手段はコミュニケーションに限られ、つながりが強力になるほど協力する組織になるのは、どのツールを使っても変わらないということだ。

 オンラインでのコミュニケーションは、ビデオ機能をオンにするのがポイント。顔だけでなくバストアップを映して姿勢からも相手の情報を読み取り、相槌などのリアクションは大きく、身振り手振りは画面に入る範囲内を意識すると良い。というのも、心理学者のアルバート・メラビアンが提唱したメラビアンの法則によると、言葉でやりとりする情報は7%にすぎず、視覚情報が55%、聴覚情報が38%を占め、非言語的コミュニケーションの重要性は極めて高いからだ。

メールやチャットといった文字だけのコミュニケーションを行う場合は、用件だけでなく自分の意思・感情・意図が伝わる人間味のある表現を心がけたい。自分の内側を表現し理解してもらうには、自分自身がどういう状態にいて、何を感じているかを伝え合う「対話」を意識し、自分に関係のない当たり障りのない「会話」だけでは相互理解は深まりにくい。

テレワーク下のマネージメントに「カウンセリング型1on1」は必須

対面でのコミュニケーションが減ったことで孤立感に悩む人は多く、「つながりや居場所の実感」が求められている。人は所属感と貢献感を得られると居場所と役割を感じられるので、つながりを育てる2つのスキルを身に付けたい。一つ目のスキルは「感謝を伝える」こと。「ありがとう」の一言は、仲間意識や居場所があるという感覚を生むのに有効なので、上司は部下がやって当たり前と思わず、「資料の作成、ありがとう」など積極的に感謝を伝える習慣をつけたい。二つ目のスキルは「挨拶」。挨拶は単なる礼儀やマナーではなく、相手の存在を認めてつながりを生み、相手を大切にして危害を加えないというメッセージを伝える役割があると覚えておきたい。

従業員の心理的安全性を高めるには、「カウンセリング型1on1」の実践も有効。上司と部下で定期的に1対1の対話を行う1on1を行っている組織は多いが、テレワーク環境ではもはや必須のマネージメントツールと言える。1on1のスタイルは、コーチング型が多く採用されているが、心理的安全性を育むには受容と共感に徹したカウンセリング型であることが望ましい。そのためには、相手が本当に伝えたいのは事実や思考の先にある気持ち・感情であると理解したうえで、「どう感じている?」と質問したり、しぐさ、顔の表情などから気持ちを読み解ったりする意識が大切。そして、相手の気持ちを否定せず受け入れられると、不安や孤立感が解消しやすい。対話中に沈黙が訪れたらすぐに質問を投げかけず、沈黙ができるのは心理的安全性が担保されている証として受け止め、表情などを観察しながら次の言葉をじっくり待つように心がけたい。  (2023.4.6)

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