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健康かながわ

写真2023年度第3回かながわ健康支援セミナー(主催・当協会)が、12月13日(水)にオンラインにて開催された。今回のテーマは、「成果を上げるための保健指導のポイント~第4期特定健診・保健指導を踏まえて」。国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター予防医学研究室 室長の坂根直樹氏に、2024年度より実施される第4期特定健診・保健指導の変更点や成果を上げる保健指導のポイントを解説していただいた。 参加者は、企業の産業医や保健師ら185名が視聴した。


 最初に第3期の特定保健指導における課題に触れ、実施率の低さ、実施しても生活習慣が改善しない、減量への動機付けの難しさがあったと分析。また、リピーター対策や運動・節酒・禁煙指導への苦手意識、保健指導者のスキルアップの難しさも課題として挙がった。第4期の変更点を確認しながら、これらの課題を解決するためのコツを伺った。

 対象者の変化を重視する「アウトカム評価」を導入

 特定健診のおもな変更点として、喫煙・飲酒に関わる質問項目でより正確にリスクを把握できるように選択肢が細分化された。また、食事の影響を受ける中性脂肪は、随時の中性脂肪の基準175mg/dLが追加された。   
  
 次に特定保健指導の変更点で注目すべきは、「アウトカム評価」の導入である。「腹囲2cm・体重2kg減」を目標として、達成すると180ポイントを付与し終了となる。食事・運動・喫煙・休養習慣の改善などの行動変容も評価項目に加わり、「腹囲1cm・体重1kg減」も20ポイントとして評価される。

 また、初回面接の分割実施の条件が緩和されて、特定保健指導の実施率を向上させるために早期の実施を評価し、より高い効果が見込める健診当日の初回面接は20ポイント、健診後1週間以内の初回面接を10ポイントとしている。介入方法は介入1回ごとの評価として、ヘルスケアアプリなどのICTの活用も引き続き推進する。

まとめ

信頼関係の確立のためにも保健指導者は事前準備を

 特定保健指導のスキルアップの1つとして、保健指導者が心得ておきたいのが「事前準備」の大切さであると坂根氏はアドバイスする。具体的には、標準的な質問票と健診結果をもとに対象者の生活習慣などをイメージして使用する教材を考え、健診結果をもとに動機付けの切り口を考えておくとスムーズに進められる。また説明力を養うことも必須で、説明する内容への理解度が低いと難しいことを難しいまま伝え、まったく理解できていないと優しいことも難しく伝えてしまう。難しいことを自分の言葉で優しく伝えるためには説明前に自身が内容をよく理解し、イラストや具体的な数値、関連エピソードを加えながら話すと説明力の向上につながる。

 対象者との信頼関係を確立するには、質問に答えられるか否かもポイントである。例えば、「Q1中性脂肪とコレステロールとの違いとは?」「Q2中性脂肪は食事の影響をどのくらい受けるか?」「Q3中性脂肪を下げるポイントは?」「Q4健康食品の効果は?」などはよく訊かれるため回答を準備しておきたい。

性格タイプに合うアプローチ法で効果的に指導

  対象者の中には運動の必要性を説明しても「時間がない」などの言い訳をして保健指導が進まないケースがある。この言い訳は「心理学的抵抗」と言われ、言い訳が出るのは保健指導が上手くいっていないサインのこともあり、アプローチ法を変える必要がある。

 その際に参考にしたいのが、性格タイプを外向的・内向的、論理型・感情型の4つに分類する、性格タイプ別のアプローチ法だ。保健指導者自身が自分の性格タイプを知り、さらに相手の性格タイプを理解したうえで相手に合わせてアプローチ法を変えると指導の幅が広がりやすいとし、具体例を交えて紹介した。 (2023.12.13)

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