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元気がでない症候群

第4回健康管理懇談会が11月7日、フォーラム横浜で開催された。今回は「メンタルヘルス」をテーマに、河野慶三・富士ゼロックス㈱全社産業医が「元気の出ない症候群」と題して講演を行い、77団体、91人が参加した。  河野慶三・富士ゼロックス㈱全社産業医は、平成12年10月にある医学雑誌の依頼で書いた『元気が出ない症候群』を紹介した。

この『元気の出ない症候群』は、①心身の過労、②心身のストレス、③将来に対する展望の欠如、の三症状の存在を確認することで診断される。この症状の一つひとつは病的なものではないが、職場としては何らかの対応を必要とする状態である。  

それというのも現在、職場で抱えるメンタルヘルス不全の多くはうつ病であり、うつ病はこの『元気が出ない症候群』の病的状態と考えることができるからである。うつ病が自殺の原因となることは周知のとおりである。  警察庁の発表によると、昨年一年間に自殺した人は31、951人であり、三年連続三万人を超えている。特に四十代、五十代の働き盛りの男性の自殺が増えているという。

うつ病になりやすい人がいることはよく知られている。そのひとつは、完全主義、几帳面で人から何かたのまれるとそれを断ることが出来ない人。このタイプは仕事が出来るから、病気になるまでは企業から評価されていることが多い。

二つ目は自己不確定で他者に依存する人。このタイプは、自分をよく理解しサポートしてくれる人のいる状況では安定しているが、きびしい局面にひとりで立ち向かうというような場面に弱い。

うつ病を早く見つけるには,「『元気の出る症候群』に着目することが有用です」と河野講師は強調する。富士ゼロックス㈱は、9人の専属産業医が年一回全社員に面談する方式をとっている。この面談では、当然『元気の出ない症候群』のチェックが行われている。
さらに、うつ病の早期発見には管理監督者の果たす役割が大きい。上司は毎日部下と会っている。そこで部下が「いつもと違う」ことに気づくことができるからである。 たとえば、会議に遅れたことがなかった人が遅れるようになる、頼んだ仕事は納期までに必ず仕上げていた人ができなくなる、などである。

河野講師は「この時に『いつもと違うがどうした?』と話しかけてほしい」と言う。大抵は「何ともありません」と答えるけれども、その時には「あぁ、そうか」といってひきざがり、二週間ほどウォッチングする。いつもとの違いに変化がなければ、もう一度、声をかける。部下はそれでも「何ともない」と答えることが少なくない。その時には、産業医に相談するように指示を出すのである。それでも、行かない時は、「これは会社のきまりごとだから、私が産業医に相談してくる」と本人に伝えたうえで、管理監督者が産業医に相談に行する。これが富士ゼロックスのやり方であるという。

このように管理監督者に果たして欲しい役割について教育し、それを実行してもらうことでうつ病の早期発見は可能になる。管理監督者に望むことは病気の発見ではなく、部下のいつもとの違いである。それを一つのきっかけとして、産業医が病気であるかどうかの判断をし、病気であれば疾病管理のルートに乗せることになるのである。

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