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過重労働とメンタルヘルス

第2回健康管理懇談会が、8月28日、横浜情報文化センター(中区)で開催された。この会は神奈川県予防医学協会が事業所の健康管理担当者を対象に最新の医療や健康管理に関する情報を提供するもので、年7回開催している。今回は職場のメンタルヘルス対策が高まっているなか、河野慶三・富士ゼロックス㈱全社産業医が「メンタルヘルス」をテーマに「過重労働とメンタルヘルス」と題して講演を行い104団体、134人が参加した。

職場のメンタルヘルス対策がますます高まりを見せている。そこにはメンタルヘルス不全やうつ病の自殺が労働災害として認められ事業者責任が法的に明確になったことがあげられる。過重労働による長時間労働の問題は避けて通れないものとなった。

昨年12月「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」の通達で、脳・心臓疾患の労災認定基準を改正し、長期間の過重業務は過重負荷として新たに考慮するものとした。この通達を受け今年2月「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」の通達が出された。その中で「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」として、①時間外労働の削減、②年次有給休暇の取得促進、③労働者の健康管理に係る措置の徹底を上げている。 時間外労働の削減  労働時間は1日8時間、週40時間と労働基準法第32条で規定している。

しかし第36条で労使の協定による届出の場合は労働時間を延長することや休日に働かせることができると規定している。この「36協定」の適正化の基準として時間外労働の限度を月45時間、3カ月120時間、1年360時間としている。しかしそれを超える協定が結ばれることも多く月100時間を越える時間外労働も合法的に行われている。今回の通達は「36協定」の届出の際、月45時を超える時間外労働が行われているおそれのある事業場に対して「監督指導・集団指導」を行うという事業者にとって厳しい通達になっている。

健康管理については、月100時間、または2~6カ月にわたって月あたり80時間を越える時間外労働を行った労働者は「産業医かそれに代わる医師の面接による保健指導を受け健康状態の確認をすること」が新たに事業者に求められた。さらに月45時間を越える労働者にも、作業環境、労働時間、深夜業の回数及び時間数、過去の健康診断結果などの情報を提供し、産業医の指導助言を受けることを求めている。その他監督や管理の地位にある者、機密の事務を取り扱う者も労働時間の把握のための記録を残すなど自己管理を求めている。

河野産業医は「今回の通達は脳血管障害や虚血性心疾患の発生を防ぐことが目的ですが、メンタル不全やうつ病など他の健康障害に拡大されることが予測されます」という。

メンタルヘルス対策

過重労働による健康障害防止の対策として「自分の健康は自分で守る」という「セルフケア」の考え方をメンタルヘルス対策に取り入れる体制づくりが望まれている。 セルフケアとは「いつもと違う自分に気づく」ことがポイントで、大部分の人はそのまま放置していても「いつもの自分と違う理由がわかる」ことで「いつもの自分に戻る」ことができる。 しかし部下がいつもと違う場合、上司は声をかけ部下の話を聞くことも重要で、その方法は学問的に確立されているので管理監督者は身につけることが必要である。 そして上司はいつもと違う部下が一定期間経過しても元に戻らない場合は、本人を産業医と面接するように勧めてみる。しかし本人が面接を拒否した場合は産業医に相談することを本人に了解を得て上司が面接する。

「この流れはしっかりしたルールであることを本人に了解を得ることが重要であり、またこのような仕組みを各事業場で進めることがメンタルヘルス対策の体制を確立する上で重要になっています」と河野産業医は説明した。

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