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健康かながわ

わかりやすい健康管理-基礎編

今回の健康管理懇談会は、テーマを「わかりやすい健康管理【基礎編】-健康管理の考え方と進め方-」として、業務に携わって3年未満の健康管理担当者を対象として開催された。

講師にライオン株式会社の竹田透統括産業医を迎え、①健康の考え方、②健康管理の考え方、③健康管理の進め方、について、一方的な講義形式ではなく、出席者に問いかけ意見を聞きながら進めるなど、双方向の情報交換を含めた参加型の講義が行われた。

「健康」とは

例えば、「健康」という言葉を例にとってみても、「あなたは健康ですか」「あなたの健康度は100点満点で何点ですか?」という2つの問いかけに対し、会場から80点でも不健康と考える人もいれば、60点でも健康と考える人がいることを確認し、一人ひとりがそれぞれ違う考え方を持っていることを実感した。 その上で、竹田講師はWHOのヘルスプロモーションのためのオタワ憲章を引用し、「健康は社会、経済及び個人の発展にとって大切な資源であり、生活の質の重要な要素である」という健康の考え方、そして「ヘルスプロモーションとは、人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようなプロセスである」というヘルスプロモーションの考え方が、会社の中で健康を担当する上で最も適切ではないか、と提案した。さらに、竹田講師自身も「常に健康とは何かについて考え続けている」が、健康管理を担当する者は自分自身で常に健康とは何かを考えることが重要であると強調した。

次に健康管理の考え方についても、「裁判などで会社の責任を問われるから」「法律で規定されているから」「従業員の幸福のために」等々の会場の意見を整理して、会社が健康管理を実施する目的を①法律を遵守する、②安全配慮義務を果たす、③福利厚生、④生産性・従業員の帰属意識の向上等、の4点に分類し、解説を行った。

またライオンでは、会社のポリシーとして従業員の健康自己管理能力の向上支援、有害物質やストレスといった健康阻害要因への対応を含めた快適職場環境の形成、そして各種法遵守やプライバシー保護を会社の健康管理基本方針として定めており、この考えに基づいた健康管理活動を行っている事例の紹介も行われた。

たばこ問題を例に

そして、健康管理の進め方については、事業所内での実施事項を総括管理、作業管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育の労働衛生の5管理に分類して解説した。
 その中でもたばこの問題を例にとって、どのような活動を企業内で行う健康管理活動とするかが示された。分煙活動は現状では安全配慮義務を果たすというレベルまでは至っていないが、喫煙者と非喫煙者が事業所で共存していく上では積極的に行うべき活動である。一方、禁煙活動は喫煙をしている従業員個人の健康問題へのアプローチであり、各企業の考え方に基づいて実施するかしないかを判断する事項である。

つまり健康管理活動を進めていく上で、それぞれの事項をどのレベルまで実施していくかは、会社ごとに決めていく必要があり、法律で決められた事項を行うこと、安全配慮義務を果たすことは最低限としてどの企業でも実施する必要があるが、それ以上の職場の快適化や従業員各人の健康レベルの向上に向けての活動は、企業の方針やそれぞれの事情に応じて決めていく必要があるということである。

講義の後には、井澤方宏・当協会産業保健部長が進行役になって、質疑応答が行われた。
「健康診断結果は誰のもの?」「健康診断後の保健指導の呼び出しに応じない人への対応は?」といった質問に対し、会社と従業員の健康管理における法的な責任と義務の面から、解説が行なわれた。
さらに、「ホームページによる情報提供」「腰痛予防対策」「VDT作業の対策」について、どのように取り組んでいったら良いのか、という質問も出され、竹田講師が具体的な対応方法について追加の解説を行った。

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