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健康かながわ

わかりやすい健康管理

image第7回かながわ健康支援セミナーが2月7日、松村ガーデンホールで開催された。株式会社ブリヂストン横浜健康管理センター所長の仲村準産業医が産業保健スタッフに就いて3年未満の方を中心に「わかりやすい健康管理」と題して、健康管理活動を進める上での基礎と注意点を解説した。事業所の健康管理スタッフなど60人(53団体)が参加した。

健康管理とは

健康管理は、「労働者が現在および将来にわたり活き活きとした就業生活を送ることが出来るように、労働による健康障害の発生・増悪を防止し、健康の保持増進に努めること」と定義されている。
健康管理活動を効果的に進めるには、産業医、衛生管理者、保健師、看護師らが協力し、作業管理・作業環境管理・健康管理・労働衛生教育・総括管理という「労働衛生五管理」を正しく認識した上で取り組まねばならない。

具体的には、健康診断のほか、健診事後措置、疾病管理、保健指導、健康相談、健康保持増進、救急対策という実務を、「健康と仕事が適合していない労働者が一人もいないこと」を目標に行っていく。なお、健康と仕事が適合していない労働者とは、健康障害のある労働者が一人もいないという意味ではない。健康上に何らかの問題を抱えていても、元気に働けるようサポートするのが目的である。

健康診断の種類

健診(健康診断)は、健康状態の把握とその確保向上が目的で、病気の早期発見・早期治療が目的とする検診とは異なる。事業者は費用・時間などを負担し、法定の健康診断を受けさせなければならない一方、労働者は健康診断を受ける義務がある。

健康診断は大きく分けて次の5種類。
1.一般健康診断…最も代表的なのが定期健康診断。適切な就業上の措置、保健指導実施を目的に、全ての労働者が対象に年1回以上実施される。血圧、血中脂質、血糖値、BMI(肥満度)の全てに異常が認められた場合、二次健康診断などを行う。ほか、雇入時健康診断、海外派遣労働者の健康診断、給食従業員の検便などがある。
2.特殊健康診断…有害業務を行っている労働者を対象にしたオプションの健康診断。有害業務の対象物質により、健診内容とその記録の保管年数が異なる。
3.深夜業の自発的健康診断
4.臨時の健康診断
5.事業場独自の健康診断・健康保険組合の健康診査など

健康診断の流れ

健康診断は、①企画 ②受診対象者選定 ③実施機関・時期・場所の選定 ④健康情報の収集 ⑤事後措置 の流れで実施する。事後措置では、有所見者や医療区分による判定のもと、再検査や精密検査をして、その結果から就業上の措置や保健指導を行う。最後に、記録を保存して結果を報告する。最も重要なのは事後措置で、これがなければ効果的な健康管理になり得ない。

仲村医師が産業医をしているブリヂストン横浜工場では、パート、アルバイトなどを含めた約1800人を対象に、年2回健康診断を実施している。その際、仲村医師は労働者全員と面談し、検査結果の通知も原則として面談時に口頭で行っている。労働者の何気ない話や職場の愚痴から、その人の性格や生活習慣といった個人情報や、作業内容や作業環境など職域の情報が手に入るからだ。さらに半年ごとに面談することで職場の巡視と同様の成果が得られる。

また、「若年者は健康」というイメージがあるが、実際には肥満、高コレステロール、喫煙率の高さをはじめ、健康面での問題が意外に多い。そのため、将来の生活習慣病予防を意識して若年者にも血液検査を行っている。

個人情報について

健康診断のデータについては、事業者のものか個人のものか、結論がでていない。従来の労働安全衛生法が「健康診断の結果とそれを踏まえた産業医の意見を聴取しなくてはならない」とするのに対し、平成17年4月から施行された個人情報保護法では、「個人情報の利用目的による制限や安全保護などの遵守」が求められる。双方の間には矛盾が多く、労働政策審議会安全衛生分科会(労働者の健康情報の保護に関する検討会)でも安全配慮義務とプライバシーの点から議論されている。

事例報告

本セミナーではほか、三共化成工業(株)保健室の・横山一枝保健師が「組織内の産業看護職の役割り」として事例報告。横山保健師は、健康診断では通常の検査のほかに、独自に作成した遺伝、喫煙、飲酒、運動量、睡眠の質と量、食習慣の6つの項目から現状の生活習慣をチェックする「生活習慣自己診断表」を使っている。

検査結果に異常が現れてからでは病気を予防するのは困難だが、生活習慣と検査データと照らし合わせることで、検査データに異常が現れる前に修正が可能という。「健康を『資本』と考えよう」と、体力と若さを保つ7つの健康習慣を紹介した。

お詫と訂正

「健康かながわ」3月号(第456号・3月15日発行)の紙面上、横山一枝保健師の所属が三共化学工業(株)となっておりましたが三共化成工業(株)の誤りでした。お詫びするとともに訂正させて頂きます。

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