法人向けサービス
健康かながわ

メンタルヘルス対策-復職支援-

平成18年度第6回かながわ健康支援セミナーが、1月26日、神奈川県予防医学協会2階会議室(松村ガーデンホール)で開催された。淑徳大学大学院及び同大学総合福祉学部社会福祉学科の丸山晋教授を講師に「メンタルヘルス対策―復職支援―」をテーマに講演を行った。このセミナーは神奈川県予防医学協会が事業所の健康管理担当者を対象に開催しているもので、73団体86人が参加した。

うつ病の傾向

image近年のうつ病は軽症化しているとともに、慢性化しやすい傾向にある。また、非定型化しており薬の開発は進んでいるものの、対象になる症状が特定されにくくなっている。
ストレスを山の中腹にできた湖(図)にたとえると、雨が降る(ストレスにさらされる)ことにより水があふれる。この状態を発病・再発ととらえると、3つのポイントがある。

①雨の量を減らす=ストレスを減らす。これは労働環境の整備や、各人のストレスマネジメントなどにより相対的にストレスを軽減することである。②湖の底を深くする=症状を軽減する(ストレスに対する反応力を弱める)。これは医師による投薬などである。③土手を高くする=コメディカルによるサポート体制をしっかりすることや軽減時間勤務・病休制度などである。

薬は初期治療において効果的であるが、治しきれない、長期的に飲み続ける必要があり、治療がいつまでも完結しない状態で事例が多い。症状が薄らげば疾患を抱えたまま職場復帰をするという点では、高血圧・糖尿病等他の疾患もあるように、慢性疾患はコントロールすればよいという考え方で内科医は対応している。精神医療においても長期的にコントロールするには、その方の能力の6~7割の力で仕事に就いてもらわなくてはならない。これには職場側からの歩み寄りがないとやっていけない事実がある。そこで「治癒」の代わりに「職場適応」という言葉を使い、いかにしてその方が職場に適応した状態で仕事ができるかというのが目指されるべき現実的な目標ではないか。

再発の防止

うつ病などを1度再発した人は2度、3度と再発頻度は増加しやすくなる。初期治療を完璧に行うことが、再発を防止する一番の策である。

再発の主な原因としては、勝手に薬をやめてしまう。生活のリズムが乱れる。十分な休養をとらないなどである。初期治療は薬が効きやすいので、投薬途中で薬をやめてしまわないことや、自分がなぜうつ病を発症してしまったかそのあたりまで手を伸ばしたカウンセリングを行うことも重要である。

円滑な職場復帰

円滑な職場復帰には柔軟な対応が求められる。
現職と職場復帰サポートを専門とするセクションとの兼務という形でリハビリ出勤を進めている事業所もある。
統合失調症などは回復をしたとしても、その人本来の能力の6~7割程度の場合がある。残りの部分を埋める手段として、障害者の法定雇用率の適応を考慮しても良いのではないか。2年前から障害者雇用率の中に精神障害者も含まれるようになった。

精神疾患の類型は数的にはそれほど多いものではないが、それぞれが難しい問題を抱えており1ケースずつ解決していくのは大変なことである。精神疾患を発症してしまった方でも職場に留まって生き生きと仕事し、頑張ってもらうことは、トータルなコンセンサスでもあり、新人を新規に雇用し一人前に育てあげるよりも、コスト的にも良いのではないだろうか。
また、講師に対して会場からは数多くの質問が寄せられ関心の強さがうかがえた。

中央診療所のご案内集団検診センターのご案内