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特定健診・特定保健指導を事業所で進める際の課題

産業保健活動の向上を図る事を目的に行われている「かながわ健康支援セミナー」の第2回目が、9月29日に神奈川県予防医学協会2階会議室で開催された。今回のテーマは『特定健診・特定保健指導を事業所で進める際の課題』ということで、東京産業保健推進センター保健相談員でもあり、職域保健・産業看護塾主宰の飯島美世子先生を講師としてお迎えした。
今回のセミナーには、75団体95人の、事業所の産業保健に携わる人々の参加があった。

健診・保健指導の理念

特定健診・特定保健指導が始まって半年、従来からの保健指導に加え、メタボリックシンドロームによる生活習慣病者・予備群の削減(25%)を目標とした保健指導に力が入れられるようになった。しかし、実際の保健指導の現場には、未だ戸惑いや不安もあるようだ。その声を受けるように、

「この4月から健診が変わったと言いますが、変わったのは地域の健診・保健指導で、職域はほとんど変わっていません。
それは、医療制度改革の一環として生活習慣病対策が取り上げられ、治療重点から疾病予防重視への保健医療体系へと転換を図ること。健診の付加価値的役割ではなく“保健指導”に重点を置くこと。健診は個人が生活習慣を振り返る絶好の機会と位置づけ、行動変容につながる保健指導を行なうこと。など、予防重視の理念に基づいた保健指導は今まで私たちがやってきたことです。ようやく地域の制度が追いついたのだと、皆さんには自信を持って欲しいです。」
という、飯島先生の言葉は、職域の保健活動に携わる人々には力強い響きとなった。

特定健診・特定保健指導と事業者の健診・保健指導との関係

imageそもそも事業者による健診とは、『労働安全衛生法』に基づいた、職場の諸因子による健康影響の早期発見、及び労働者個人あるいは事業所全員の健康状態の把握にある。実施主体は事業主。それに対して特定健診は、メタボリックシンドロームに特化したもので、生活習慣病予防のための保健指導を必要とする者を選び出すためとあり、特定保健指導の実施主体は医療保険者である(表1)。

これにより、保健指導の現場では、メタボに偏った保健指導を行わざる得ない状況になっているようだ。
そこで、飯島先生は力説する。
「従来の職域の健康管理を忘れてはならないと思います。メタボ対策ばかりにとらわれすぎず、その職場の重点課題は何か? ということを常に考えた保健活動をしなくては。

例えば40歳代の男性が多い職場ならメタボ対策に重点を置くのもいいかもしれません。しかし、30~40歳代の女性の多い職場なら、乳がんや子宮がん対策ではないでしょうか。
いずれにしても、“1に運動、2に食事、3に禁煙”の意識を個人に浸透させるポピュレーションアプローチを同時にすることが大切です。」限られた資金をどう効果的に使うか。そういう戦略的な保健指導の実施も今後は必要だと飯島先生は考えられているようだ。

職域における今後の 保健活動

職域での保健指導を考える場合、その事業所に十分な産業保健スタッフがいる場合はまだしも、健保組合の保健師が実施もしくはアウトソーシングする場合には、就業上やメンタル面での課題が出たときなど、また継続支援の対象者が脱落しそうな場合の対応策など、事業所と健保組合間での十分な話し合いが必要であると飯島先生は言う。

「保健指導の成果は、本人の行動が変わることです。それには保健指導の技術だけでは十分ではなく、環境整備などが必要であり、事業所の協力なしでは得られません。
事業者の方は、特定健診・特定保健指導の手引きを最低ラインと考え、それを念頭に置いた上で、自分の事業所ではどのように組みなおせばいいのかを考えて欲しいです。
健保と事業者がお互い協力し、就業時間内に特定健診・特定保健指導を受けられるようにすることで、実施率は上がります」。

まだ、始まったばかりのこの特定健診・特定保健指導。今後何度か見直されて、それぞれの事業所や従業員にフィットしたシステムとなり、高騰する医療費抑制の一翼となることが期待される。
次回の『かながわ健康支援セミナー』は、12月12日開催。鈴木志保子先生による「行動変容を意識した食生活」となる。お問い合わせは、TEL0045(641)8522まで。

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