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健康かながわ

企業における新型インフルエンザ対策

10月27日に行われた「かながわ健康支援セミナー」特別編は、『企業における新型インフルエンザ対策』と題して、北里大学医学部衛生学公衆衛生学助教であり、厚生労働省新型インフルエンザ専門家会議委員でもある和田耕治氏を講師に迎え、当協会2階会議室で開催された。
厚生労働省等から新型インフルエンザ大流行の可能性が示唆され、その対策等を模索する企業にとっても関心の高い話とあって、当日は98団体119人の参加があった。

近年、世界各地で鳥インフルエンザ(H5N1)が、鳥から人に感染する事例が報告されている。この鳥インフルエンザウイルスが変異し、人から人に感染する新型インフルエンザが発生する可能性は時間の問題だと考えられる。
新型インフルエンザは、人類のほとんどが免疫を持っていないために、容易に人から人に感染して大流行を起こす可能性があり、また死亡率も通常のインフルエンザよりも高いことが予想されている。
しかしながらこの新型インフルエンザに関しては、まだ十分な知見が得られておらず、不確定な要素も多いことから、各企業での対策にも戸惑いがみられる。

「職場は自主的な活動ができるところ。従業員一人ひとりが正しい知識を持ち、正確な情報伝達をし、感染予防に必要な行動を起こす場となって、企業の中から地域に対応策を広げていくようにして欲しいです」と和田助教は言う。
では実際、企業にできること、やるべきことはどんなことなのか。以下に和田助教の講演をまとめてみる。

対策の意志決定ができる 組織を作る

まずは企業の最高責任者を中心として、危機管理・労務・財務・広報など必要関係部門の責任者、できればこれに産業医を加えた対策本部を設立する。
そして、通常時から新型インフルエンザに対する正確な情報(公的サイト等を利用)を入手するように心がけ、いざというときの意志決定に備えるようにしておく。

従業員と顧客を守る感染対策の実施

image図1で示すように、感染対策のベースとなり重要な項目にあたるのが、個人の感染防止のための行動変容である。具体的には、
①流行時には不要不急の外出はしない 
②感染(可能性)患者に近寄らない 
③手洗いを励行する
④せきエチケットを徹底する(表1) 
⑤手で、なるべく感染経路にあたる顔を触らない
などがあるが、個人の行動変容がいかに難しいかは、喫煙対策やメタボ対策でもわかる。

しかし、従業員に感染予防対策をしっかり教え、徹底することで、その家族も正しい知識を持ち、一人ひとりが感染しない、感染を拡げない行動につながる。そのことが流行時の事業継続計画を立てる上で不可欠である。

また保護具に対する過信も禁物だ。例えば効果があるといわれているN95マスクは誰にでもフィットするものとは限らないし、フィットテストには15分もかかる。実際に装着して作業が行えるか(かなり息苦しい状況になる)のテストもできていない。
そういうことを踏まえて、保護具メーカーに勧められるままではなく、冷静に考え、自分たちの職場のリスクに応じたものを用意する必要がある。

流行時の 職場での事業計画とは

新型インフルエンザの感染被害は、世界各国、日本全域で、広範囲に広がる恐れがある。米国の試算では、流行時に40%もの従業員が欠勤することが予想されている。そうなると、業務を継続できない企業も多い。そうならないためにも、まずは従業員にとって職場が安全なところである必要がある。そのためには、従業員の教育や通常の感染対策を徹底し、安全な通勤経路の確保、入り口での発熱者のスクリーニングによる感染者(疑い者も含む)の入所制限などをする必要がある。

そして、流行時に優先すべき重要業務と人員を特定し、感染拡大が予想される業種(不特定多数の者が集まる場や機会を提供しているなど)は、事業活動の自粛が要請される場合もある。

地域社会への貢献

企業は、国民の生活になくてはならない存在である。自らが従業員であり、顧客でもある。どこかが滞ると他社も無傷ではいられない。そのため、一企業だけで対策を推し進めるのではなく、互いに連携や支援をしながら対策を立てていくことが必要になってくると思われる。
また、地域社会との連携も視野に入れた取り組みも、今後期待されるところだ。

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