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健康かながわ

行動変容を意識した食生活・栄養指導のポイント

昨年12月12日に開催した「かながわ健康支援セミナー」の第4回目は、『行動変容を意識した食生活・栄養指導のポイント』と題して、神奈川中小企業センター14階多目的ホールで行われた。講師は、神奈川県立保健福祉大学の鈴木志保子准教授。鈴木先生は、先の北京オリンピックで金メダルを獲得した女子ソフトボールチームの栄養マネジメントとして、北京に帯同。みごと選手のパフォーマンスをあげることに成功し、結果に結びつけられた。その折の話なども交え、講演は盛況のうちに終わった。参加総数は、73団体97人。

効果のある 保健指導のために

現在、保健指導で求められていることは、
①リスクの重複がある対象者に早期介入し、行動変容につなげる。
②対象者が代謝などの身体のメカニズムと生活習慣との関係を理解し、生活習慣の改善を自ら選択し、行動変容につなげる。
③対象者一人ひとりに合った指導を行う。ステージを見ることが重要となる。
④地域、環境、個人の状況、それぞれの課題を抽出・分析をした後、プログラムを作成する。
⑤指導の記録を必ず残し、毎年、同じ内容の繰り返しにならないように、経時的な変化を考えて指導プログラムを作成する。
⑥指導の質を向上させるための研修を実施する。
⑦指導者により、指導の質が変わらないように、指導者の質を担保する。
⑧保健指導の効果を示す。
⑨評価基準を作る。
とされている。

なかでも注目したいのが・と・で、「今後保健指導のアウトソーシング化が進むと、保健師・管理栄養士がランク付けされ、それによって時給が変わるということもいずれあると思います。結果を出せているか、自分の評価を高める努力も必要になります」と、鈴木准教授は力説する。

鈴木流 行動変容の考え方

imageそもそも、すでに生活のペースができ上がっている大人に行動変容を起こさせるというのは、容易なことではない。保健指導中は頑張って体重もしくは腹囲の減少がみられた人でも、指導終了後に元の生活習慣に戻り、次の健診までに数値を維持できなければ、結局はその保健指導の効果はゼロとされる。

「保健指導のゴールは、指導の終わった時ではない。指導終了時こそが対象者にとってのスタート地点」と、鈴木准教授はいう。

では、行動変容を起こさせる保健指導とはどのようなものか。鈴木准教授の手法を表1にまとめてみた。これをみると、結果を出すためには、対象者の自覚と毎日の積み重ねがいかに大切なのかがわかる。

この例では、対象者がアルコールと腹囲の関係を理解し、飲み会などで飲みすぎても、自分で考え、翌日に控えるようになったところで行動変容となる。対象者の意識がここまでくれば、保健指導も成功したといえるだろう。

今後の保健指導の心構え

セミナーの最後に、鈴木准教授からの力強いメッセージがあったので紹介しよう。
「メタボ対策は、この国の医療制度が崩壊しないために絶対必要です。健康な人を健康なままにして、病気にかかった人に対しては、ちゃんとした医療を受けられるようにするためにも、この政策を進めていかなくてはならないのです。目の前のことだけ考えず、もっと広い視野を持ってください。
今が、私たち保健師・管理栄養士のがんばり時です。今ここでがんばらねば、今後健康増進の分野で保健師・管理栄養士はいらないということになります。
ここは、私たちにチャンスをいただけたのだと思い、保健師・管理栄養士ががんばったから、国の医療制度は改善されたといわれるようにしたいものですね」。

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