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健康かながわ

 平成22年度第4回かながわ健康支援セミナーが、11月18日、神奈川県自動車整備振興会教育センター6階研修室で開催された。東京藝術大学保健管理センターの内海健准教授が、「うつ病の回復支援」と題し講演した。事業所で健康管理に携わる103団体128人の方が参加した。

  うつ病の有病率はこの25年で約10倍になったと言われている。とりわけ職域の精神保健においては最も重要な疾患となっている。従来、うつ病は予後のよい病とされ、1970年代にはすでに一定の診断基準と治療指針が確立されていた。しかし近年、うつ病が軽症化する一方で、回復に難渋する事例も増えている。このようなうつ病をめぐる現況に対しての診断と、回復支援のあり方を解説した。

診断のポイント

 うつ病は診断が大切であり、軽度発達障害、トラウマ、適応障害(能力の問題・部署の問題)、パーソナリティ障害、過労、などを除外することが必要である。

基本となる精神症状としては、精神運動抑制(→おっくう)、抑うつ気分(→うっとうしい)、不安・焦粋(→いらいら)、認知障害(→微小感)などがある。また不眠や食欲不振を伴い、そのほかにも頭痛や消化器症状など様々な身体症状を呈することがある。

復職支援の経過

 復職支援には、経過を十分に配慮した対応が必要で、それぞれの時期に合った対応のポイントを示した。

休養:まずは休養が第一である。安心して休める環境作りが必要である。年休・有給休暇・無給休暇など。期間の確認が必要。
リハビリ期:段階的に負荷をかけ、睡眠覚醒リズムの確立・運動負荷・認知療法などを導入する。
復職準備期:回復期は不安定になるため十分な注意が必要。回復期にも自殺があることには十分注意すること。

回復期の対応

 回復期には気負いや不安・焦燥の強い状態がみられやすく、あせって復職を急ぐことが多い。回復期の対応のコツとしては、あらかじめこのような時期があることを念頭に、こまめにフォローしながら、少し時間をかけることである。華やかな場所はなるべく避け、復職してからも宴会は避けるべきである。

  内海准教授は「事業所では、普段から職員への啓発活動、復職支援のためのシステム整備、医療機関との連携を考えておくこと、人事、保健、家族のチームワークが重要です」と講演を終了した。

  

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