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健康かながわ

横浜市立大学附属市民総合医療センター副病院長
金子 猛 教授
 平成23年度第3回目のかながわ健康支援セミナーが、8月30日に松村ガーデンホールで行われた。
  COPDの実態だけでなく、職場の禁煙対策と併せた対応策が学べるとあって、48団体55人の参加があった。

タバコが原因の生活習慣病

  COPDとは、以前は「肺気腫」と「慢性気管支炎」という二つの病名に分けられていたものが統合されたもので、日本語で〝慢性閉塞性肺疾患〟と呼ばれる。
  主に長年の喫煙が原因となり、空気の通り道である気道が炎症をおこし、肺が壊れるため、せきやたん、息切れなどの症状が現れる。進行すると酸素吸入が必要となり、日常生活にも支障をきたすことになる。

  一度壊れた肺は再生せず、病気は進行し続ける。しかし「早期に診断し、早期に禁煙し、薬物治療を受けることで病気をコントロールすることが可能です」と金子先生はいう。

  COPDの主な症状は、せき、たん、息切れだが、本人も医師側にも見落とされがちで()、500万人以上いると推測される患者の約9割は診断をされていないという。
「タバコを吸っていれば軽いせきやたんは当たり前と考えて医療機関を受診しないのではなく、喫煙歴のある40歳以上の人でせきやたんの症状がある場合には早めに受診して、呼吸機能検査をしていただきたいですね」と訴えた。

〝百害あって一利なし〟の喫煙習慣

 COPDの主な原因が喫煙にあることから、COPDと診断されると、まずは禁煙を勧められる。「禁煙が早ければ早いほど、呼吸機能の改善が得られます」と、金子先生。また、喫煙経験のない人も、受動喫煙によるCOPDの罹患がみられる。「喫煙で健康寿命が10年以上縮まるといわれています。喫煙者1,000人で1人の非喫煙者を毎年死に至らしめます。タバコはまさに〝百害あって一利なし〟なのです」と力説。

  自ら勤務する横浜市立大学附属市民総合医療センターを3年前に敷地内全面禁煙にしたときのいきさつを「当時はかなり敵を作りました(笑)。でも今はよかったと思ってくれている人が多いですね」と振り返る。
  セミナーの第2部では、「タバコに関するウソ・ホント」をクイズ形式で披露。軽快な口調で会場を沸かせた。

  そして「企業の健診などに、呼吸機能検査を入れることをお勧めします。それによりCOPDの早期発見・早期治療に結びつきますから。また、喫煙者は寿命が短くなるだけでなく闘病生活の期間が長くなります。現在吸っている人への禁煙を勧めるのも大切ですが、若年層への禁煙教育も大切です」と結んだ。 
 

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