法人向けサービス
前のページへ戻るHOME > 法人向けサービス > 健康情報(法人向け) > かながわ健康支援セミナー>保健指導~コーチングが機能しないケースの対応~
健康かながわ

 産業保健活動の向上を図ることを目的として開催されている、かながわ健康支援セミナー。平成23年度の第4回目が9月15日、松村ガーデンホールで開催された。
  講師にビーイングサポート・マナの村田陽子先生を迎え、「保健指導~コーチングが機能しないケースの対応~」をテーマに講演を行った。今回のセミナーには県内の事業所などから65団体76人の産業保健に携わる方々が参加した。

  健康状態(健康診断結果)の緊急度を縦軸にした場合、特定保健指導の積極的支援の対象者をどこに位置づけるか()。
  この問いに正解はないが、指導者がどこに位置づけるかによって、指導の対応が変わってくる。

  さらに、対象者の健康に関する知識を横軸にとった場合、緊急度が非常に高く、命に危険が及ぶ、すぐに入院が必要な場合で、かつ知識が少ない人には命令が有効である。しかし、この命令を緊急度の低い人に多発していると「またいわれた」と、効果がない。

  また、緊急度は低く、知識が少ない場合はトライアンドエラーが有効。しっかりと知識や情報を提供して、相談者にあう方法を一緒に探していくとよい。

  さらに、緊急度が高く、知識が多い場合は、自分がやるべきことが分かっているので、コーチングが有効だ。
  緊急度が低く、知識が多い人については、健康への関心度によって対応を変える必要がある。
  関心度、緊急度ともに低い場合は、特別な対応をせず、相談窓口だけ開いておく。一方、関心度が高い人には、アドバイスを含めたコーチングが有効だ。

コーチングが機能しないケース

 では、コーチングが機能しないケースとはどのような場合か。
  そのケースとは、前述のパターンにあてはめる以前に、相談者が保健指導の土俵にあがってこない場合である。
  相談者が土俵にあがってこないのは、健康への関心度が低い、もしくは信頼関係がつくられていないことがあげられる。

  保健指導は、本人の意思に関わらず、指導に呼ぶことがあるため、余計なお世話、おせっかいととられる面もある。その場合、コーチング以前の問題がある。保健指導が、相談者にとって有意義なものであり、責められたり、批判されたりすることのない安全な場であると認識してもらう信頼(土台)作りからはじめる必要がある。

  コーチングやカウンセリングが機能するためには、誰がどのような問題を持っているかが明確になっていて、お互いの目的が一致していることが大事である。指導する側が問題と捉えていても、相談者がそれを問題であると捉えていない場合、または、「こうなりたい」という目標がない場合にコーチングは機能せず、保健指導がうまくいかないのである。

  相談者が正直に話さない背景には、罪悪感や、いわれて傷つきたくないなどの防御反応がある。このようなときは、保健指導をいったんやめて、まず信頼して話し合える、土俵にのってもらうことに努める。

話し合いの土俵にのせるために

 相手が責められるのではないかと誤解している場合は、誤解されている部分を否定文で伝える。そして、本当にいいたいこと、したいことを肯定文で伝えるとよい。

  保健指導に行ったら、何か行動に変化を起こさなくてはいけないと思われがちだ。しかし、今できていることを自分で認めて、現状を維持するという選択肢も目標になりうるし、健康行動にもつながる。また、行動の変化をする、もしくはしないことを、相談者に、自分で自分の行動を決めてもらうことが大事である。

  村田講師は保健指導の際、信頼関係をつくり、「ほっとして帰ってもらう」ことと、自分で自分の行動を決めてもらうことを心がけているという。「信頼関係がつくられていると、結果はついてきます」と締めくくった。

中央診療所のご案内集団検診センターのご案内