法人向けサービス
前のページへ戻るHOME > 法人向けサービス > 健康情報(法人向け) > かながわ健康支援セミナー>食べる量を減らさずに減量する方法~時間栄養学を活用して
健康かながわ

 10月29日、神奈川中小企業センタービル多目的ホールで、第4回かながわ健康支援セミナーが開催された。このセミナーは産業保健分野に関わる産業医や看護師、保健師などの健康管理スタッフへ向け、最新の情報を提供するために年7回ほど開催しているもの。
  今回は今年の24時間テレビチャリティマラソンのタレントに管理栄養士として食事サポートをしたクオリティライフサービス代表取締役の小島美和子先生を招いた。セミナーは「食べる量を減らさずに減量する方法~時間栄養学を活用して」をテーマに講演が行われた。81団体98人が参加。
 


生活リズムの見直しが減量の近道

「日本人のエネルギー摂取量は50年前と比べ、増えていると思いますか?」と小島美和子先生が参加者に問いかけ、セミナーは始まった。
  総摂取量は年々減っていて、肥満の原因は食べ過ぎだけではないと指摘する。生活リズムの乱れや食事の中身などが問題で、時間栄養学の観点から、「いかに食べる量を減らさずに体重を落とすか」を紐解いた。

  「摂取エネルギーを減らすと、摂取できる栄養素も減るので、体調不良になることも考えられます。食事を摂る時間帯を改善することによって、しっかり食べながら減量でき、コンディションも整います」と小島先生。
  減量は食事のリズムを作ることが鍵となり、肥満の人は夜の食事から改善すると効果的と説明する。夜間は昼間に比べ、DIT(食事誘導性熱産生)が低い。食べる行為でもエネルギーを消費するが、夜はその消費量が少ない。消化酵素の分泌も夕方がピークになるため、遅い時間は体脂肪を蓄積しやすい。また21時以降は血糖値が上がりやすいので、「糖質0」のアルコールを選んだり、ごはんなら血糖値の上昇を緩やかにする玄米に。糖質より野菜を先に食べるなど、「時間を意識した食べ方が必要。生活の全体図を見ることが大事です」という。
  1日の食事の配分を変え、遅い時間から修正するのがポイント。人間の体は、朝の光と朝食が体内時計をリセットしているので、しっかり朝食を摂り、生活リズムを作ることが重要という。朝食を抜くと、脳にエネルギー源の糖質が送られず、「糖新生反応」が起こる。筋肉を壊して糖をつくるため、筋肉が落ち、基礎代謝も落ちてしまう。朝食欠食者は摂食者の5倍肥満になりやすいというデータもあると説明した。
  朝食に糖質やたんぱく質を摂取すると、代謝が上がり、1日のエネルギー消費も大きくなる。朝はDITも高いため、朝食をしっかり摂ることが減量につながる。「夜の過食で朝食ヌキという悪循環から、朝型のリズムに変えていきましょう」。

生活リズムの見直しが減量の近道

食事の中身にも注目すると「気づかないうちに脂肪を摂りすぎている人が多い」と警鐘を鳴らした。脂質の1グラムあたりのエネルギー量は、9キロカロリーと高く、見た目の量が少なくても高カロリーになっている。脂質は内臓脂肪を蓄積しやすく、注意が必要だ。
  高脂質の主菜(メインおかず)の量や、食べている肉の部位などにも目を向けること。例えば、牛カルビはモモ肉の3倍の脂質があり、たんぱく質を摂っているつもりでも脂質を多く摂ってしまう。
  もう一つ、小島先生があげた問題点は、加工食品の摂取量だ。食品が加工されると、カロリーは減らないが代謝に必要なビタミン、ミネラルなどの微量栄養素が外され、体調不良や脂肪の蓄積が考えられる。「元の素材の形や栄養素が残っている食事を考えましょう」。

  このように、食べる量を減らさずに減量する方法をまとめると、①摂取エネルギーを減らすより、活動量を増やす。②24時間の生活で食事時間の配分を考える。③脂質は適正量に④食品の加工度を下げる。「これらを実践すれば約8割の人に減量効果が期待できる」と先生。
  食生活を整えるステップとして、「食事の時間や食べ物の素材が有効利用できるように、食生活の土台を作っていきましょう。まず三大栄養素(糖質、たんぱく質、脂質)、次に微量栄養素のバランスを整えた上で、必要であればサプリメントなどを活用していきましょう」と順番を考えるよう促す。
  「人の体が食事の修正点を表しています。指導者であれば、指導する対象者にとって、バランスの良い食事に改善します。自らも知識だけではなく、実践して、体で感じてほしい。食事の力は大きいです」と締めくくった。

 

中央診療所のご案内集団検診センターのご案内