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健康かながわ

 9月24日、第3回かながわ健康支援セミナー(主催・当協会)が開催された。このセミナーは企業・団体の健康管理スタッフへ向け、最新の医療や健康に関する情報を提供するために年7回ほど開催している。今回は特定非営利活動法人アサーティブジャパン代表理事・森田汐生(もりたしおむ)先生(写真)を迎え、「自分も相手も大切にするアサーティブコミュニケーション術」をテーマに講演を行った。参加者は産業医や保健師ら84人(73団体)だった。


アサーティブとは「適切な自己主張」という意味。「相手を尊重しながら、自分の要求を誠実・率直に伝えて問題の解決を図っていく実践的なコミュニケーション」と森田先生はアサーティブコミュニケーションを定義する。アサーティブは「聴く」と「伝える」というコミュニケーションのうち「伝える」に軸足をおいたもの、と補足する。
 その歴史は1950年代にアメリカの心理療法の1つである行動療法に始まり、60年代から70年代にかけての人権擁護運動の思想と理論を土台に発展した。森田先生はヨーロッパのアサーティブの第一人者アン・ディクソン氏のもとでトレーニングをうけ、企業のマネジメント、新人研修、最近ではメンタルヘルスの向上やパワハラの防止など、多数の研修を国内で行っている。

アサーティブが必要な理由

最近、聞かなくなった言葉が「飲みニケーション」。従来は部下に厳しい指導をしても、そのフォローはアフターファイブで行ってきたというサラリーマンの慣習は大きく変わってきた。仕事が過密になり、上司も管理業務以外の仕事を膨大に抱えている。また若い部下のメンタリティーも変わってきて、仕事以外の「オフ」の場での職場の人間関係を避けるようになっている。「残業代が出るなら飲みに行きます」という新入社員のエピソードは笑い話ではないようだ。
 「コミュニケーションの『のりしろ』が少なくなっているのです」と、オフの時間で培えていたはずの信頼関係の構築が難しい現状を森田先生は指摘する。だから「オン」の時間=仕事中、に的確かつ効果的に相手に自分の主張を伝え、受け入れてもらえるための方法・アサーティブは大切になってくる。
 さらに最近では、上司が部下への指導を誤った方法で行ってしまうと、パワーハラスメントとして問題化する。アサーティブはビジネスマンに必要なスキルとしてこれからますます必要になってくるだろう。
 

ポイントと流れ

アサーティブに伝えるための5つのポイントを表にまとめた。
 具体的な進め方は
①時と場所を選ぶ
②自己開示をする(例:「言いづらいことなのですが、大切なことなので聞いてもらえますか」いきなり本論に入る前にいうことで自分と場の緊張がとける)
③事実を述べる(客観的・具体的・簡潔にお互いが合意できる事実を述べ、共有化する)④感情を言葉にする(例:「困っている」「心配している」)
⑤要求を伝える(相手に求めるこれからの行動の変化を率直に伝え話し合う)
⑥会話を終了させる(例:「聞いてくださってありがとうございました」「ぜひ検討しておいてください」、これは相手に考える時間を与え、これからの話し合いの扉を開くため)

 セミナーで参加者はロールプレイを行った。題材は「新人の教育係となったAさんとその上司。Aさんの新人への指導が厳しすぎ、職場でも問題になってきた」というもの。ロールプレイの後は参加者にAさん役・上司役をしてもらい、壇上で森田先生の指導を受けながらデモンストレーションを行った。



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