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健康かながわ

 第4回かながわ健康支援セミナー(主催・当協会)が10月29日、横浜港運健康保健組合センターで開催された。「がん検診、勧めていますか?」のテーマで神奈川県保健福祉局保健医療部がん対策課がん対策グループ山野由貴主事が、「これからのがん対策-がん予防のStrategy-」のテーマで当協会がん予防医療部部長、神奈川県立がんセンター名誉総長・小林理医師(写真)が講演した。参加者は企業・団体の産業保健スタッフら43人(38団体)。

 

企業・団体ががん検診の推進を

当日のセミナーは二部構成。冒頭は「がん検診、勧めていますか?」のテーマで県がん対策課の山野由貴主事が登壇した。
 神奈川県では、がん検診受診率の目標値を「肺・大腸・胃がんは40%以上、乳・子宮頸がんは50%以上」としている。
 県の40歳代以上の死因のトップはがん。平成22年で約2万1千人、24年には約2万2千人ががんで亡くなっている。またがんにり患している人の3人に1人が就労可能な年齢である。そのためにも職域でさらにがん検診を勧めてほしい、と山野主事。検診を勧めるためには、がん検診のメリット・根拠を示すことも大切、と検診発見のがんとそれ以外のがんの5年相対生存率の比較(図1)などの統計を示した。  

がん予防の ストラテジー(戦略)

後半の講演は「これからのがん対策-がん予防のStrategy-」のテーマで当協会がん予防医療部部長・小林理医師が講演。小林医師は神奈川県立がんセンター名誉総長(同センター前総長)として永年、がん診療の最前線に立たれてきた。その臨床の経験を予防医学に活かし、現在当協会での外来診療や企業の産業医も行っている。
 小林医師は、今後、がんの一次予防には企業・団体の果たす役割は大きい、という。がんは生活習慣病であり、生活習慣の改善=がん予防につながる。そのため企業・団体で行われている健康増進活動の充実と、その適正な評価が必要になる。
 政府は社員の健康増進をはかる企業の取り組みを指標化して公表する仕組みを導入し、生活習慣病の予防を促すことを国家成長戦略に盛り込もうと計画している。健康基準を満たす従業員には現金給付や健康保険料に差をつける、といったことが政策として行われる可能性を小林医師は示唆した。

働く世代の がん

働く世代(20~64歳)では毎年22万人が、がんになり、毎年7万人が亡くなっている。
 また仕事をしながら、がん治療のため通院しているキャンサーサバイバーは男性14万4千人、女性18万1千人。その陰にはがんにり患した就労者の30%が依願退職し、4%が解雇されている、と働く人のがんを取り巻く現状を小林医師は伝えた。
職域でのがん検診
 神奈川県の職域でのがん検診の実施状況を調査したデータを小林医師は示した。(表1)
 調査は、県内企業8万6千363社から5千119社を抽出し行われたもの。県内でがん検診を行っている企業は21.4%という結果が出ている。また、がん検診を行わない理由は(1)法定外項目だから40%(2)要望がない24.2%(3)費用が高い14%、となっていた。
 一方、小林医師は企業での積極的ながん検診をすすめるためのプロジェクト「がん対策企業推進アクション」(www.gankenshin50.go.jp)を紹介。現在、全国で1,419の企業・団体が、がんと前向きに取り組む社会気運を高めるため率先して「がん検診受診」の大切さを呼びかけるという主旨に賛同していることを伝えた。



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