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健康かながわ

労働安全衛生法の改正
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(注)
1.下線部が今回の改正部分
2.色覚は雇入時の健康診断のみで実施しなければならない項目
3.喀痰は雇入時の健康診断以外の健診で実施しなければならない項目
4.雇入時健診においては、全ての項目について省略できない

労働安全衛生法・規則改正

今回行われた一般健康診断関係の規則改正の背景には、脳や心臓疾患などにつながる所見やストレス、疲労感を感じる労働者の増加などがある。そこでこの状況に対処するために脳や心臓疾患に関連した項目を一般健康診断に加えることとなった。また医師の判断による健診項目の省略範囲等も見直された。(表)

改正の要点は次の四項目
一.健康診断項目の追加
二.健康診断項目の省略
三.健康診断個人票のBMI欄 の設定
四.聴力検査の弾力化

健診項目の追加

雇入および一般健康診断の項目に、HDLコレステロールの検査および血糖検査を追加することになった。HDLコレステロールの検査は総コレステロールの検査と併せて、より的確に脳・心臓疾患の危険性を評価するために行うものである。

血糖検査は、糖尿病を早期に的確に把握するために行うものである。糖尿病は脳・心臓疾患とも関係の深い疾病で、現在一般健康診断では尿糖検査のみを行っている。血糖検査の方が精度の点で優れている。血糖検査は原則として空腹時に行われる。しかし食事摂取後に行われた場合は、検査に影響を及ぼすことが考えられる。そこで医師はその点を留意しておくことが大切である。そのため検査数値だけではなく個人票の備考欄等にその食事状況を記すなど適正な検査結果の評価をする必要がでてくる。

その上で、医師が必要と認めた場合はさらに同一検体を利用して糖化ヘモグロビンA1c(HbA1c)を検査することが望ましいとされている。

健診項目の省略

健康診断で省略できる項目は、労働大臣の定める基準に基づくもので、医師の判断によって省略できるとする項目に、尿中の糖の検査と今回追加項目となったHDLコレステロールの検査、血糖検査も追加された。

健康診断個人票のBMI欄の設定

健康診断個人票の様式にBMIを設けるなど報告書の整備も行われた。BMIは肥満度を判定する簡便な指数で、体重(㎏)/身長(m)×身長(m)で算出され、肥満の予防や改善の指導に有用な指数である。他の項目と併せて保健指導に十分活用することが望ましいとした。

健康診断個人票のBMI欄の設定

聴力検査の方法についても年齢によっては医師が適当と認める聴力の検査に代えることができるなど弾力化が図られた。

(健康かながわ1998年11月号)
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