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健康かながわ

会員制がん検診組織・ACクラブ

image専門医による継続的な がん検診・相談の場として

職場健診、テレビや雑誌の情報などを通じて人々の健康に対する関心は高くなってきた。食事やリラックスした席でも健康が話題になることが増えたのではないだろうか。
だが、がんが心配という人は多い。がんの家系にある人はなおさらだろう。そうした人たちのために、よりよい方法でがんから守る仕組みがある。全国でも珍しい会員制のがん検診組織として知られる神奈川からがんをなくす会・ACクラブだ。  前身は「神奈川から肺と胃のがんをなくす会」。神奈川県予防医学協会スタッフの発案で肺がん・胃がんを早期発見する会員制組織として昭和51年に発足した。その後「早期がん発見は、専門医による継続的な検診が不可欠」という考え方のもとに昭和61年、県立成人病センター所長(現県立がんセンター)で消化器がんを専門とする坪井晟医師らを迎えてACクラブになる。  

がんをなくす会が活動を始めた当時は、がん撲滅が国民的な話題として関心を集めていた頃。以来、肺や胃にとどまらず子宮、乳房、大腸その他のがんの発見と予防、会員の健康不安に対する相談業務の充実を図り、ヘリカルCT導入(平成8年度)による早期肺がんの発見・治療など、つねに最高の検診システムを追求する姿勢が多くの会員に安心感を与えてきた。

肺がん15例、胃がん6例、大腸がん8例、乳がん10例、子宮頸がん1例、腎がん1例。
これは、発足~平成13年度の検診を通じてACクラブが発見した各部早期がんの累計である。がんが発見された場合は、ACクラブとして責任をもってしかるべき専門病院の専門医に紹介している。
肺がんを例にあげれば、徹底的に原因を明らかにするためにヘリカルCTなどの検査を経て、がん発見に万全を期す体制を整えた。さらに県立がんセンターなどがん専門医療機関への精検・治療を紹介するという支援体制の充実がこの数字に表れている。

各部のがんの定期検診に加えて、ドック方式の付加検診システムもとりいれている。また、がんの一次予防としての食生活指導、生活習慣病の境界領域にある人への生活指導がクラブ専属の保健師により行われている。体調で気になることがあったら、気軽に相談できる点も会員にはこころづよい。
していまは、会員の定着と熟年化にともなって、高齢者健康管理に対する期待を集めるようになった。

人生の熟成期を迎えた人たちにふさわしい健康管理とは

「発足当初、さかんにタバコを吸う男性がACクラブを訪れて、がんについてのアドバイスを熱心に求めていた。その多くが会員となり、いまや60代。いつ肺がんになってもおかしくない発症適齢期を迎えている」…ACクラブを統括する坪井医師は言う。
会社に勤めている人の大半は、福利厚生や職域保健の充実のもとで、どちらかといえば受け身的な健康管理をしているのではないか。働き盛りとされる30代・40代が、生命保険はかけてもいまの自分のからだや健康をケアすることに積極的に投資しないのも、こうした背景と無縁ではない気がする。
ながい会社勤めののち、定年を迎えて職場を離れてしまうと健康管理は自己責任、人間ドックなどの費用も自己負担になる。その途端に検診の場から遠ざかり、健康意識も 薄らいでしまう、という人が見受けられる。
職域で従業員などの健康管理に活躍する産業医、保健師、看護師といった人たちにとっても、会社の主力をなす世代はもちろん、定年を控える従業員の退職後の健康管理は気になる点の一つではないだろうか。

ACクラブでは、専門のスタッフがいつでも会員の相談に乗り、蓄積した個人データをもとにさまざまな健康へのアドバイスができる。健康管理としてのがん検診を、自らの負担で、継続して行うことでがんの早期発見ばかりでなく生活習慣への意識づけが可能になる。

「万一がんが発見されても、糖尿病や高脂血症などにかかっていなければ、がん治療に制限が生じることはない」といった、がん治療~現役復帰を励ますような具体的で納得できるアドバイスもするという坪井医師ほかACクラブのスタッフが、会員からどれほど信頼されているかは容易に想像がつく。

がん?まだ自分は若いから大丈夫、といった頼もしい健康観のせいか、あるいはACクラブのPR不足からか、若年層(20代~40代)の会員数はここ数年、伸び悩んでいる。が、逆の見方をすれば発足当初からの会員が定着し、年齢を重ねてきたことで高齢時代の個々の健康管理のノウハウを蓄積してきているということはできそうだ。
60代からの人生の熟成期こそ、自分の健康を守ることにいままで以上に気を使い、積極的な投資をしたいものだ。事業を起こし、経営に携わる人ならなおさら、日々の健康に気を使い、ながく現役生活を送るための努力が必要ではないか。同じ思いの仲間が集う会員組織なら、煩わしい検診にも前向きにもなれるだろう。この点で、ACクラブの存在はちょっと気になる。

【ACクラブ会員の声】

◎守られているという安心感
がんには人一倍神経質で、医師に対する漠然とした不信感もありました。友人から勧められてACクラブに入りました。入会説明で感じた暖かみのある対応は、坪井先生以下スタッフ全員からも伝わってきます。検診データは他の健診施設でもチェックできます。でも、私が望んでいた「守られているという安心感」はACクラブならではのものです。 (50代女性・入会3年目)

◎会員制ならではの信頼感
入会した当時のスタッフがいまも変わらずに迎えてくれるので、ACクラブへ来るとホッとします。検診費用は他に比べると高いと言う方は多いでしょう。でも、坪井先生などが触診をして、私たちの話をきちんと聞いてくれた上で検査をしてくださる。こうした会員制ならではの信頼関係を考えると、私は高いとは思っていません。 (70代男性・入会16年目)

◎ヘリカルCTで肺がん発見
年2回の会社の健診では異常なし、と言われ続けていたのにACクラブに入会して受けたヘリカルCT検査で小さな肺がんが見つかりました。最初は何かの間違いだと思いましたが、スタッフの皆さんのおかげで肺がんが早期に発見され、手術を受けたとは思えないほど回復したし、何よりタバコをきっぱりと止められた。妻と娘が「結託」して私を入会させてくれたことにも感謝しています。 (60代男性・入会8年目)

◎30歳で入会、仲間にも紹介
仕事柄、自分の健康をチェックする機会がほとんどないこと、父方にがんで亡くなった人がいたことなどがACクラブ入会の動機でした。その時、私は30歳。私の検診データはきちんと蓄積されているし、具合が悪いなあと思えば保健師さんに気軽に相談できる。仕事仲間(CMカメラマン)に紹介したら、彼もすぐに入会しました。 (40代男性・入会10年目)

(健康かながわ2002年6月号)
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