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マンモグラフィ検診車 県内初 大磯町で実施

image美しい松の緑と相模灘を望む大磯町保健センターは、町役場に隣接する大磯町民の健康管理の拠点。5月14日、大磯町保健センターで住民を対象にした県内で初めてのマンモグラフィ(乳房X線撮影)検診車による乳がん検診が実施された。今回、大磯町より乳がん検診と子宮がん検診の委託を受けた当協会にとっても、昨年11月に納車されたマンモグラフィ検診車の初稼働の日。当日は結核検診の胸部X線撮影車と子宮がん検診車、そしてマンモグラフィ検診車の合計3台の検診車が保健センターの中庭にずらりと並んだ。

朝9時、検診会場にはたくさんの受診者が集まっている。乳房X線撮影の受診者は60名の予定であり、午前・午後で30名ずつの検診である。さっそく受付が始まる。今回、初めてのマンモグラフィ検診を受診するためか、受診者のみなさんの表情も少し緊張気味にみうけられる。

受付の後に検診票のチェック、自己負担金の支払を行い、午前中の受診者が集まってのオリエンテーションが行われる。当協会の看護師が受診の流れと留意点を説明するとともに乳がん自己触診法(写真下)の指導も行った。
初めてのマンモグラフィ検診については①検診方法②必要性と有効性③注意事項などパンフレットを全受診者に渡し、わかりやすいパネルを用いて説明を行い、検診の内容を理解したうえで受診してもらえるよう努力している。

imageオリエンテーションの後に検診がスタート。通常の視触診による乳がん検診に比べ、左右の乳房を片方ずつフィルムを入れた台とプラスチック板で挟んで撮影するマンモグラフィ撮影は時間がかかる。 マンモグラフィ精度管理中央委員会の厳しい試験に合格した認定放射線技師が撮影にあたり、1時間あたり10人~12人を目標に検診はすすめられていく。がやはり待ち時間が発生してしまう。この日の検診でも健診車の中で撮影まで20分ほど待たれた受診者もいた。受診者からは待ち時間についての苦情はいただかなかった。撮影技師がすべて女性で、検診車内にプライバシーを重視した更衣室を4室備えているということも、受診者のストレス軽減と安心につながっているようだ。
しかし、検診車に乗ってから撮影までの待ち時間は最長でも10分以内にするような誘導に改善する、と当協会の検診担当スタッフは反省点を振り返る。

次回は9月と翌年1月にマンモグラフィ検診を大磯町では予定している。その時にはさらに安心で効率良い検診を提供できるよう改善を重ねていくことは言うまでもない。

町民と一体の保健事業

「年々、減少していく集団検診の受診者をみながら『より効果的な検診の手立てはないものか』と考えていました」、大磯町で住民の健康診断の計画を企画立案している下澤泉・保健師(大磯町子育て介護課主査)は言う。厳しい財政で行政の予算は縮小している。こういった時代だからこそきめこまかく、住民のニーズにあったサービスを提供することが行政に問われており、その課題を共有し、支援するのが総合健康管理機関としての当協会の責務である。

マンモグラフィ検診を導入しようと考えたきっかけは「まず検診精度の高さですね、地域医師会の先生方からのご理解も得られ、予算は既存の枠内で繰り合わせ新しい検診が導入できました」と語る。

検診が行われていた保健センターでは当協会が担当した乳がん・子宮がん検診の他に結核検診、骨密度・体脂肪・血圧測定、歯科相談も実施。小さな子ども連れでも気軽に若いお母さんが検診を受診できるように保育ボランティアの協力で託児室も設けている。また、検診会場内ではママの会(食生活改善推進団体)のボランテイアの方々が試食コーナーを開設、おからを使ったヘルシーな餃子を試食する受診者の姿もみうけられた。まさに町民と一体となっての保健事業が展開されている、といった印象を受けた。

毎月発行される大磯町の広報誌「広報おおいそ」に保健師がコラムを連載している。来月で100回目を迎えるコラム「こんにちは保健師です」では身近な健康情報を町民に提供している。
その4月号では今回のマンモグラフィ検診の募集案内とともに同コラムで「乳がん検診とマンモグラフィ」を掲載。海外のデータや厚労省の動向なども織り交ぜ検診の効果・方法など紹介したところ検診の申込開始直後からマンモグラフィ検診への申込が殺到、2日で募集をしめきったそうだ。
「個人通知による案内を廃止してからは受診者が減っていました。しかし広報だけの周知でも関心を持てばすぐ反応してもらえるということを実感しました」と下澤保健師は語った。

(健康かながわ2003年6月号)
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