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レジオネラ症防止へ条例

暑い夏へ向けて水の安全チェックは欠かせない。特に今、話題となっているのがレジオネラ症。この原因となる菌はレジオネラ属菌といわれ、入浴施設やビルの冷却塔などの設備の中でこの菌が繁殖し、その飛沫が人の呼吸器系に入り病気を引き起こす。
時に重篤な肺炎を起こす新興感染症で、平成15年11月に感染症法の改正により新4類感染症に定められ、診断後は直ちに届出が必須となった。

レジオネラ症がなぜ全国的に注目されるようになったのか。一つには経済的でいつでも清潔なお風呂に入れるという循環式風呂が急速に広まったことである。その結果、レジオネラ属菌が生息するのに最も適した環境が広がってしまった。生物ろ過方式の循環風呂では、人が持ち込むアカなどの有機物を微生物(細菌)を使って分解する。ところが細菌を餌とするアメーバにとっても最高の環境となり、更にこのアメーバ中ではレジオネラ属菌が最も増殖しやすい。

しかもアメーバ内に進入したレジオネラは一晩で1000倍にも増殖するという。 厚生労働省は、これまで循環式浴槽施設に対するレジオネラ感染対策を各自治体に通達してきた。 神奈川県でも16年3月30日「公衆浴場の設置場所の配置及び衛生処置等の基準等に関する条例」を交付した。この条例は3カ月の周知期間を経て7月1日より施行となる。レジオネラ症発生防止に関して、公衆浴場法および旅館業法に基づく条例改正は既に東京はじめ30を超える都道府県で行われており、これで本県でも条例化されたことになる。

公衆浴場法による水質基準を表に示した。浴槽水は、1年に1回以上、原湯、原水、上り用湯および上り

表 条例による浴槽水等の水質基準(水道水以外の水を使用した場合)

項目 浴槽水 原湯、原水、上り用湯、上がり用水
色度 ***** 5度以下であること
濁度 5度以下であること 2度以下であること
水素イオン濃度 ***** 5.8以上、8.6以下であること
有機物等(過マンガン酸カリ消費量) 浴槽水は25mg/1L以下であること 原湯等は10mg/1L以下であること
大腸菌群 1ml中に1個以下であること 原湯等は50ml中に検出されないこと
レジオネラ属菌 検出されない(10cfu/100ml未満)こと 検出されない(10cfu/100ml未満)こと

用水は浴槽水が水質基準に適合しなかった場合、その他必要に応じて、水質検査を行い水質基準に適合していることを確認すること、と検査する頻度が規定された。

一方ここ数年、レジオネラ属菌検査法の進歩が目覚しい。培養法ではレジオネラ属菌のコロニー形成まで3~10日間を要するが、今年登場した遺伝子増幅法(LAMP法)では数時間で結果が出る。
当協会でレジオネラ検査を担当している金子治司・臨床検査部担当科長は「培養法では信頼できる検査結果を出すには少なくとも1週間以上の時間がかかりますし、雑菌等の中からレジオネラ属菌を拾い出すには熟練した技術も必要です。遺伝子検査の場合、偽陽性がでたりコストの問題も課題としてあげられますが、数時間で結果が出るというのは依頼者側からしても大変な魅力のはず。どのようにしたら日常検査に取り入れられるか現在検討しています」と語る。

当協会のレジオネラ検査は電話で受付ができ、検査は常時受付可能。宅配便で機材が送られてきたら、採水マニュアルに従って採水し、後は宅配便業者に電話を入れるだけという手軽な検査態勢を取っている。問合わせはTEL045-773-1921まで。  

(健康かながわ2004年6月号)
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