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健康かながわ

アスベスト対策当協会は3つの柱で支援

マスコミ等の報道もあり、アスベスト(石綿)による健康障害について大きな話題になっています。アスベストの繊維は、肺繊維症(じん肺)や肺がん、悪性中皮腫の原因になるといわれています。当協会ではその対策にいち早く取り組み、健康診断、アスベスト分析、環境測定という3つの柱で対策の支援態勢を整えております。

健康診断

当協会は、長年じん肺法および特定化学物質等障害予防規則に基づく健康診断に取り組んできました。また本年7月からは石綿障害予防規則による石綿の健康診断も行っています。さらに当協会は「石綿健康管理手帳制度」の指定医療機関(神奈川労働局委託)としても石綿の健康診断を実施してきております。

アスベストの健康障害の早期発見には、胸部X線直接撮影とヘリカルCTが有効といわれています。当協会は平成8年にヘリカルCTを健康診断では県下で初めて導入し、肺がん検診を充実させました。今年8月さらにグレードアップしたマルチスディテクタ方式のCTを更新しました。

今回導入した機器は検出器が4列あり、一度に多くの情報が得られるので、撮影時間が大幅に短縮しました。そのため息を止める時間も10秒ほどと高齢者にもやさしく、また被曝量も低くなりました。高画質も確保されより迅速に撮影時間もより迅速かつ正確に診断できる態勢を整えました。同時に県内の専門病院との連携深め、アフターケアの充実に努めております。

アスベスト分析

image当協会では本年6月22日付けの厚生労働省基安化発第0622001号に従い、位相差顕微鏡を使用した分散染色分析法とX線回折装置による検査態勢を整えました。

位相差顕微鏡を使用した分散染色分析法は、屈折率の異なる3種類の浸液を用いて、3種類の鏡検試料を3枚作成し、計9枚のスライドを鏡検していくものです。100倍で繊維の有無を確認し、あった場合は400倍でカウントします。
またX線の照射によって結晶の回折方向と回折されたX線を計測・解析することで結晶物を定性分析・定量分析するX線回折装置での分析も整備しました。

分析調査の流れは図のとおり。試料の採取は、吹き付け材や保温材など柔らかいものは10cm3程度を3か所から採取。スレート板など形成されたものは100 cm3程度3か所から採取。また吹き付け材で体育館など1フロアの面積が3000㎡以上の場合は600㎡ごとに試料を採取する必要があります。

採取した(採取に際しては防じんマスク着用のこと)試料は粉じんが飛散しないような密封できる容器にして搬入してもらいます。搬入した試料は適切な処理後、定性・定量分析が行われます。

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位相差顕微鏡での分析
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X線回折装置

石綿の分析手順
①資料の採取

②分析資料の調整

③定性分析

・位相差顕微鏡を使用した分散染色分析法
・エックス線回折装置             

石綿含有の確認

④X線回折法(基底標準吸収補正法)による定量分析

環境測定

室内空気中のアスベストの測定は「石綿障害予防規則」に準拠し、室内作業場における管理濃度に基づく作業場の空気中アスベストの測定を実施しています。一方敷地境界に関しては「大気汚染防止法施行規則第16条の2」に準拠して屋外大気中のアスベストの測定を実施しています。

(健康かながわ2005年10月号)
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