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健康かながわ

特集・食育とは?//座談会
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司会 鈴木忠義
神奈川県予防医学協会顧問

これまでの「食育」 これからの「食育」

平成16年、国会に提出され、平成17年6月10日に成立した食育基本法は、次代を担う子どもたちの成長に何よりも「食」が重要であると位置づけました。そこで、栄養士などの人材を育成する大学、保健所や小・中学校などで指導に携わる現場の声にも耳を傾けようと思います。県下で活躍する3人を迎え「食育」を語っていただきました。
2005年12月19日 神奈川県予防医学協会役員室で収録 取材・文責 神奈川県予防医学協会健康創造室企画課

鈴木 今回の『健康かながわ』は「食育」特集を組みました。知育・徳育・体育に加え、食育の大切さを国が認めました。栄養士の役割も大きくなってきます。法律が施行されてから食育が話題になっていますが、栄養士として、あるいは栄養指導の立場で経験豊かなみなさんにお話しいただいて、食育を考えるきっかけにしたいと思います。山本妙子さんには栄養士教育のベテランとして、石田啓子さんには地域で公衆衛生に携わる立場から、鎌内ミチ子さんからは学校での食育についていろいろお聞かせください。さっそくですが、山本さんからいかがでしょうか。

食べることは 生きること

山本 食育が明記された最初は「乳幼児からの健康づくりと食育推進のための基礎調査報告書」でした。“食育=食べることの意味を理解し、一人ひとりが自立的に食生活を営む力を育てることや、それを実現しやすい食環境づくり、それらを支援・推進するネットワークづくり”とあります。個人・集団への教育的アプローチと環境からのアプローチの両面が明示されていることが大きな特徴です。最近の食育は一種ブームのようにも映るのですが、食べることは生きる基本であり、一人ひとりの健全な生き方に食が重要であるという視点と取り組みは昔から変わっていない、というのが栄養士側からの率直な思いです。

鈴木 昔から食育という考えはあったが,以前は何をどれくらい食べるかが少し強調されていた,ということですね。

山本 栄養学の発展の中ではどのような食品をどのくらい食べたらよいのか、が示され、重視されてきた一面があります。栄養も食物も食生活も実に多様な側面を持つので、重ね合わせてとらえてこそ望ましい姿を理解できるのですが、食育という言葉が広く認知される以前はエネルギー・栄養素と食物など摂取のことが前面に強調されていたといえるかもしれません。

石田 私も「食べること=生きること」の視点で長年、栄養指導、栄養教育に取り組んできましたが、食育基本法を読んで食の生産、加工、流通などの側面まで含めた食の多様さを再確認しました。保健所は自ら食生活改善活動を行ってきましたし、平成9年の地域保健法施行後は市町村が行う食生活改善活動の後方支援や地域全体のレベルアップを担ってきた、という思いを保健所栄養士は持っています。

鈴木 地域保健法など関連法案の一部改正で栄養行政が県の保健所から自治体に移るまでの長い間、神奈川県の保健所は市町村と協力して第一線でした。
山本 神奈川県では昭和40年代を中心にキッチンカーの活躍などで地域住民に栄養知識を浸透させた、全国的にも先駆的な活動をしていました。

鈴木 では、教育の場から鎌内さん、お願いします。

鎌内 ゆとり教育がいわれ始めた頃、小・中学校では子どもたちの生活リズムや食生活の乱れが指摘され、“生きる力”を身につけることを目標に「食に関する指導=外学校での食育」が推進されてきました。学校給食を食育の一つの手段、生きた教材としてとらえています。同時に家庭や体育、社会、総合的な学習の時間などで栄養素とその摂取・バランス、健康、食品の生産と流通との関わりといった教育は行われています。しかし最近は、箸の持ち方、ご飯の食べ方など従来は家庭で行われていた食のマナーまで食育として拡がっている傾向があります。地域、家庭との連携では、学校と保護者をつなぐ「献立表」「給食だより」「試食会」を活用して意志疎通を図ってきました。

鈴木 公衆衛生行政、県立栄養短期大学で人材育成に携わり、管理栄養士のあり方を検討した経過などを知っている私も日本の栄養行政を担う人材を多く送り出し、栄養指導もリードしてきた自負があるから、食育という言葉が唐突に現れた、という思いはあります。

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山本妙子さん
神奈川県立保健福祉大学助教授

石田 時代ごとに栄養指導、栄養教育に携わる人たちはその役割をきちんと果たしてきていますからね。

鎌内 学校でも栄養士は、できる範囲で教職員とは違う立場で栄養指導、栄養教育を行ってきました。

鈴木 食育基本法は4割を切った日本の食糧自給率、BSEの問題などを視野に入れて、国民に対して安全な食の確保が健康な生活に不可欠で、国も国民も問題意識を高めよう。日本の食品の安全性は高いんだという生産者支援といった思いが込められているように読みとれました。

山本 医療費削減などの大きな目的もあるでしょうが、人間としていかに健全に生きるか、食を通じて立て直すというという意義があるように思います。

石田 食育を法に位置づけなければならないほど家庭機能の減退、食の荒廃が切実だから、いま歯止めをかけなければ、という背景もあるように思います。

日本の食生活を 見直すきっかけ

鎌内 この法律からは食べることへの感謝、食べることの喜びを考え直そうという趣旨も伝わってきます。学校では教諭が科目を通じて食に関する指導を行ううえで、栄養士が専門性を生かしティームティーチングなどで指導するという連携をしています。

山本 ここ十年ほどを振り返っても、校長先生自らが食に関心を持たれ、食育が重要であるとおっしゃることが格段に増えました。学級経営の状況は返却された給食のバケツの内容に反映するとおっしゃる校長先生もいらっしゃいます。

鎌内 食に関する指導をさらに充実させるため管理者、教職員研修を実施するなどして食育を体制づけるのが課題です。

山本 大学の立場でいえば、食育基本法は大きなチャンスを与えてくれました。栄養、食に対する人々の関心が高まり、栄養士の役割も注目されてきますから。神奈川に暮らす人の健康に役立つ事業を進める神奈川県予防医学協会も栄養指導のスタッフをさらに充実させるいい機会ではないですか。

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石田啓子さん
厚木保健福祉事務所
保健福祉課長

鈴木 栄養士確保などの課題を突きつけられているのは事実です。

石田 話は変わりますが、日本の人口は予想より早く減少が始まりましたね。この先、子どもたちがずっと健康で生活していけるか、私たちの世代を支えてくれるのだろうか、と心配になります。

鈴木 子どもたちはいまの食卓、食事情から何かを学んで、親の世代を支える担い手になるかという問題ですが。

山本 難しいと思いますね。

鎌内 赤ちゃんから乳幼児、学童期、思春期、青年期と成長にあわせた食育を行うのが大人の責任だと思います。家庭や学校、地域の役割はとても大きいと思うんですが、家庭で家族が食卓を囲めない、家族がいても一人で食事をとることが珍しくない、とも聞きます。

山本 旬や食事のマナーだけでなく、物を大切にすることや生活上のルール、ささやかな生活技術、コミュニケーションの方法などいろいろな人間がともに暮らすための基本を知らない学生が多いと感じます。昔だったら幼稚園や小学校で身に付いていたことが足りない。一方でより専門的で高度な知識や技術の体得、それを社会に活かす総合力の育成なども求められ、大学の中ではやりきれないと感じることもあります。幸い県立栄養短大、保健福祉大学を通じて質のよい学生に恵まれてきましたが、世間一般にはより深刻な状況にあると考えられます。

鎌内 食に関する日本独自の伝統・文化を子どもに話したりする大人が減っているんでしょうか。伝えるきっかけが少なくなっているのか…

山本 子どもらしく生きることの一つが、大人からの食を通じた文化、味の伝承でもあるはずですね。

鈴木 大家族がごく当たり前だった時代は、多くの子どもを父親が働いて養い、母親は小さい子どもを背負って家事をし、育児にも専念していました。商家では臨月でも店先で客を迎えていました。両親の働く姿を見て子どもは育ってきました。食卓も、仕事から帰ってきた親と囲むのが当たり前でした。いま小さな子どもに食卓の絵を描かせると、おかずが少なかったり、父親、ときには母親さえもそこには描かれていなかったりするそうです。何をどう食べるかという問題以前に、家庭の食が大きく変わってしまっているんです。

山本 食事の場として大きな比率を占める家庭で、家族が揃っての食事から個食・孤食が増えているのは事実でしょう。コンビニやスーパーで惣菜を買ってきて食べるために包丁、まな板がなく、食卓さえも不要という家庭も増えているといいます。

鈴木 そうなると、日本の食生活を立て直すのは学校になるんでしょうか。

鎌内 いいえ、学校以前の問題だと思います。

石田 ライフステージに応じた食育は市町村や保育園、幼稚園、学校、企業などが主体となって取り組んでほしいと思いますし、各ライフステージの食育のつなぎめがスムースにいくよう、また、食育を担う人材育成は保健所が役割を果たしていきたいと思います。食生活改善推進員の養成などの人材育成は横浜、川崎、横須賀、相模原の各市でも力を入れて行なわれています。

鈴木 県下の市町村で活躍する栄養士は充実しているんでしょうか。

石田 県域市町村の常勤栄養士配置率は約45%(平成16年)ですが、他と比べると高くはありません。

鎌内 子どもが学校で学んだことを家庭や地域に持ち帰っても実践できる機会が少ないのでは、と思うことがあります。子どもの食環境を整え、食を通じて子どもたち自身に生きる力がつく子育てをするのは大人の責任だと思うんです。

石田 保育園、幼稚園などで食の学習を積んでも、小学校へのつなぎ目がスムースではない印象はありますね。保育園ではどんな形で食の学習が行われているのかを小学校の先生たちが理解して教え方に生かしたり、学校ではどのようなことを学ぶのか知ることによって保育園の食育のあり方を検討したり、互いに理解しあってこそスムースにいくのではないかと感じています。

鈴木 実際には難しい面があるのでは…

鎌内 学校の学習指導要領の理解が大切だと思いますが、学校栄養職員が指導する場合にも指導要領の中身をつかんで指導できる必要があります。

石田 保健所には地域食生活対策推進協議会が設けられており、それぞれ地域の特性に応じた独自の取り組みや論議を重ねています。厚木でも、子どもを取り巻く関係者みんなで継続的に食育に取り組んでいくことを目指して協議しています。そのまとめ役を山本先生にお願いしています。

山本 保健所が地域を管轄するという特性を活かし、コーディネーター役となっているこの協議会は貴重な役割を果たしていると思います。市町村の子育て支援担当部署、学校や保育所、幼稚園、子育てグループなど地域のさまざまな機関・人々を巻き込みながら活動が広がる中で、住民主体で活動が地域に根付き、継続することが理想ですね。

鎌内 赤ちゃんからお年寄りまで世代別の食育の積み重ねがあっていいですね。

石田 保健所や市町村はライフステージ全体を見ている中で、ライフステージごとの食育をつないでいくことができると思います。

鎌内 山本先生をはじめ大学教育に携わる方には、栄養管理の知識に加えて食育指導を柔軟にできる人材を育てていただきたい、と思います。同時に、食育基本法第二十条で触れている食育の担い手の一人として理解をより深めなければいけないと思います。

栄養士の活躍の場が 明記された 食育基本法第三章
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鎌内ミチ子さん
神奈川県教育委員会
保健体育課副技官

石田 小学校の食育は効果が期待できそうですが、中学校はどうですか。

鎌内 小学校の実績をふまえて中学校での食に関する指導は行えると思います。給食の有無にかかわらず、食に関する指導は行うことになっています。学校を卒業してからも、食育は続くわけですから。

山本 学校での食育を継続して実践していくためには、学校の栄養士・管理栄養士がその実績を認められるようでなければなりません。平成16年度に制度化された栄養教諭が学校で活躍するとき、食育基本法の趣旨を理解し、その学校や子どもたちのニーズに見合い、学校の教育目標や指導計画に沿って食育目標の設定・食育計画立案ができ、実践できる、さらに内容を先生方にもわかりやすく、積極的に説明できる力が求められると思うんです。

鎌内 ぜひ大学教育の場で、指導力も育ててほしいです。

山本 よくわかります。大学教育に求めるものはほかにもありますか。

鎌内 自主性も養ってほしいと思います。これまでとは違う現場の要請が出てきたとき、相手の求めに柔軟に応えながら提案をするくらいの「プロの自覚〓外自主性」を持った人がほしいですね。

山本 県立保健福祉大学では現役看護師、管理栄養士などを対象に高度専門家教育を実施している実践教育センターが併設されています。17年度には「子どもの食育支援者研修」をスタートさせました。私が学生の頃には学べなかった理論や実践的な学習方法などを受講生と一緒に勉強し直しています。学生はもちろん、現職のスキルアップも積極的に応援していきたいと思います。

鎌内 ふだん口にする食品などを生きた教材として取り上げると理解も進むと思います。味とおいしさ、さらには生きた教材として献立も作れる人材であってほしいです。

鈴木 今後は自主性が優れた人材、現場が求める人材の条件になってきますね。

鎌内 指示を待って行動するのではなく、食のことは私たちに何でも任せて! と自ら動ける人材が理想です。

鈴木 食育基本法では、第三章で栄養士の活躍の場がはっきりとうたわれています。大いばりで、胸を張って栄養指導・教育に取り組めるチャンスでしょ。

山本 神奈川県児童養護施設協会では数年前から、栄養士研修で食育をテーマに取り組んできました。その結果、一人では進められなかった食育計画を協力して作り、施設職員の理解と協力を得ながら一歩づつ実践を進めています。

石田 大学では母子、高齢者などのライフステージをつなげて見ることも教えてほしいと思います。ライフステージ全体を見る中で、現在、自分が担当する世代の食育はどうあったらいいのか考えられる力があるといいです。あとは現場に出てからの実践が栄養士をさらに大きく育てるのだと思います。

鈴木 みなさんも新人だった頃は、教室で勉強してきたことと現場で感じることの差を実感していますからね。

山本 私が学生だった頃は学習区分がライフステージごとでしたが、栄養や食の大切さを生活実感としてとらえていました。身近に高齢者と赤ちゃんがいて、子どもにも役割分担がありました。豊かではない分、我慢や協調が身に付き、生活は学びの場でした。学生に教えるとき感じる難しさの一つが、私が話すことを学生は生活者の情景として思い描けるだろうか? ということなんです。

鎌内 先生が食の情景などを話していても、子どもは実際に目の前にそのシーンがないとピンとこない、というのに似ていますね。

石田 理論と実践のバランスというお話は、地域でも家庭でも同じことだと思います。

食の未来は大人の責任

鈴木 私は以前、『予防医学』に健康と食生活を「食べることは生命の維持であり、儀式であり、悦楽であり、交友術でもある」と書きました。みなさんも認めてくれると思うんですが、食べることの意義や意味を家庭の食卓で実感するいい方法はあるんでしょうか。

鎌内 お正月や節分、家族の誕生日などを生かして行事の中で食の意義・意味を自然に共有できる場づくりがいいのではないでしょうか。

山本 PTAの集まりでお話しした後日談です。父親が朝早く出かけるので家族揃って朝食をとることはしなかった家庭の母親が、朝食をそろって食べる家庭の子どもは生活、健康面でも問題が少なく家族関係もいいと聞いて、子どもを30分早く起こしてみんなで食べるようにしたら、下の子は忘れ物が少なくなり、そのうちお兄ちゃんと勉強をすると言い出したそうです。少し早く起きることでゆとりが生まれたんでしょう。家族の関わり方もこんなに変わるのかと驚いていたそうです。食を通じて生活を変えていける小さなチャンスはたくさんあるのではないでしょうか。

鈴木 昨年、「いただきます」と子どもに言わせないで、という趣旨の投書が新聞に載ってちょっと話題になりました。食前マナーの本旨さえ知らない親がいることも驚きですが、儀式や悦楽、交友術でもある食そのものを否定的にとらえる人が増えてきたら、食文化の伝承どころではないですね。

山本 日本経済を引っ張ってきた世代や多くの働く人に言えることかもしれませんが、家にいる時間が少なかったことで子どもに食のマナー、ルールなど伝承していきたいことをおろそかにしていた面は否めないと思います。大人がきちんと子どもに向き合ってこなかった、きちんとした生活の姿を見せてこなかったのではないかと思います。

鎌内 種を蒔いて育て、漁に出て獲ったものを加工し、調理して口に入れることが食ですから、収穫に感謝する意味でも「いただきます」はあると思います。いただきますと言わせたくない、ときっぱり書かれた投書を読んだ時は大変驚きました。

鈴木 昔は父親の給料日は給料袋を神棚に供えてまず家族全員が感謝をし、その後の食卓にはちょっと贅沢なおかずが並んだ。そうしたメリハリさえもなくなっていますね。

山本 一部のコンビニでも商品開発はしているようですが、おふくろの味と呼べるものはいまや生活協同組合などの宅配系と給食でしか味わえなくなっているという人もいます。また県下のある地域で、学校給食に柿が出ましたが、柿を食べたのが初めてだと言った子がいたそうです。果実が庭先に実り、栽培されていると思われている地域でもそういう時代になったんですね。

石田 時代の変化は想像がつかないところまできた感じです。

鈴木 いろいろな面から食育を考え、意見を出していただきました。みなさんの役割がいままで以上に大きくなっているのは疑いのないところで、それぞれの現場で役割を果たしてきたことを食育基本法はバックアップしてくれます。

山本 その一方で食に関して求められることのすべてに的確に応えられるか? と言われたらそれは永遠に未完成だと思います。食もつねに発展し、変化しているからです。その時点での最大の知恵と努力で、よりよいものを作り上げていくと言うことでしょうか。食とは生きることですから、何をどう食べて生きるかはその人が考え、決めることです。一人ひとり違う食を適切に支援できるように栄養士・管理栄養士もともに育っていきたいと思います。私たちは食育基本法の施行をきっかけに世の中をもっと広く見つめ、世の中の人の声をもっとたくさん聞くことを心がけなければならない、と思います。

石田 食育基本法をもとに自らの役割を意識しながら幅広く行動しなくては、と思います。

鈴木 第三章二十四条では、食文化の伝承にふれています。みなさんへの期待は大きい。

山本 食育基本法は、健康に過ごす手段の一つに食を掲げ、おいしく味わうために身体を動かそう、生産や販売の場に目を向けようと国民一人ひとりに訴えかけ、考えるきっかけを与えています。

鎌内 基本法のもとで各都道府県では食育推進会議を創設して、地域の特色を盛り込んだ食育を推し進めることになっていますが、神奈川県でもこれから国の状況を見ながら取り組まれると思います。

山本 これまで食を通じた栄養指導・教育は実に多く実践されてきました。ただ、食育の目的やねらいをいままで明確にしてこなかった点は、それをクリアにし、目的に向かった食育の道すじを整え、計画の中にいままでの取り組みを改めて位置づけたり、足りないものを補っていくなどしていかなければならないと思います。走りながらでも期待に応えなくてはなりません。

鈴木 方向が見えたところでお話を締めようと思います。本日はありがとうございます。

食育基本法 第三章 第二十条
国及び地方公共団体は、学校、保育所等において魅力ある食育の推進に関する活動を効果的に促進することにより子どもの健全な食生活の実現及び健全な心身の成長が図られるよう、学校、保育所等における食育の推進のための指針の作成に関する支援、食育の指導にふさわしい教職員の設置及び指導的立場にある者の食育の推進において果たすべき役割についての意識の啓発その他の食育に関する指導体制の整備、学校、保育所等又は地域の特色を生かした学校給食等の実施、教育の一環として行われる農場等における実習、食品の調理、食品廃棄物の再生利用等様々な体験活動を通じた子どもの食に関する理解の促進、過度の痩身又は肥満の心身の健康に及ぼす影響等についての知識の啓発その他必要な施策を講ずるものとする。

(健康かながわ2006年1月号)
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