情報サービス
前のページへ戻るHOME > 情報サービス > 健康かながわ > バックナンバー > 健康づくりのための運動所要量
健康かながわ

健康づくりのための運動所要量

厚生労働省の「運動所要量・指針の策定検討会」は、生活習慣病対策の一環として『健康づくりのための運動基準』の案をまとめました。国民に分かり易く、運動量の目安を示し、生活習慣病を予防し、医療費を抑制しようという狙いです。その要点をまとめてみました。

2020年には4人に1人が、2050年には3人に1人が高齢者と見込まれる超高齢社会となる日本にとって、「生活習慣病」の増加は、個人の問題だけではなく、病気や介護による負担が大きくのしかかる社会問題ともなります。
そこで、厚生労働省では、平成12年より「健康日本21」において具体的な数値目標を設定し、健康づくり施策を推進してきました。平成元年に策定された「運動所要量」および平成5年度に策定された「運動指針」に基づき、健康づくりのための運動普及啓発を行ってきました。

しかし策定から10年以上が経過しており、身体活動・運動に関する科学的知見の蓄積が進んできていることから、そこで今般「健康づくりのための運動所要量」として健康維持・増進に必要な身体活動の基準値・生活習慣病発症予防に効果のある運動量の平均値が改定されました。

身体活動の基準値は?

健康維持・増進に必要な身体活動の基準値は《23METs・時/週》と策定されました。ここで出てくるMETs・時(メッツ)とは運動時や日常身体活動時のエネルギー消費量が安静時の何倍かを表す指標です。(表1)この値は体重1kg当たり1時間に消費されるエネルギー量を示します。

23METs・時/週の活動を一週間で達成するには、普段の歩行(3METs:安静時の3倍)であれば一日あたり約60分に相当し、これは約6000歩に相当。歩行中心であれば、低強度で認識されない歩数が2,000~4,000歩あるため、合計で8000~10,000歩の活動量が必要となるわけです。
《23METs・時/週》とは日常の身体活動の中で1週間当たり安静時の23倍のエネルギー消費が必要ということです。
つまり、1日当たり安静時の約3・3倍のエネルギー消費が必要という事になります。

生活習慣病を予防する運動量

imageまた、生活習慣病発症予防に効果のある運動量(ウォーキングやジョギング、エアロビクスなど)の平均値は《4METs・時/週》と策定されました。

当協会の健康運動指導士の小林辰也は「これは、やや早足で歩く(4METs:安静時の4倍)であれば60分/週、ジョギング(約7METs:安静時の7倍)であれば約35分/週に相当します。
ただし、運動の基準値には、2~10METs・時/週という「範囲」が設けられています」と解説。

「運動習慣が全くない人は2METs・時/週に、さらに基準値よりも運動量が多い人は10METs・時/週をめざすようにしましょう。つまり、毎週末に(早歩き)を60分または(ジョギング)を35分行うなどで生活習慣病の予防効果が得られます」と言う。

これは特別な激しい運動をしなくても、日常的な身体活動「掃除や車の洗車、自転車に乗るなど」を続けるか、「ウォーキングやジョギング、エアロビクスなど」の運動を続けるか、どちらを実施しても生活習慣病を予防できるという考えです。

もっと簡単にいいますと、身体活動を毎日1時間弱ほどすれば、週1回の適度な運動と同じ程度の生活習慣病予防効果があるということです。

体力の基準は?

運動基準では、体力(最大酸素摂取量)の基準値(表2)も性・年齢別に策定されました。
最大酸素摂取量とは単位時間あたりにその人が取り入れることのできる酸素の量のことで、この値が高ければ高いほど、たくさんの(強い)運動をする能力を持っていることになります。
簡単に言えば「体力」と言い換えることもできます。
持久力にもおおいに関係しており、トレーニングによって強化することができます。
測定方法は12分間走やエアロバイクやトレッドミルという特殊な装置(健診機関・スポーツジムなどにある)で測定することができます。

最大酸素摂取量についてその効果は、連続的で高ければ高いほど生活習慣病予防効果が高いことが示唆されており、範囲より低い人は範囲の下限値を、基準値より低い人は基準値を、基準値や範囲の上限以上の人も、できるだけ上の水準をめざすことで予防効果が高まると考えられます。

(健康かながわ2006年4月号)
中央診療所のご案内集団検診センターのご案内