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横浜市生活習慣病改善セミナー

image横浜市職員を対象とした生活習慣改善セミナーが平成17年5月から18年2月にかけて神奈川県予防医学協会を会場として開催された。これは横浜市が生活習慣病ハイリスクの職員20名を対象に実施したセミナーで、当協会の医師・栄養士・健康運動指導士らがチームで個々人にあったプログラムの提供を行った。

昨年に引き続き横浜市は、平成17年5月から平成18年2月にかけて『生活習慣改善セミナー』を開催した(表1)。これは、生活習慣病発症の可能性が高い、もしくは、増悪するおそれがある横浜市職員を対象に、生活習慣の改善をはかるための個別プログラムである。診断結果に基づき、栄養・運動など専門スタッフ(医師・栄養士・健康運動指導士)が職員各々の健康状態にあったプログラムを提供した。

対象者は平成16年度定期健康診断の結果でBMI(Body Mass Index)30以上かつ、循環器・脂質・糖質の項目で、いずれかにB判定(要注意‥基準範囲を超えており生活習慣の改善や経過観察が必要)以上がある職員(心電図所見のあるものは除く)20名である。参加者は平均年齢41・4歳の男性17名、女性3名で、神奈川県予防医学協会内の施設を利用しての開催となった。

生活習慣病の予防に大切な日常の身体活動を高めるため①まず自分の日頃の活動量を認識する。②どうすれば活動量を増やせるのかを学び、実践する。異常なデータの正常化をはかると共に、グループ学習を通じ、集団としても生活改善できるよう実践。③実践の結果を過去の運動量と比較し、自分の運動習慣の改善を客観的なデータで実感し、達成感や運動する楽しみから運動習慣の定着へ導く。
食事記録では、バランスの良い食事をするためにも、料理された食物のエネルギー量を学び、食生活改善をする。

生活習慣改善の大きなポイントは客観的な評価により変化を実感(体重や体脂肪率が減るなど)すること。一番は行動修正の報酬による強化として、周りから「身体的変化について褒められる」と運動習慣・食習慣改善が楽しくなり持続性が増して定着する。
まず、日常生活でエネルギーを効率よく消費するために「ライフコーダー‥メモリー付歩数計」を使い①歩数②運動量(kcal)③1日の総消費量(kcal)④目標とした運動量を達成した割合、これらを2週間分データ分析し、見やすくグラフ化して参加者へ配布した。

imageライフコーダーの装着期間は2週間(表1)。セミナー開始前の通常生活時と生活習慣指導後、さらに効果測定事前の(血液検査・身体計測)計3回実施した。同時に食事記録をライフコーダー装着と同時期に実施し、運動と栄養のバランスを考えながらの指導となった。

セミナーは夏の暑い時期を挟むものであった。夏の暑い時期は通常、活動量は下がるといわれている。しかし活動量は、有意に増加し、一日平均歩数も9,979±586から12,076±691へと大きく増加した。

また計測値(表2)では、体重、ウェスト、収縮期血圧に有意な変化があり、血液データでは、HDL-C、尿酸に有意な変動がみられた(図)。中性脂肪は全体としては有意差がなかったが、初回値150mg/dl以上の高値例(10名)では図に示すように有意な変化が認められた。

総カロリー摂取量は食事記録では、平均2,268kcalから1,985kcalへと大きく減少した。また総エネルギー消費量はメモリー付歩数計では平均2,551kcalから2,688kcalへと増加している。体重については平均89・3㎏から87・8㎏へと減少していた。

image体重は、予想より少ない変化にみえる。メモリー付歩数計の値を考慮すると、食事記録(記憶)が実際に摂取した量よりも少ないためと考えられる。この点も含め、認知と行動のズレを修正(認知の再構築)するなど一人ひとりにあった指導の工夫、家族・友人・職場の同僚などの社会的サポート等の充実などが今後の課題としてあげられる。

身体活動量のすべての指標で、有意な変化があったこと。参加者の生活習慣の改善につながり、これは短期的な効果の継続より長期的な効果が期待できることを示唆しているが、実際の摂取量と食事記憶のズレを修正していくことが今後の大きな課題と考えられる。

最後に参加者の声として「生活改善の方法が分かり無理なく継続できそう」「運動が楽しくなった」「フィットネスクラブに通うようになった」など、個々のライフスタイルに合った行動変容にもなった。

(健康かながわ2006年7月号)
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