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アンチエイジングライフで疾患を予防

世界でも有数の長寿国日本。これからは長命であることだけではなく、生活の質を高め、健康寿命の延伸が求められています。新春号では、長寿研究をしている東京都老人総合研究所・老化ゲノムバイオマーカー研究チームの白澤卓二先生に、今話題のアンチエイジングのライフスタイルについて執筆していただきました。あなたもアンチエイジングメニューの創作に挑戦してみては…。

日本人の平均寿命は女性が85歳、男性が79歳で世界でも有数の長寿国になりました。過去1世紀の間に先進諸国では、平均寿命は30歳も延長しました。100年前の平均寿命50歳の時代に比べると、高齢期が30年間も延長したことになります。長い高齢期を活動的に、そして生き甲斐のある人生を全うするためには、病気の治療や療養の期間をなるべく少なくして、いわゆる健康寿命を延伸することが肝心です。

そのためには、高齢期の生活の質を下げてしまう糖尿病、高血圧、心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病、あるいは高齢期に発症が増えるガン、また介護の原因となる骨粗しょう症、関節疾患、認知機能に障害をきたす認知症などの病気を予防することが重要になります。これらの病気の発症には10-20年もの無症候期があり、発症前の食生活や生活習慣が病気の発症に大きく関わっていることが明らかとされています。

従って中年期の食生活が高齢期に発症してくる病気の予防に極めて重要と考えられます。今後、平均寿命80歳の時代を健康に生き抜いて行くためには、自分自身の食事内容をアンチエイジング効果の観点から見直し、十分な栄養素を日々の食事の中で確保し、カロリーの取りすぎを予防し、抗酸化食材や植物化学物質(フィトケミカル)を食材に使うことで生活習慣病、ガンの発症を予防する時代がやって来ると予測されます。

疾患予防のためのアンチエイジング食材

imageアンチエイジング食材として、最初に注目すべき栄養素が野菜、果物の中に含まれている植物化学物質(フィトケミカル)です(図1)。

一般に我々が、毎日、食べている野菜の中に、数千種類以上のフィトケミカルが存在していると考えられています。これらのフィトケミカルは抗酸化作用(サビを防止する作用)が認められるだけでなく、ガン細胞の増殖を抑制する作用である抗腫瘍作用も認められます。

例えば、ブロッコリーの中には約200種類ものフィトケミカルが含まれていることが明らかとされています。最近、赤ワインで注目されているポリフェノールも本来、赤ブドウの中に含まれているフィトケミカルです。

その他にも、緑茶の中に含まれるカテキンやカレー粉の中に含まれるクルクミン、キノコに含まれるβグルカン、緑黄色野菜に含まれるβカロチンなどすべてフィトケミカルです。野菜をベースにして、なるべくたくさんの種類の野菜や果物を食材として使うことが、アンチエイジングメニューの組み立ての基礎となります。

imageそれでは、動物の肉の中には抗酸化物質がないかというとそうではありません。魚や家畜の肉の中にも強力な抗酸化物質が含まれています。例えば、サーモンの中に含まれている微量成分の中にはビタミンB2、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンB12,ビタミンDなどの身体に必要なビタミン類に加えて、アスタキサンチンという抗酸化物質が含まれています。

アスタキサンチンはトマトに含まれているリコピンに構造が類似していますが、リコピンよりも強力な抗酸化作用が認められ、脳に移行することが知られています。このために、認知症など高齢期に発症してくる病気の予防に適した食材と考えられています。

またサーモンの中にはEPAといった、動脈硬化を予防するタイプの脂肪も含まれていることから上手く料理に使えば様々な疾患を予防する食事を組み立てることが可能です。

このように食材の基礎知識を持っていると、健康を増進する食事を組み立てることが可能になります。アンチエイジングライフを実践するにはまずアンチエイジング食材の選択から始めてみましょう。

(健康かながわ2007年1月号)
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