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健康かながわ

ピンクリボンフェスタ(宮崎ますみさん(女優)が講演)

image乳がんの知識と、早期発見を呼びかけるピンクリボンフェスタが9月22日(土)・23日(日)ハウスクエア横浜(横浜市都筑区)のイベントスペースで行われました。会場ロビーに設けられた乳がん予防健康相談コーナー、情報提供コーナーや簡単ヘルスチェックにはさまざまな世代の女性、カップル、家族連れが集まりました。

来場者の多くが神奈川県予防医学協会の乳房模型触診体験コーナーに足を止め、シリコン製の乳房模型に触れます。協会看護師の説明にうなずき、自己触診の大切さを知ると、マンモグラフィ検診車にも立ち寄り、放射線技師の説明に聞き入る姿もありました。23日のピンクリボントークショー、エイボンピンクリボンコネクションツアーの模様を中心にお伝えします。

主催:(株)日本住情報交流センター
共催:財団法人神奈川県予防医学協会 
NPO法人乳房健康研究会 
後援:NPO法人J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動) 都筑区役所 tvk(テレビ神奈川) 神奈川新聞社
協賛:エイボン・プロダクツ株式会社

大切にしたい 日常のしあわせ ~乳がんが教えてくれたこと~

image女優 宮崎ますみさん

清楚な装いで現れた宮崎ますみさんを、大きな拍手が包みます。宮崎さんはマイクを取ると約2年前、乳がんの宣告を受けた体験から話しはじめました。
「4年ほど前、シャワーを浴びたときに右胸の内側にしこりを見つけました。そのときは乳がんの知識はなく、手に触れた異物感を気にしながら過ごしました。定期健診を受けていなかったり、身内にがんが発見されたりしたこともあって、ハワイから帰国して検査を受けました。

超音波検査と、医師による視触診で乳房に腫瘍があるのがわかりました。が、悪性ではないから大丈夫だろうとの判断。再びハワイと日本を行き来する生活に戻りました」。
芸能界に復帰し、映画の撮影中、宮崎さんは乳房の変化に気づきます。「右胸に触れると、しこりが大豆状になっていて、じわっという触感がありました。忙しさを理由に検査をおろそかにしていたからだ、と思いました」。

そして2年前の秋、帰国中にマンモグラフィ検査を受けます。画像の読影から腫瘍が発見されました。悪性ではないが、念のため病理検査をすすめる医師に従いました。ハワイで10年以上暮らしていたご家族と日本に戻り、新居での生活準備を始めていたころです。ところが結果は…
「新居の片付けも済んで家族を迎えるためにひとりでいたとき、医師からの電話がありました。乳がんの宣告でした」。

大きな人生の転換期なんだ

「しかし、意外と冷静に私はその言葉を受け止めた気がします。私の人生のつぎのステージはこうきたか、と客観的にとらえ、帰国と乳がんが重なるのは大きな転換期なんだろうと考えることにしたんです」。

乳がんと宣告された宮崎さんは、その原因を探すことにしました。ハワイ時代から続けているヨガを通じて瞑想しながら、何が自分をがんにしたのだろうと考えました。さまざまなストレスにさらされ、撮影中の睡眠不足も重なって、といろいろな自分が見えてきたそうです。がんを受け入れることで、身体と心の健康を取り戻そう。そう決めたとき、それまでの生活習慣を正す一歩が踏み出せたと言います。

生かされている自分

がん細胞を摘出したのち、宮崎さんはホルモン療法、放射線療法を受けます。「つらいのは放射線です。一回あたり数十秒の照射ですが、皮膚はたわみ、倦怠感に襲われ、料理をしていても立っていられないんです。家族は手術直前に合流し、術後の私を見守ってくれるのですが、元気のない私に小学生の息子は“人間はどうして生きているの”という重たい問いかけをしてきました。

英語の暮らしが長かったために日本語がうまくありません。その状態で小学校に通い始めた彼には、親の病気と学校生活というストレスが覆いかぶさっていたんでしょうね。息子の問いかけに“生きているんじゃなくて、誰かに生かされているんだと思う”と答えました」この出来事をきっかけに、死の不安を取り除く努力と家族への説明を宮崎さんは繰り返したことでしょう。

副作用とのたたかい

エストロゲン値を下げるためのホルモン療法では、発汗と悪寒が交互に訪れ、首周りのこわばりや立ち上がるときの関節の痛みなど更年期症状に似た感覚に襲われます。術後にナレーションの仕事を始めたころ、原稿を読んでもその内容が理解できないことが続きました。不眠の日々もありました。

「副作用とのたたかいは、摘出手術よりもつらい面があります。それを緩和するために、アロマテラピーを始め、気功も習いました。気功の初日、家に帰ると全身が悲鳴を上げていました。そのときの私の体力気力以上に張り切ったせいでしょう。ところが、それまでの不眠がうそのように、その夜は久しぶりに熟睡できました」。

本当の生命力がわいてくる

放射線照射、ホルモン投与。副作用がついてまわる状態が長く続くのは自分によくない。宮崎さんはそう決めて、玄米菜食を中心に漢方、サプリメントで栄養などを補うことにしました。アロマテラピーと気功、ホメオパシーにも挑戦。術後の余命率をもとに抗がん剤をすすめる医師にも自分の意思をきっぱりと伝えて「身体と心を立て直す」ことにしたのです。

現在は無治療の日々を過ごす宮崎さんですが「再発の不安は付きまといます。しかしその不安は、薬を飲んでいても同じだと思います。がんに克つ、完治させるということにとらわれず、いつかは自分自身の死を受け入れる日がやってくると考えながら生きることにたどりつきました。私の場合、がんは毎日を充実したものにしてくれました。本当の生命力がわいてきた気がします」。

自己触診などで小さな異常を感じたら、検診を受けるといい。超音波や視触診、マンモグラフィのがん検診を受けるのは大人の義務、と言い切ります。早期発見は自分の生き方をリセットしてくれる。がんと知っても克服するエネルギーがわいてくる。会場に集まった人たちに語りかける宮崎さんは輝いて見えました。

福井から神奈川へ そして長崎へ

image全国をリレー形式で巡る、エイボンによるピンクリボンコネクションツアー。今年は3月の福岡をスタートして東京、茨城・つくば、福井とリレーしてきました。日本にピンクリボン運動の輪を広げる活動は各地の活動グループのつながりを深めると同時に、エイボン製品の売上げの一部がマンモグラフィ助成、医師や技師の育成に活かされています。

福井から届いたピンクリボンは、ふくいピンクリボンの会代表、斉藤弥生さん(写真左)から宮崎さんに託されました。そして、壇上に並んだ野口正枝 神奈川県予防医学協会検診計画部長が「受け継いだ気持ちを、次の開催地、長崎の皆さんにしっかりとつなぐことを誓います」と宣言しました。

(健康かながわ2007年10月号)
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