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健康かながわ

全国体力・運動能力、生活習慣等調査

image文部科学省は1月21日、全国の小学5年生と中学2年生の計約155万人を対象とした初の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(以降=体力テスト)の結果を公表した。8種目の実技テストの
結果(合計点=80点満点)をみると、神奈川県内の子どもたちは、ほとんどの種目で全国平均を下回っていた。

体力テストは、握力、上体起こしなど8種目。報告書では体力のピークであった昭和60年の抽出調査と比較されている。例えば小5女子のソフトボール投げは14・85㍍で2・75㍍短く、7割以上の子が当時の平均値に達していなかった。比較可能な4種目のうち小学生は反復横とびを除いた3種目、中学生はすべての種目で昭和60年の結果を下回っていた。

体育の授業、徒歩や自転車による通学などを除いた1週間の運動時間を調べると、「0~60分未満」の割合は小5女子で約23%、中2では約31%。女子は運動をほとんどしない子どもが多数いることがわかった。男子をみても小5で約11%、中2で約9%となっている(図1)。
 だが、男子では毎日1時間以上運動するという子どもが小5で6割、中2で8割。女子では小5で4割近く、中2で6割が部活動やスポーツクラブで運動をしている。文科省では運動時間でも「二極化」がみられ、当然、運動している子は体力も上位の成績で、「二極化」が進んでいると指摘している。

各種目を点で評価した合計点(80点満点)を都道府県別にみると、小5男子(平均54・18)では福井の57・76が最高、最低は高知の51・61で、女子(平均54・84)は最高が福井で59・03、最低は高知で52・19と最高と最低の差は6点台。中2男子(平均41・50)の最高は千葉の44・94で最低の奈良37・70との差は7・2。中2女子(平均48・38)の最高は千葉の52・90、最低は北海道の43・40で、その差は9・5。
ただし、それらの地域差の数値はほぼ1割以内の範囲で、文科省では地域差はほとんどないといってもよいという。

今 回の体力テストはまずは現在の子どもたちの現状を全国レベルで把握することが目的。そしてこの結果を分析・活用するため、文科省では、今年度「子どもの体力向上支援事業」を新たに立ち上げ、昭和60年頃の水準への回復を目指し、具体的な方策を検討するとしている。
また今回、生活習慣との関連も調査している。例えば図2のように朝食を「毎日食べる子」は「食べない」子より合計点で小5男子は3・6点、女子で3・4点、中2男子2・9点、女子4・1点と、それぞれ高かった

睡眠が短く、テレビ視聴やゲーム時間が長い子ほど、体力合計点が低くなる傾向もみられた。 規則正しい生活習慣だと体力テストの結果も高くなると一般的に指摘されているが、それが裏付けられる結果となった。

全国平均を下回る県内の子どもたち

image神奈川県の体力テスト結果をみてみよう。種目別で全国平均を上回ったのは、小5男子の握力と小5男女の長座体前屈のみであった(表)。全国でその位置をみると小5男子39位、小5女子46位、中2男子41位、中2女子40位。先に述べたようにその差は僅差であるとはいえ、全国平均を下回っている。やはり数字をみると残念な結果ではある。

県教育委員会では、これまでの県独自の「体力・運動能力調査」などから体力・運動能力の低下を認識していたという。また県内の体力のピークは昭和61年で、それを境に低下していることも把握。同時に「運動する子ども」と「しない子ども」の二極化や小学校でも休み時間や放課後に外遊びをしない子どもが多くみられるなどさまざまな課題もあがってきていたという。

そこで平成17年から「子どもの体力研究委員会」で議論を重ね、さらに、昨年10月には「子どもの体力向上推進委員会」を設置し、改善を目指してさまざま実践活動を展開してきた。平成16年度から18年度までの3年間、小学校を対象に「子どもキラキラタイム」実践研究を推進。各地区の拠点校50校が核となり、県下の全ての公立小学校が、それぞれの実態に応じて休み時間を延長したり、学年を超えていっしょに遊ぶ機会を設けたり、「外遊びデー」を設けたりするなどの実践を行ってきた。

平成19、20年度には中学校を対象に生活習慣の改善や学校行事の工夫、部活動の活性化などに取り組む「かながわイキイキスクール」実践研究を推進。県内に10校の拠点校を設け、その学校を核にすべての公立中学校で取り組まれた。こうした取り組みの結果、低下傾向であった体力がわずかながら上昇傾向に変わってきたという。

今回の結果について、県教育委員会では「結果の検証を基に、運動、睡眠、食事の健康の3原則を踏まえ、運動に特化するのではなく生活習慣全体を見直し、今後の取り組みを推進していきたい」としている。

(健康かながわ2009年5月号)
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