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受動喫煙防止県民フォーラム「スモークフリー」

2月6日、受動喫煙防止県民フォーラム「スモークフリー」が約300人の聴衆を集め、藤沢市湘南台文化センターで開かれた。オープニングコメント、ポスターコンクール入賞者表彰に続いて「スモークフリー」社会の進展に向けたパネルディスカッションがあった。全国初の「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」は4月1日に施行される。(編集部)

パネルディスカッション
『民間との協働による「スモークフリー」の進展に向けて』
たばこ政策の専門家、企業人、大学生、それぞれの立場でスモークフリーの実現に取り組むパネラーの発言をまとめました。
【コーディネーター】
望月友美子さん
国立がんセンター研究所
【パネラー】
岩﨑拓哉さん
禁煙スタイル主宰・
株式会社ITスタイル代表取締役
村杉汐音さん
「スモークフリー」
トライアル週間事業提案者代表・慶応義塾大学1年
松沢成文神奈川県知事

「禁煙、分煙」は企業・店舗経営成功のキーワード(岩﨑)

この数年「禁煙レストラン最前線」と題したレポートの取材を通じ、多くの企業人、店舗経営者に話を聞いています。客向けのたばこ対策を発展させて従業員の受動喫煙防止に取り組む例が増えてきました。飲食サービスを展開する企業の中には全席禁煙の実現を経営方針の一つに掲げるところもあります。採用エントリーの条件にたばこを吸わない、全社員の禁煙化への賛同を求める企業もあります。

さまざまな調査から他人の煙に不快感を示す人もいる喫煙者事情も浮かび上がっています。
禁煙、分煙は、企業・店舗経営を成功に導くキーワードになりました。最初のうちは医療や飲食・接客業関係者に事例を紹介していましたが、最近は一般市民を対象とした各地からの講演依頼も増え、世の中の禁煙への流れを強く感じさせます。

スモークフリーを促す若者のたばこ離れ(村杉)

受動喫煙の健康への影響に興味を抱き、条例施行による影響などを調査するために県内飲食店へのアンケートを実施しました。禁煙、分煙を推し進めるうえでの不安と期待が入り混じった回答が目立ちました。2月のトライアル週間は私が通う大学の最寄り駅・湘南台周辺を中心に展開し、きれいな空気を提供する大切さを共有することができ、条例施行のアピールに一役買えたと思っています。

喫煙による健康被害の浸透で、私のまわりの同世代は「がんになるなら吸わない」と考えている人が増えていると感じます。また、喫煙者でも子どもや妊婦が近くにいるときは吸わないよう配慮する人が増えていると思います。条例施行が喫煙者のマナー、エチケットの向上にも役立つことを期待しています。

条例を実効あるものにするのは県民一人ひとり(望月)

4半世紀の議論を重ねて2004年に公共的施設の全面禁煙に踏み切ったアイルランドは、伝統文化の一つであるアイリッシュパブも例外にはしませんでした。喫煙・非喫煙の立場を乗り越えて実施した禁煙政策は浸透し、パブでは以前と同じように客同士が語らっているといいます。最近立ち寄ったカウンターバーでは、外で一服して店内に戻り、お酒と語らいを楽しむ姿を見ました。

県が施行する受動喫煙防止条例は、いまの世代はもちろん、10・20歳代の〝次の世代〟をたばこから守るうえでも重要なものです。採用条件にたばこが取り上げられるなど10年前では想像できませんでした。企業、店舗経営者はたばこ対策に取り組み、禁煙・受動喫煙防止を推し進めています。県民一人ひとりがこの条例のアナウンサー、広告塔になることで、きれいな空気のすばらしさを共有していきたいと思います。

「卒煙」を支援するのも大きな役割(松沢)

これまで2年以上にわたり多くの方々と意見交換を重ねて条例施行にたどりつきました。ようやくスタート地点に立ったという思いです。スモークフリーの取り組みはエンドレスです。条例施行後、3年ごとに見直しを行い、条例の検討を行います。先進・協働の"神奈川力〟が息づいているからでしょう、県内には早くから全面禁煙あるいは分煙に取り組む企業が数多くあります。2月のトライアル週間に賛同する声が日増しに増えていった手ごたえを感じました。

もう一つの大きなテーマが「卒煙」支援です。吸っているけれどやめたいと考えている人をサポートするために市町村、保健福祉事務所等の協力を得て事業を進めています。健康と自己管理の大切さを知っていただき、たばこから卒業できる人が増えることを願っています。

県内のチェーン店の状況

ハングリータイガー

従業員、10代アルバイトの受動喫煙防止を理由に早くから全面禁煙化に取り組む
ロイヤルホスト
3月1日までにグループ企業の県内全59店を全席禁煙(特例第2種施設を含む。一部店舗に喫煙所設置)に
吉野家
県内全86店(すべて特例第2種施設)の全面禁煙を継続し「条例協力店」に(2月16日)
マクドナルド
3月1日、県内全298店を全面禁煙(特例第2種施設を含む)に。その後の状況を見て少数の店で分煙に変更の可能性あり
餃子の王将
条例施行に合わせ県内全18店を全席禁煙(特例第2種施設を含む。一部店舗に喫煙所設置)に
ワタミ
数年前に一部店舗で全面禁煙店を試行、その後エアカーテンによる分煙化を実施
ヴェローチェ
条例施行に合わせ、県内全店を分煙化
(2月20日現在 編集部調べ)

オープニングコメント たばこの煙から解放された快適な“神奈川”に

image 松沢成文県知事がスモークフリー・サポーターズ・クラブの一員であるモデル、タレントの長谷川理恵さんを迎えて受動喫煙防止県民フォーラムは開幕した。県内死亡率トップのがんを克服するために、その発生要因の一つとされるたばこの対策(禁煙サポート・未成年者の喫煙防止・受動喫煙防止)に重点をおいている神奈川の取り組みを知事が紹介。マラソンランナーでもある長谷川さんは適度な運動・食事・睡眠のバランスで健康を維持している生活を披露した。

また、国際的なたばこ規制枠組み条約(FCTC)を日本も批准したにもかかわらず、日本での喫煙規制の実施は、欧米に比べて遅れている。そのような状況の中で松沢知事は「神奈川の受動喫煙防止条例を、全国の自治体が取り組むはじめの一歩にしたい」と強調。また、水浴場条例の改正で海水浴場では喫煙場所以外では喫煙してはならないとする県の姿勢に対して「サポーターとして私もできる限りの協力をしていきます」と長谷川さんは応援のエールを送っていた。

○2008年3月 「がんへの挑戦・10か年戦略(2005年3月策定)」を改訂
○2009年3月 神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例 制定
○2010年2月 「スモークフリー」トライアル週間(2/4~2/10)実施
○2010年4月 神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例 施行

(健康かながわ2010年3月号)
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