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前のページへ戻るHOME > 情報サービス > 健康かながわ> 第56回 平成23年度予防医学事業推進全国大会
健康かながわ

 56回目となる予防医学事業推進全国大会が10月28日、神奈川県民ホール(横浜)で開催された。予防医学事業に尽力する全国の各支部からの参加者をはじめ、県民を中心に約1200人が集まった。午前の式典では予防医学事業中央会賞(小宮記念賞)、中央会奨励賞の表彰と来賓からの祝辞があった。午後の記念講演、学術講演、文化講演の要旨を含め、その模様を紹介する。


大会会長挨拶:要旨
(財)神奈川県予防医学協会 理事長 土屋 尚

 わが国の平均寿命は、世界的に見ても高く喜ばしいことですが、急速な少子高齢化の進展に伴い、疾病全体に占める生活習慣病の割合は著しく増加し、特に、心疾患、脳血管疾患の発症の危険因子である糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの有病者やその予備軍の増加が問題といわれています。

  生活習慣病を予防するために、特定健康診査と特定保健指導の実施を医療保険者に義務付けるなど、国は多面的な保健医療施策を進めています。

  私たちは、これらの施策に協力し、長年培ってきた予防医学の技術、即ち、健康診査とそれに続く保健指導、経過観察などを包括した総合健康支援の取り組みによって、高齢期を迎えても、健康で活力ある生活を享受できる社会の実現を目指し、関係機関との連携活動を展開しています。
  神奈川県は、「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」を昨年4月に施行し、「スモークフリー推進かながわ基金」を設置しました。
  当協会は、基金の事務局を担当することとなり、平成11年に発足した「禁煙、分煙活動を推進する神奈川会議」の事務局をも担当し、たばこ対策の普及活動に協力しています。また、「ピンクリボンかながわ」の事務局として、微力ではありますが乳がん対策の予防医学思想の普及啓発に努めています。

  今回の大会のテーマは「いま、健康とはなにか―21世紀の課題を探る―」です。健康は、自身のものであると同時に社会の大切な財産です。国民の一人ひとりが、生涯を通して適切な健康づくりに取り組み、「健康長寿」を実現したいものです。このため、私たち保健医療従事者と県民、市民が一体となって「本当の健康」について、今一度、理解し考えることが必要と思います。

  当地ヨコハマは一昨年、開港150周年を迎えました。開港によってもたらされた多くの西洋文明のひとつに「医療・医術」があります。
  例をあげれば、まず、アメリカ人で宣教師、医師でもあったヘボンやシモンズが来日、ヨコハマで欧米流の近代医療を自ら実践し、多くの日本人に医療教育を施しました。
  また、維新戦争では、その負傷者を現在の横浜市立大学病院の前身ともいえる野毛山の軍陣病院に収容するなど、イギリス人医師ウィリスが活躍しました。
  「近代医療の源流」ともいえるヨコハマで全国大会が開催されますことは、まことに意義深いことであり、本大会を契機に、国難ともいわれている時代に即した、高質で真に価値のある予防医学事業を創造して参りたいと思います。

大会宣言(抜粋)
実行委員長 鈴木 忠義 (財)神奈川県予防医学協会 常務顧問

21世紀を迎えた今日、私たちを取り巻く健康に関する課題をみるとき、少子高齢化社会を迎えた中で、疾病構造の多様化や、生活環境の変化等が相まって様々な問題がより一層深刻化してきています。

  こうした中で、私たちはこれまでも「健康は自身のものであると同時に、社会全体の共有財産である」という理念のもとに、各種の予防医学活動に取り組んで参りました。そして、さらなる健康長寿社会の実現には、一人ひとりが生涯を通した適切な健康づくりに取り組んでいくことが重要であり、そのためには、予防医学事業のより一層の推進が大切であると、本日の大会を通じて改めて認識をいたしました。

  今年は、3月に未曾有の大震災、大津波、原子力発電所設備の破壊という大事故に見舞われました。犠牲となられた方々、被災者の皆さんには改めて心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。私たちはこの度の大きな災害の経験により、健康の大切さを改めて痛感いたしました。

  こうしたことをも踏まえて、そして、これまでの予防医学運動推進の取り組みに加え、国民、国、地方公共団体、医師会・大学等の専門団体、民間団体が一体となって、今まで以上に予防医学の目的である、国民の健康を創造する取り組みを推進していくことを改めて誓います。

  神奈川県民、横浜市民はもとより、本日の全国大会参加者並びに関係団体は、互いに手を携え、国をはじめ全国の行政や医師会、学術団体と連携して、健康長寿社会実現に向け、国民一人ひとりに対しての健康総合支援体制をさらに充実していくことが必要と考えます。この全国大会を通じて、健康で快適な暮らしを支えていくために、予防医学事業を推進させ、健康社会の実現を目指していくことを、「巨大災害の年の予防医学事業推進全国大会」の開催にあたって、横浜の地から宣言いたします。

大会式辞:要旨
(財)予防医学事業中央会理事長 河合 忠

3月11日の大震災の直後から、被災地支部をはじめ全国支部の関係者が健診、健康指導などを迅速的確に行ったと聞いております。みなさまの日頃の連携の賜物です。本日の集まりが市民の健康づくりをさらに推進するいい機会となればうれしいです。

歓迎のことば:要旨

 神奈川県知事 黒岩 祐治【代読:神奈川県副知事 古尾谷 光男】
 自分の命を大切にしながら、多くの人のために役立てるには、長生きして良かったと私たちが思えるように、予防医学に携わるみなさまの存在が不可欠です。ご活躍をお祈りします。

 

 

横浜市長 林 文子【代読:横浜市保健医療医務監 担当理事 水野 哲宏】
 横浜市は予防医学・各種健診分野におけるさまざまな施策を通じて、健康長寿日本一の都市を目指しています。予防医学事業に携わる方々の全国大会が横浜で開かれることを歓迎します。

来賓あいさつ:要旨

厚生労働省 副大臣 辻 泰弘【代読:厚生労働省健康局 総務課 生活習慣病対策室 課長補佐 菊地 直紀】
 生活の質を高め生活習慣病を予防し、健康寿命を伸ばすために予防医学の重要性が増しています。がんを始めとする検診推進などの指導的立場で、第一線でご尽力をいただいているみなさまに感謝いたします。

 

 

文部科学省 大臣 中川 正春【代読:スポーツ・青少年局 学校健康教育課学校 保健対策専門官 有賀 玲子】
 環境の変化は子どもたちにメンタルヘルス、アレルギー疾患、新型インフルエンザなど心身にかかわる課題を突き付けています。 学校保健はもちろん、地域との連携においてもみなさまの健康指導が欠かせません。

 

 

日本医師会会長 原中 勝征【代読:常任理事 保坂 シゲリ】
 平成20年度から始まった特定健診・保健指導では、みなさまのご協力が欠かせません。がん検診の受診率目標の達成は困難な状況ですが、多くの人たちが健康であってこそ世界に冠たる長寿国としての実感が高まります。引き続きのご活躍をお祈りします。

ピンクリボンかながわ対談-ピンクリボンからのメッセージ-

野末 悦子 NPO法人 乳房健康研究会副理事長
福田 護 聖マリアンナ医科大学附属研究所/ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック院長
感謝状表彰 横浜ベイスターズ選手会、横浜ベイスターズ専属チアチーム「diana」

神奈川県予防医学協会は「ピンクリボンかながわ」事務局として、乳がん対策の予防医学思想の普及啓発に取り組んでいる。その中心となる二人がミニ対談を行った。ピンクリボン活動、マンモグラフィ検診を知る人は増えたが、検診受診率は思うように伸びていない。受診率と検診精度を同時に高めていくのが今後の課題であると提起し、来場者にその推進役を呼びかけた。

(健康かながわ2011年11月号)

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